両親への説明?
~ユリシーズ視点~
「父上、母上お話があります」
家族と晩餐をとり父と私はワインを母と弟が茶を飲んでいた。家族団欒の場だった。
「うむ、なんだ? しかしこのワインは素晴らしい出来だ。さすがフルーリ伯爵家だ」
確かにこのワインは美味い。果実の香りにスパイス感も感じられる。隣国の王室でも重宝されていると聞いた。
隣国の王子が我が国へ来た際に、フルーリ伯爵家の領地へ視察に行ったのは有名な話である。
「あなた、ワインが美味しいのは分かりますけれど、話の腰を折ってはいけませんよ。さぁ、ユリシーズお話ししてちょうだいな」
母はお茶を一口飲み、話の先を促した。
「驚かないで聞いてください! 実は……私には愛する人がいます」
シーンとしたのは一瞬で、くすくすと笑い声が聞こえた。
「あら、そう? その方に私はお会いしたことがあって?」
「なんだ、藪から棒に……? 冗談はそれくらいにしておけよ」
母と父が笑っているのが気にはなるが。
「会ってくださいますか?」
「もちろんだ」「もちもんよ」
「それでは、明後日連れてきますね。シリルも明後日は学園が休みだろ?」
弟のシリルを見ると複雑な顔をしていた。こいつはチェルシーと幼馴染でチェルシーの弟ヒューバードとも仲がいいからな……
「あまり、会いたくは……」
言葉を濁すシリルに母は
「シリルもよ。良いわね? 何かしらねぇ。結婚式が早まるのかしらねぇ」
ふふっと楽しそうに笑う母。
「お菓子を用意するように言っておかなくては、お話に美味しいお菓子は不可欠だものね」
「そうだな。女の子をもてなすには、茶菓子は必需品だからね。さて、飲み過ぎも良く無いな、私は失礼するよ」
「はい。それでは父上明後日よろしくお願いしますね」
「楽しみにしているよ」
父が機嫌よく出て行った。
順序、順序っと。
父と母がエイラを気に入ればまず問題はない!
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よし、これでいい。明後日は両親とも喜んで迎えてくれるとのことだ。
結婚式が早まるって、母上は何かを知っているのか? 女の勘? と言うやつか?
エイラも喜ぶ事だろう。我が家に来るの初めてだから、我が家の壮大な屋敷を見せてやりたい、将来の侯爵夫人だからなぁ。
婚約が認められたら、まずはあの豊かな胸に似合いのドレスを仕立てようかな。