エピローグ
ユリシーズ様とエイラ様のお子様はエイラ様によく似た女の子だったそうです。
お子様を育てるのにはとてもお金が必要だったらしく、ユリシーズ様は頑張って子爵領を経営なさっているようです。
実情は問題だらけだったらしいのですが、領地経営のプロに学んでいたユリシーズ様ですもの。恐らく軌道に乗る事でしょうね。
侯爵様は子爵家にご融資をなさっていましたし、夫人はベビーグッズを買って与えていると聞きました。
夫人は『ユリシーズとエイラさんにはプレゼントしたくないけれど、生まれてくる子供に罪はありませんからね』と仰いました。
その後シリル様の卒業を待って、私とシリル様はめでたく結婚しました。
シリル様の初恋を実らせたこの結婚はたくさんの方に祝福をされました。
初恋の相手と言われると、なんだか恥ずかしくて仕方がありません。
シリル様に『何のきっかけで私の事を好きになったの?』と思わず聞いてしまいました。
すると
『いつも笑っていたから』
だと言いました。どう言う事?! シリル様は考えながら、
『小さい時僕が泣いていても大丈夫だって笑ってくれたり、花を見て綺麗と笑っていたり。お菓子を食べて美味しいと笑っていたりさ、些細な事だけどチェリーが笑っていたら大丈夫なんだって安心した。笑った顔が幼心にも可愛かったんだよ』と仰いました。
普通ですね……。
シリル様の周りには他に女の子がいなかったのかしら……?
変な顔をしていたのでしょう、シリル様は
『初恋なんてそんなもんだよ。だから初恋が実ったということは凄いことなんだと思うよ。家の事情もあるでしょう? だからチェリーとはそういう運命ってことでしょ!』
と言いました。そんな事を言われると顔がにやけてしまうでしょう?
シリル様と結婚することが出来て良かったです。
結婚式にはもちろんユリシーズ様もご出席されていて、愛のため弟に爵位を譲った素晴らしい兄と言う構図になっています。
それを聞くとユリシーズ様とエイラ様は何も言えなくなるので、まだこの作戦は使えそうですわね!
それからしばらくして我が家にも可愛い男の子が生まれました。
シリル様によく似た緑の瞳に、私のグレーアッシュの髪色を持って生まれてきたのでした。
私たちはまだまだ未熟ですが、孫が生まれた事により侯爵様は爵位をシリル様に譲ると宣言しました。
譲ると言っても孫が可愛いらしく、広大な侯爵家の離れに暮らしを移されただけですけれどね。まだまだ仕事も現役です!
孫のお世話をよくしてくださるのでとても助かっています。
二人目は女の子が生まれました。
シリル様とお義父様は、目に入れても痛くないほどの可愛がりようでしたし、侯爵家に女の子が生まれるのは久しぶりの事でしたので、みんなに愛され育っています。
シリル様が当主になりましたので、ユリシーズ様は実家とはいえ、おいそれと屋敷に出入りすることは出来なくなりました。
あの件からエイラ様の侯爵家への立ち入りは禁止となっています。門前払いされているとの事です。
よくのこのこと顔を出せる物だと呆れています!
……正直言って私も怒っていますのよ。
ユリシーズ様の代わりにシリル様を寄越せだなんて言ってきた無礼な子爵夫人に!
シリル様は未だにエイラ様を毛嫌いしていますので、お義父様とは違い子爵家には今後一切融資はしないと仰いました。
エイラ様が文句を言いに侯爵家に来たそうですが、もちろんお会いする事は致しませんわ。相変わらず礼儀知らずですね。
お義父様が今まで十分すぎるほど融資してあげていたでしょうに!
それでもユリシーズ様はとても優秀な方ですのできっと大丈夫ですわね!
陰ながら応援していますわ!
〜完〜
これにて完結となります。お読みいただきありがとうございました。
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愛していますよ、だから幸せになってくださいね!




