ベッカー子爵令嬢
あの人がチェルシーね。ユリシーズ様の元婚約者。ふふふっ。やったわね! これで私は侯爵夫人になるのね!
あの広大なお屋敷も、侯爵家の財産もぜーんぶ、私のものになるなんて。素敵!!
子爵家とは名ばかりの一般家庭のようなうちとは大違いだもの……使用人も最低限、使えるお金も最低限……ドレスだって沢山ないもの。
ユリシーズ様はちょこちょことプレゼントしてくださるけれど、これ! と言った決め手にかける高価なプレゼントはしてくれないのよねぇ……。アメジスト、嫌いではないけれど、ダイヤモンドの輝きには負けるでしょう?
それより!!
あのチェルシーが身につけていたブルーダイヤよ!!!
あんな素敵な宝石見たことないわよ! 伯爵令嬢の分際で身分不相応だと思わないのかしら?
私とユリシーズ様の結婚が決まったら、結婚祝いに譲って貰えるように言おうかな。
あんな貧相な胸元よりも私の迫力のある胸元に飾った方が輝きが増すわね。
【豚に小判・猫に真珠】とはよく言ったものね! あれ? 合ってる……よね? まぁ良いわ! チェルシーにはもったいないって事!
「エイラどうしたんだ?」
ユリシーズ様が不思議そうな顔をしていた。
「ほら見てシリル様とチェルシー様、仲が良さそう」
ダンスを終えた後に、シリル様のネクタイが乱れたのか、それを直すチェルシーに照れながらも満更でもなさそうなシリル様。
ふぅん。シリル様はまだ十六歳? まだあどけなさが残るけれど、ユリシーズ様の歳くらいになるともっとイケメンになりそう。騎士団に所属する予定で鍛えていると聞いたわ。細マッチョ具合が堪らないわね。
でも侯爵を継ぐのはユリシーズ様ですものね。残念、それじゃぁただの人なのよ。
「ユリシーズ様? どうかされたの?」
さっきから様子がおかしいわね。私と一緒にいるのに!
「いや。チェルシーのあんな楽しそうな顔見たことがないと思って……」
もしかして、未練とか?? やめてよね!
「ユリシーズ様には私がいますよ。私では不満ですか?」
ユリシーズ様の腕に胸を押し付けるように腕を組んだ。
「そんなんじゃないよ。知らなかった……いや知ろうとしなかったんだな。と思って」
「後悔しているの?」
「いや、反省をしている」
「別れた婚約者のことよりも、私のことをもっと知って欲しいですわ。ユリシーズ様のことももっと知りたい」
上目遣いでユリシーズ様を見る。
「そうだな。私たちもダンスをしようか?」
「喜んで。ユリシーズ様」
あぁ。チョロいったら!
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