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婚約は正式に白紙になりました


 ユリシーズ様はエイラ様を連れて、いろんなパーティーへ行っているとの事です。


 そしてシリル様に誘われたパーティーへパートナーとして出席することになりました。


「チェリーかわいいね。そのドレスとても似合っているよ。今度は僕に贈らせてね」


 さらりとシリル様から言われたドレスを贈らせてと言う言葉に反応してしまいました



「どういう意味かわかっていますの?」


 ドレスを贈るということは、正式なパートナーということです。夫婦とか婚約者とか恋人とか……



「もちろん。いつもは紫のドレスを着ていたよね。黄色のドレスなんて珍しいよね、すごく明るく見えて良い。いつもは落ち着いた感じだったし、そのブルーダイヤが際立つようで良いね」



 胸元を飾るブルーダイヤは隣国の王室から賜ったもので、とても貴重なものです。

 金額はプライスレスですがハートにカッティングされていてデザインも好みなのです。



「シリル様は褒め上手なのね。知らなかったわ……」


 新たな一面を垣間見た気がしました。


「褒め上手ってことはないけど、チェリーにだからだよね。今まで言えなかった分伝えなきゃね、さぁ行こうか」


 手を差し出されたので、手を取り馬車に乗りました。

 あれ? シリル様ってこんなに身長高かったかしら? 意外と筋肉質なのね……。など普段は思いもしないことを考えてしまいました。




 会場に着きました。本日は公爵家のご令嬢で、学園の先輩マリヤ様のバースデーパーティーでした。


 会場には学園の友人達もたくさん招待されていました。


「あら、チェルシー。シリル様と一緒だったのね」


 マリヤ様にお声をかけて貰いました。


「ご招待いただきありがとうございました」


 シリル様と共に挨拶をしました。


「あちらにユリシーズ様とベッカー子爵令嬢が来ているわよ? どうなっているの?」


 マリヤ様はこそりと聞いてこられました。シリル様と目が合いました。


「兄上には愛する人がいて、チェリーとは縁がなかったんですよ」


 サラリとマリヤ様にお答えするシリル様。


「ちょ、ちょっと!」


 焦ってシリル様を牽制するも



「あら! そうでしたの? だからシリル様がチェルシーと? よかったじゃない。決まったの? 婚約!」


「マリヤ様、声が大きいです。恥ずかしいので、その辺で……」


「あら? 否定しないのね。でも、うんお似合いよ。正直ユリシーズ様よりシリル様の方がチェルシーにはいいと思うわ」



「ありがとうございます。僕もそう思います」


 にこりと微笑むシリル様。こんな子だったかしら……




「それじゃあ、楽しんでね!」


 マリヤ様は他の招待客の方にご挨拶に行かれました。マリヤ様の婚約者様は第三王子殿下で今日は少し遅れてくるとの事でした。

 美男美女でお優しいお二人はとてもお互いを思い合って、お似合いのカップルなのです。


 ご結婚したら第三王子殿下はマリヤ様のお家に入られるそうで、公爵様の後を継がれるとの事でした。

 マリヤ様とユリシーズ様、シリル様は幼馴染で家同士も交流があるのだそうです。




「相変わらずだね、マリヤ様」


「えぇ、とてもお優しくて美しくて憧れますわね」


 後ろ姿でさえも美しいのですもの。



「僕は昔から可愛いチェリーの方が好みだけどね」


「もうっ! またそんなこと言って揶揄うの?」


 恥ずかしさからか少し拗ねるように言いました。


「ははっ、かわいいねチェリー」


 ふん。っとシリル様から顔を背けるとユリシーズ様とエイラ様がこちらに来ました。



「シリルとチェルシーは仲が良いんだな。チェルシーのそんな姿を今まで見たことがなかったような気がするよ」


「兄上、それとベッカー子爵令嬢」



「あら、ご機嫌よう。シリル様に、チェルシー様ははじめましてですわよね」


 強調された胸元が目に入ってしまいました。ユリシーズ様はボンッとした体型が好みのようですね。私の少し寂しい胸元は気にしないでおきましょう……。



「はじめまして。ベッカー子爵令嬢、チェルシー・フルーリーと申します」


「存じ上げていますわよ。この度はごめんなさいね。ユリシーズ様のこと」


 うふっ。と笑いながらユリシーズ様の腕を組みました



「とんでもないですわ。私達は家同士が決めただけの仲でした。私は愛し合っているお二人を応援いたしますわ」



 にこりと笑うと、ベッカー子爵令嬢は面白くなさそうな顔をしました。私の胸元を見ている? のかしら……首を傾げていると



「それでは僕はチェリーと踊ってきますので、兄上。ベッカー子爵令嬢失礼しますね。いこうチェリー」



 手を繋がれたのでペコリと頭を下げました。




「シリル様! 私のことはお義姉様と呼んでくださいな。弟ができたのですもの、ね?」


 ベッカー子爵令嬢は可愛らしい顔に妖艶な笑みを漏らしました。天使のような悪魔のような顔でした。




 




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