表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/19

プロローグ



「お互いのことを知りたいと思う所から愛が芽生えると思うんだ」


「はぁ……」



「私はベッカー子爵のエイラ嬢のことをもっと知りたいと思っている」



「……左様でございますか」



「チェルシーとは婚約者として一緒に過ごしてきたが、少しでも私のことを知ろうと思ってくれたことがあるか? エイラは私のことを知ろうと努力をしてくれるんだ」


「そうですか、それは、それは……」



「チェルシーは私のことをどれだけ知っている? 興味がないのではないか?」


「ユリシーズ様が思っているほど知らないわけではないと思いますよ?」



「では、私の誕生日は?」


「十一月七日でございましょう? 毎年パーティーをしていますわよね?」



「そうか……正解。それでは私の趣味は?」


「乗馬……遠乗りがお好きではないですか?」



「そ、そうか、正解。っそれでは私の好きな色は?」




「紫色ですよね……ご自身の瞳の色ではないですか?」


「そうか……それではだな、」






「ユリシーズ様仰いましたね、私が貴方を知ろうとしたことがあるかと……」


「あぁ……それが何か?」





「それでは質問ですよろしいですか?」





「あぁ、いいよ」


「質問その一、私の誕生日は?」


「……夏だったよな、確か……」


「えぇ」


「いつだった……?」


「七月四日ですわ」


「……終わっているじゃないか!」



「そうですわね」


「なぜ言わない?」


「なぜ? 逆にどうして覚えていないんでしょうか?」


「……あれだ! 誕生日パーティーをしていないじゃないか? 毎年していた! そうだろ!」


「今年はお母様が体調を崩していますので、盛大なパーティーは開きませんでしたが、屋敷でささやかなパーティーをいたしました」


「私は誘われていないということか?」



「そこの机の上に私の家からの招待状が置いたままですわね」




「……これか」


「質問その二」


「悪かった」


「それでは私の趣味は?」


「あれだ! おまえはよく美味そうに菓子を頬張っているから、食べることだろう?」


「……もしそうであっても、女性にそういったことを言うのはおやめになったほうがよろしいかと……。デリカシーが問われますわね」


「……すまん。趣味はなんだ?」




「ガーデニングですわ」


「……そう言われてみれば、花が好きだったか……。女というものは花が好きなものだな」


「女というものはという決めつけるような言い方は貴方の人格が疑われますわよ」


「そういうものなのか……気をつけることにしよう」


「あら? そこは素直ですのね」


「反省すべき点だな」




「質問その三」


「…………あぁ」


「私の好きな色は?」


「紫色!」


「なぜそう思われるのですか?」


「なぜって私の瞳の色だから」


「なぜ、私が貴方の瞳の色を……」


「よく紫色のドレスを着ていただろうが!」


「貴方が贈ってくるからでしょうに……」





「……何色が好きなんだ?」


「グリーンですわよ。癒されますもの」


「……そういうことは早く言ってくれよ」


「と、いうことを踏まえて申し上げますけれど、お互いのことを知りませんので愛が芽生えるわけもございませんわね」



「尤もな意見だ」


「ユリシーズ様はエイラ様のことをどれだけご存知なのでしょうか?」










 ……。




面白かった&続きが気になる! と思ってくださったら評価いただけると嬉しいです! 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ