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第75章 シクラメンの花が咲いている ***

コスモの絆☆☆☆ 第75章 シクラメンの花が咲いている ***

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


Scene.101


Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



かつての「宇宙船・トルストイ」に戻った立花博士は早速「SHADE」で彼の地に赴こうと旅支度を始めるのであった・・・

すると居室の扉が慌しく開くと相馬船長が慌しく駆け込んできた。


「博士、チョット待っていただいて宜しいでしょうか。私も貴方のお気持ちを尊重しているのに変わりはありません。でも、これまで共に不安な気持ちを共有しながら旅を共にしてきたわれわれの事も考えてはいただけないでしょうか。これまで数々の試練をなんとか掻い潜りながらもこうしてどうにか無事に我々は永きに渡る宇宙空間での旅路を共に歩んでまいりました・・・その輩の心境も解ってはいたいただけないでしょうか。」



「うむ、その心境とやらはどういったことかね?」



「我々は地球を追われて行き場のないところで新境地を求めている最中、「炎の鳥」の誘引であの「惑星・ムソルグスキィ」に辿りつく事になりました。そして既に存在している貴方が展開した文明に従って参ったわけですよね。


理想郷に希望を託してきた我々にとって一時はどうなる事かと思いましたが、中々不思議な世界を体感できました。

そして貴方たちの星にも「エゴ」という人類特有と思っていた概念が存在し、植物星人たちの独立国家が形成されていた事に腹立たしさと絶望を感じていました。そしてその頂点に君臨する幸恵の脅威、ひいては植物星人達の進化の末も幸恵と同様に「エゴ」で凝り固まった世界を構築し始めたのも肌身に感じてきたのでした・・・・


そして再び我々はこの宇宙空間に理想郷を目差して旅立ってきましたのではなかったでしょうか。そうです、貴方の理想的な「エゴ」に救いがあるのではないかと期待しての事でした。それなのにどうでしょう、貴方はこの永きに渡る次元をも超越したような宇宙空間を共にした輩を捨てて、今度は単独で旅立っていこうとしているのです。


我々の気持ちも少しは理解して下さい。貴方の理想の文明に我々は共感し続けているのです。その目的のためには我々は一丸となって、そう、ある意味戦友として共に未来を築いてゆく義務があると思うのです。これは個人的な問題ではありません。過去からの人類としての宇宙での存在を確かめるためのテーゼが神より与えられているのですから。」



「なるほど、君の言っている事は正論だろう。私は無心論者ではあるのだが、この宇宙空間での出来事や、「マヤの古文書」の研究を推し進めるに従ってどうしても神が存在しているように思えて使用が無いのだ。もとい、神の存在無しにはこの宇宙の存在は語りつくせないのではないかと、ね。よし、解ったよ。では、君の言うとおり共に出発しようではないか。新たなる心の理想郷を求めて!」




-*-*-*-*-


雪で真っ白な市街を最上階のオフィスから見下ろす幸恵。

窓の傍らのシクラメンがたくさんのつぼみを春未だと遠しと切なげに凝り固めている―――



そういえばあの冬の日もそうだったかしら・・・地球で暮らしてきた日々・・・



幸せな家庭で私は一人の息子を授かったのだった。束の間の幸せな生活は突如として勃発した火山活動によって私の家庭は引き裂かれてしまった。

生き別れる羽目になったその息子は今も何処かで暮らしているのだろうか・・・今となっては知る由も無いのだが。

私は何とか単独で「炎の鳥」により地球での窮地から救われたのだった。宇宙空間を彷徨ううちに生まれ変わったのであろうか、私は宇宙人として進化したようだ。思いのほか自由な立場と成った私は長い時間を経てあの星で立花と再会したのだった。



かつての「惑星・ムソルグスキィ」で立花との時を永きに渡って理不尽にも暮らして行った。そして時と共に彼を遠くへと追いやりすれ違っていくのだった。

いつしか立花が地球に居たころの事を口にしなくなってしまってから私は心を閉ざしていったのだった。



彼は執拗に「マヤの古文書」に描かれた世界を理想郷として具現化することに躍起になっていた。そして高等化していった植物達を従えそのピラミッドの頂点に君臨する事に夢を馳せたのだった。地球での生活の事さえ全て忘れてしまったかのようにその「エゴ」は膨らんでいったのだった。



私にはそれが辟易として映っていた。

家族でともに歩んだ地球での暮らしが私の全てなのだった。

理想とか夢とか言う言葉では計り知れないほどの幸せを感じて。

しかし彼の「エゴ」は留まるところを知らなかった―――



立花の側近で懇意にしていた植物星人・桜とは常日頃、彼のことについて議論してきたのだった。

そして私達は一つの回答に辿りついた。立花の下を去ろうと・・・



そして桜の口利きにより立花の下で嫌気がさしていた植物星人たちを我が陣営に招き入れ、新たなる理想郷の構築に乗り出すこととなった。

それを確立するために我々の陣営は立花と真逆の体裁の「エゴ」によって武装する事となって行くのだった。



私は先ずはマヤ地区を占拠した。そして二極化は更に進んでゆき我々が多勢となった頃、「モモ地区」においてもあっけなく占拠する事が出来たのだった。そして過去の理想郷はやがて私色の世界へと変わっていった。



その成功に気を良くした私の「エゴ」の形も変化してゆく中で、その形は結局のところ立花の展開する「エゴ」の形と何ら違わないものになってしまったのだった―――


その大きな失態に気づいた頃にはもう遅かった。



権力争いは私の元でも水面下で深刻化していたのにも関わらず、露知らずの私はエゴを謳歌していたのだが、いよいよその脅威が眼前に迫ると統治のコントロールが不能に陥った。



そして人類の末裔がこの星に降り立った事を知るや、すがる思いで人類の「フォース」による統一を画策した私は、浮谷教授にネゴシエーションしたのだった。

浮谷教授は二つ返事で私の意見に共鳴したのだった。しかし時既に遅し、とうとう植物星人たちにクーデターを画策されるや、まんまと更迭される羽目となったのだった。

かつての戦友達は私の元から離反して言ったのだった―――



ナティスが人類の末裔の中でキーマンとしてAIデータが弾き出していたのだが、我々に代わっていずれこの星を乗っ取る勢力を身につける可能性が高いことも時間の問題であり脅威であった。

立花の筆頭の側近という体裁で立花勢力に潜入しSPYを演じながらも実は我々に情報を流していた桜だったのだが、立花からの新たなる指令として、ナティスの尾行が始まった。

そして桜はナティスと共に旅立っていくのであった・・・SPY活動は続けたままに。



浮谷教授は熱心に人類のみが携えているという「フォース」について私に語った。

どうやらそれは、ナティスの研究により導かされたという事で、その発見は後に立花の研究により完成の域にまで達することになったのだと知った。

その秘めたるパワーは宇宙空間において歪を与える脅威であり、ひいては宇宙を凌駕したのも同然との話だった。

その頃の私にとってそれは最大の見方を身につけたような気がしたものだった。

しかし現実としてフォースについての資料は浮谷教授の手元には存在していなかった。結局のところ全てを知るのは立花のみであったのだ。

私は桜からの情報を元にAIを駆使し解読に当たったのだが、結局のところ志半ばで桜はナティスと再び旅立ったので諜報活動は頓挫してしまった。私の目論みはことごとく外れてしまった。



そして数少ない配下を従えた我々にもあの「惑星・ムソルグスキィ」を旅立つ日が来たのだった。新たなる理想郷を求めて・・・私はもう一度かつての青き星を求めて彷徨ったのだった。きっと息子と再会する日が来るだろうと信じて―――



私が宇宙人だったからなのか、奇跡的にも私は無限に広がる宇宙空間の中で理想郷へと導かれていったのだった。そしてかつての地球とそっくりのこの「惑星・名もなき影」に、かつての記憶を持ったまま我々は生まれ直したのだった。



配下の植物星人たちと浮谷教授の献身によりこの星に根付く事となった我々は、かつての「惑星・ムソルグスキィ」での後悔もあって、より地球での状況を再現する事に注力し、「理想のエゴ」を念頭にやり直していったのだった。私はこの星で君臨するのではなく、傍らからそっと見守るという形でAIを神として牛耳られる体裁を取っていったのだった。



いつか再会できるであろう、我が息子の戻る場所を守るために――――


















-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆











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