第72章 砂のSHADE Ⅲ・・・ -
コスモの絆☆☆☆ 第72章 砂のSHADE Ⅲ・・・ -
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Scene.97
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「生まれ変わり」の作用によって改変された思考形態が芽生えた幸恵について立花博士は議論を続ける。
「ところで、ナティス君。私はこれからしばらく留守にする。その間、この船を守って欲しいんだが、頼めるかね?」
「はい、もちろんお引き受けいたしますが、どちらへ行かれるのですか?」
「うむ、実は「惑星・名もなき影」にある植物星人の拠点の一つを叩いてこようと考えていてね。幸恵はおそらくそこに潜んでいるはずだし、ナティス君、君も知っての通り奴らは不死身の肉体を持っているのだろう。このまま放置しておくといつまた何処から何を仕掛けてくるか解らないからね。」
「そうですね・・・・確かに。それにしてもどうしてあの時、私を多分、隔離しようとしてきたのでしょうか?」
「うむ、それも気になる点だが、恐らくは我々を先に始末しようと企んでいたに違いないだろうね。」
「そうなのですか?!」
「ああ、奴らの狙いはこの宇宙を支配し、全人類の奴隷化を目論む事だ。我々人類は奴らに取ってみれば単なる実験動物に過ぎないんだよ。かつてもそうだが、我々はいつも奴等の手のひらの上で踊らされ続けているだけなのだよ。」
「そうだったのですか・・・そして植物由来の星人とそれにより作り出されたアンドロイドで構成された世界に・・・」
「きっとそうだな。だから、今回も油断できない状況なのは間違いない。そこで、ナティス君、君に頼みがあるのだが、もし仮に私が不在の時に敵が攻めてきたとしたら、いずれ君の持つ「SHADE」の力を使ってこの船と船に乗っている皆の命を救ってもらいたいのだ。」
「はい、わかりました!この船には流石助手だけでなく、雨宮女史とタイ国王や人類の末裔たちもいるわけですしね。必ず守り抜いて見せます!!」
「ありがとう。頼んだぞ。」
そう言うと立花博士はナティスを優しい眼差しでお辞儀する。「あ・・・それから私からも一つ考えがあるのですが・・・いいでしょうか?!」
「ん?なんだね?遠慮なく言ってごらんなさい。」
「はい・・・私はもう一度宇宙星人犬・桜に会って、本心か或いはこれからの意図を問い詰めたいとも考えているのです。」
「ふぅ~む・・・」
「駄目でしょうか?」
「いや、それは悪くはないと思うのだが、今度こそ幸恵の思うつぼにならないようにしないとな。君は一度その罠に嵌っているのを忘れては居るまいな。」
「ええ、わかっております。ですが、あの時の記憶が蘇るとどうしても・・・確認したい衝動に駆られるのです。どうしてもこれまでの長い時間宇宙空間に漂いながら語り合った仲だった事がそう簡単に裏切りに変わるとは思えませんので。」
「ううむ、そうだな。よしわかった、そこまでの決意なら私が止める理由など無かろう。くれぐれも用心を怠らぬようにすることだ。では気をつけて。」
ナティスは立花博士に深々と頭を下げると早速流石に「SHADE」の伝授について相談に向かった----
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「流石さん、おはよう。それに雨宮女史、タイ国王、それと・・・」
「ナティス君、決心したのですね。」
「あら、ナティスちゃん、すっかり大人っぽくなって見違えたみたいで。」
「おお、ナティス殿、久しぶりだな。」
「皆さん、このたびは突然の事で申し訳ありません。実はお願いがあって参りました。実は私はもう一度だけ桜に会う事にしました。それでですね・・・「SHADE」の伝授の儀式を行いたいと思いますのでよろしくお願いします。」
「ええ、それは構わないのですが、しかし貴方の体調は大丈夫なのですか?先程までずっと眠り続けていた身でありましょう。」
「はい、心配は無用ですよ。こう見えても私はかつての地球人、宇宙空間最強の存在と自負していますから!」
「それは頼もしい限りね。でも、気をつけないとね。ナティス君、あんまり無理しないでね。」
「はい、有難うございます。」
「では、ナティスさん、私から一つだけ質問をさせて頂いてもよろしいですか?」
「はい、何でしょう?」
「はい、実はナティスさんに「SHADE」の力を授けるに当たって、私の命を捧げるつもりで特訓しようと考えているのです。そしてあの頃のように、貴方のお供をしようとも考えております。如何でしょうか?」
「えっ、そんな事をしてはいけませんよ!だって、貴方は私を救ってくれた恩人ではありませんか。それに・・・」
「いえ、だからこそ、です。ナティスさんの身にもしもの事があった時の為にも、この力は必要だと考えているからです。それに・・・私も覚悟は出来ていますから。」
「そう・・ですか。わかりました。それならば私もそれを受け入れようと思います。ただし、条件があります。」
「何でしょうか?」
「はい、雨宮女史にも一緒に受けてもらいたいのです。」
突然のナティスからの依頼に雨宮が飛び上がる。
「えっ?!・・・・そうですか。解りました。ではタイ国王もご一緒って事で宜しくね。」
「へっ!・・・・ううむ、では承知しようかな。」
「ありがとうございます。では、準備が出来次第始めますね!」
こうしてナティスと一行は「SHADE」の伝授を受ける事になるのだった----
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「では、ナティスさん、目を閉じてリラックスをして下さい。」
流石がナティスの手を握りながらそう言うと、流石の身体が異様に光輝き始めるではないか--- そしてその光が徐々にナティスの中に入っていく。
「はぁ~ん、あ、流石クン、ちょっとばかしくすぐったいな・・・」
流石がナティスに「SHADE」の伝授を行っている間、雨宮は見よう見真似でタイ国王に「SHADE」の伝授を行っていた。
「はあ・・・」
「どうされましたか?タイ国王様。」
「いや、実はな。雨宮女史・・・」
「はい・・・?」
「実はな、ワシは今年でもう百五十歳になるのじゃ。」
「まあっ?!そうなんですね!それはそれは・・・」
「ああ、それでな、そろそろ王位を誰かに譲って隠居生活に入ろうとも考えておるのだ。」
「それは素晴らしいお話ですね。」
「うむ、そこでな・・・」
「はい・・・」
「ワシと結婚してくれんかのう。」
「ええええええ~んもうぅ、国王ったらエッチィ~~~~~」
そんなこんなでこの砂の大地で新たな生活は続いてゆくのであった・・・
ナティスにとってはひと時の休息のような気がして――――
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///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆