第70章 砂のSHADE Ⅰ・・・ -
コスモの絆☆☆☆ 第70章 砂のSHADE Ⅰ・・・ -
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Scene.95
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すっかり地球人の風貌に戻っているこの不思議な夢の中の立花博士は話を続ける。
ナティスの疑義をもものともしない様子で・・・
「しかし君はあぶなかったねぇ・・・幸恵の牙城に再び引っかかる所だったからな!
これまで君と一緒に永きに渡ってともに旅をしてきたあの植物星人・桜の事だが、実はね、というか私もすっかり騙されていたのだがあの星で永く生活してきた私としてもすっかり警戒心が消え去っていたのだが、とっくに幸恵に買収されていたとは・・・
そうなんだ、そもそもかつて桜は私とともに宇宙空間を長旅してきた戦友だったのだが、いつしか幸恵のスパイとして我が「マホロバ地区」でスパイ活動を行っていたのだよ。警戒心の無い私は彼女を幸恵の居城である「マヤ地区」のスパイとして送り込んでいたのだが、実はその裏で幸恵と密約されていたのだった。いわば逆スパイだな!ハハッ!桜の奴があの脳波で全てを読み取るエリアにおいてスパイ活動など行える筈がなかったのを私はすっかり過信していたのだ。そもそもそれにこれっぽちも不思議に思わなかったのだからね、私も歳をとったもんだよ・・・」
桜が?スパイ?しかも逆スパイ・・・ということは僕の元でもそれは遂行し続けられていたのだったろうか?とすればだ、私が此処「惑星・名もなき影」において行ってきた行動においても全て幸恵に筒抜けだったという事だろうか~~~~~
余りの驚きにナティスが目を丸くする。ただ、此処は死後の世界化はたまた夢の中であるから、ナティスの半信半疑は続いている。
「ナティス君、すでに君の脳波から私に彼の「惑星・名もなき影」での出来事はインストールさせてもらった、たった今ね。そうか、君はあの星で明日幸恵と会う予定だったのだね。しかも既に幸恵の子分となった相馬船長の言葉に騙されて・・・しかし寸での事だったな、いやいや危なかった・・・君はまだ夢の中での出来事との解釈ではあろうが、既に実際に君はこの砂の星に存在しているのは事実なのだと認めて欲しい。何れ解るだろうがね。あのまま君がベットの上で朝を迎えていれば幸恵に捕らえられていた事であろう。そして君は生涯幸恵のしもべとして利用され続けることになったのだから・・・」
その言葉に少し我に帰った気がしたナティスがようやく話し始める。
「ということは、この砂の星で今起こっているのが現実という事でしょうか?そして私はあの星のベットのうえに既に居ないと?一体どうやって此処に到着する事ができたのでしょうか?」
ナティスのその言葉を待っていましたという表情の立花博士がニヤリとする。
「そうだねぇ、何処から説明すれば良いのやら・・・・話せば長くなるのだが、要約するとその答えは君が「マヤの古文書」から導き出した一つのフォースの成せる業だったのだよ。日夜研究していた私も、そして私の良き友と思っていた浮谷教授でさえ見つけ出せなかった事を、かつての君は学生の分際でいとも容易く発見したのだからたまげたねぇ。君の才能には脱帽だ。そのフォースというのは名づけて「SHADE」だ。本来ならば君の論文をそのまま君の発明として航海するべきだったのだが、私はそれがこの宇宙空間にもたらす、もとい次元構造をも脅かすであろう脅威として悟ったため、内密にそれを完成の域にするために尽力してきた。そしてついにそれを完成することができたのだ。ただし、ある一人にはそのフォースの使い方を既に習得させておいたのさ。何を隠そうそれが此処にいる流石クンなのだ!」
ナティスはこの読めない展開に言葉を失う。一体私が発明したという「SHADE」とは?
すると、黙って博士の話に聞き入っていた流石が話し始める。
「ナティスさんとは少し前に再会していますよ、お忘れですか?」
アッ!と思わず叫びそうになるナティス、そういえば・・・・
「そうです、貴方が彼の「惑星・名もなき影」に到着した頃、喫茶店で。
まるで私は前からあの星にいる住人のように会話していましたが、あれは「SHADE」を実際に使用した事によって可能となったのです。おかしいと思いませんか?私と貴方はつい先ほど再会したばかりですよね。なのに数日前に彼の星で会話している事が時間軸的に前後していますよね。
そうなのです、このフォースでは時間と空間を捻じ曲げる事によって接点を如何様にも張り合わせる事が可能なのです。それによりそこに自分を存在させる事ができるのです。数分前に出会った立花博士と相談し、その場でそれを実行したのです。博士は最後までまだ早い、待てとフォースの使用を反対しておりましたが、貴方の立場が幸恵さんの脅威にさらされている状況がAI受信された事で「SHADE」を発動したのです。私は無の境地で念じる事によりこのフォースを施したのでした。植物星人犬・桜が貴方の居場所から離れたのを見計らってこちらに連れ出したのです。そして貴方を驚かせないように、あたかも再会した様子で振舞いましたが。
今、貴方は確かに此処に存在しています。これが現実なのですよ!」
いつまでも続く現実離れした話に頭の中をかき回され続けるナティス。理解の範疇を途方もなく超えているフォースである「SHADE」をこの私が発明したのか?時間と空間を捻じ曲げる事によって接点を如何様にも張り合わせる事が可能って一体・・・・・
この疑義を脳波で読み取った立花博士が付け加えるように言う。
「どうやら混沌としているようだね、君の思考は。そだね、それは無理もないことだろう。わたしもこのフォースを知った数日間というもの、その偉大さにどう対処してよいか皆目見当もつかなかったのだからね。つまりね、このフォースの使い方次第では人類をも凌駕しそのピラミッドの頂点に君臨する事ができるばかりか、宇宙の基本構造に働きかける事でさえ可能となってしまうのだからね。何とも恐ろしい事だ。
ただし、既にこの「SHADE」を使った事による宇宙空間の「歪み」は発生している筈。それが何処なのか、或いはどの時間なのか、はたまたどのように空間に脅威を与えるのかは神のみぞ知る、といったところだがね。少なくともこの「歪み」にたいする反作用は何れ我々にも影響するのではなかろうかと危惧しているのだが。しかしだ、君の身に鬼気迫るこの状況下において、ほかに成す術は無かったのだよ。そして、もしかするとこの君の発見である「SHADE」は、必要悪として君の身を救うために神が君へと授け、そして我々に使用を許可したのだろうと解釈したのだ。そのために神の力が降臨したのだとねっ!」
ナティスは立花博士と流石助手の言う言葉を全て飲み込めないまま虚ろな現実を受止めるしか術が無いでいるのだった――――
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///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆