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第64章 さらば「惑星ムソルグスキィ」∑∑∑

コスモの絆☆☆☆ 第64章 さらば「惑星ムソルグスキィ」∑∑∑

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



Scene.89


Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



「炎の鳥」は変わり果ててしまった生まれ故郷である「惑星ムソルグスキィ」に別れを告げるが如く、よりいっそう黄金色に輝く燐粉を漂わせながら漆黒の宇宙空間の中へと飛翔してゆくのであった――――



鳥に乗せられて脱出を図るかたちとなった人類の末裔達。

久方ぶりの静寂に包まれた宇宙空間、何故かしら安堵の安らぎさえ憶えるのであった。

その面々には、希望とも絶望ともいえぬ悲しみにも似たものが込み上げる。



立花博士にとってあれほど悪妻であった幸恵のことが、唐突な別れの今になって後ろ髪を引かれる想いへと変化していった。


嗚呼、思えば1億年という途方も無い月日をこの星で過ごしてきたのだなぁ。

私は全身全霊を賭けて「マヤの古文書」をテーゼとした異境地での開拓を成し遂げてきた。

確かにわたしは此処で君臨し続けたのだ。そう、それは間違いでは無かろう。

私にとっては、楽園だったのに違いなかったから。

理想の文明を築くことが出来たのだから。


この宇宙で一番の居心地の良い場所、居場所を見つけることができたのだ。

きっとそれは語り継がれてゆくことだろう。

それが今後どう変化しようとも私に知る術も無く、私には確かに生きた証のみが残る。

記憶の片隅に仕舞って置こうか。時々取り出してみれば唯それだけでいい――――



宇宙の安堵の闇の中、行く末も知れない人々はいつしか深い眠りに就いていった。

行く先は鳥のみぞ知ることだろう――――




-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



静かに、そして果てしなく続くこの宇宙――――

誰のためでもなく、全ての星星は生命を宿しては消えてゆく。

その一瞬の光陰の中で小さな曼荼羅が幾重にも織り成されている。

存在の意味さへ知る術も無く、ただ輪廻だけが繰り返されてゆく。

残酷にも理不尽にもこの世に確かなものなど無く、ただ光っては消えてゆく。

様々な姿に変化しながらも時空を彷徨う魂たち。

色即是空 空即是色 存在は無に等しいのか。

何処から生み出されたのであろう。

存在を誰が証明できるというのか。


全ては己の五感に他ならず、何も答えなどくれやしないのだから。

虚無の中それでも尚、宇宙は存在し続けるのであろうか――――





Scene.90


Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



マチコは「名もなき影」の中で生まれてこの方暮らしてきた。

この星の人々はAIによってインストールされる能力によってそれぞれの進路を導かれていた。大元のAIがどのような存在なのかはこの星の住人は誰も知らされて居なかった。

誰もがそれを疑うでもなく、それが当たり前の掟であって離反という言葉すら存在はしていない。そう、誰もが疑う事さえ知る術を持ち合わせては居なかった。


人々には「エゴ」という概念すら持ち合わせていなかった。

人々は皆平等を享受し、あたかも人の上に人は存在しないように形作られてきたのだった。

過去の歴史も現在進行形で波風も立たずに未来へと安定的に進化してきたという教育をされていた。破綻する事も無く、時として不幸を感じる事すらなく、それが「幸せ」という概念であるとインストールされてきたのだった。


ナティスはこの星に存在するAI情報をランダムに収集していた。

「マヤの古文書」解明の知識と照らし合わせながらAIの正否について一種の疑義を持ち合わせながら紐解いてゆくのであった。



―――待てよ、ということはだ、かつての人類が地球時間3000年の頃に持ち合わせていた科学のレベルとは異なる方向性においてこの星の未来予測が定義付けられて来たような気さえする・・・・

僕の描いた希望の世界、と桜は言っていたが果たしてその域を超越してはいないか?

まるでこれはスピリットとなる哲学的要素の方向性が全く異なる次元での進化を遂げてきたような印象だ。

なんだろう、パッと見地球上と区別できないほどの類似した環境ではあるが、この星の人類の考え方として、例えば抽象画のファンタジーと理詰めの科学が程よくブレンドされたマイルドな状態として・・・ブレンド?



ふとナティスは程よいブレンドのコーヒーが無性に呑みたくなった。

そう、この星での程よい感じの。


タブレットでコーヒーを注文する。ほどなくしてボットが部屋まで運んできた。

猫舌のナティスがかき混ぜて冷ますと一口すする。うん、程よい。


傍らで見つめている桜が何やら察知したのか脳波にアクセスし始める。


「ナティスさん、彼がやってきます、きっとさぞ懐かしい方ですよ!」


すると部屋のドアをノックする音が聞こえてくる。

桜が再び言う。


「彼は安全です。マチコさんよりも・・・中へお招きして下さい。」


不思議な事をいう桜ではあったが、とりあえず部屋のロックを解除する。


そそくさと入り込む人物は慌ててきたのか息を切らしている。

それは・・・浮谷教授ではないか!


「やぁ!ついにこの時が来たんだ!永かったぞ~、ナティス君。」


「う、浮谷教授・・・何故?」


「話せば長くなるから端的に言うと、要は、私は生まれ直したんだ。」


「生まれなおし?」


「ああ。私は「炎の鳥」で星から脱出しこの星に到着する際に記憶を持ったままの魂となり、この星の星人として生まれなおしたのさ!永き記憶はそのままにね。しかし人間の記憶は果てしないね!一体人間の脳のキャパシティーはどれだけの容量があるのだろうね!」


「はぁ・・・教授、失礼ですが何言ってるかわかりません・・・」


「まぁ当然だろう、そのうち解るさ。そうそう、君を待っている方が今首を長くしておいでだよ。」


「え、どなたでしょうか?」


「うん・・・幸恵さんだ。驚いたかい?」



ナティスは想定外の浮谷の登場に驚きを隠せないばかりか、彼の地の女帝・幸恵の存在には尚一層の脅威であり、震え上がる思いが込み上げるのだった。

一体何の魂胆なのであろうか、と――――







-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆















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