表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/103

第63章 エゴの功罪Ⅴ ⊿⊿⊿

コスモの絆☆☆☆ 第63章 エゴの功罪Ⅴ ⊿⊿⊿

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



Scene.88


Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



「モモ地区」の植物星人に連行され幽閉されてしまったかつてのピラミッドの頂点に君臨した幸恵ではあったが、今はコントロールの権限全てを星人たちに乗っ取られてしまっていた。

浮谷教授も同様に幸恵の側近として連行されていた。


「幸恵さん、やはり我々は植物星人たちに追放される運命なのでしょうか?」


「そのようね。ちょっと私達夫婦の在籍期間が永過ぎちゃったのかも知れませんわね。」


「在籍って・・・これは貴方の「エゴ」による独裁のせいでしょうが!」


あまりの無責任な振る舞いの幸恵にとうとう苛立つ浮谷だった。



その頃「マヤ地区」の攻撃は沈静化されていった。植物星人達は既に他の地区へと避難していたため被害者は出ていない様子であった。しかしかつての未来的で平和な街並みは燃え盛る炎の中で焦土と化していたのだった。かつての「幸せ」の名の下に築かれた生気の無い街並みは、独裁者の「エゴ」の顛末として消滅して行ったのだった。


「マホロバ地区」のバリケードの前には未だリニアが集結し無数の植物星人達を吐き出し続けている。まるで難民となった植物星人の地区への侵攻は、もはや時間の問題となっていた。


立花博士の側近であるネムはもはや「マホロバ地区」の実権を握っているようなものだった。「モモ地区」からやって来たかつて立花博士と共に宇宙空間で旅をしてきた戦友・ジョーとのコンタクトを開始し始める。



「ジョー、私は立花博士の側近ネムであります。憶えていますか?ようやく永きに渡る博士夫妻からの独裁から開放されるときがやってきました。よく耐え忍んできましたね。」


「おお、これはネム様!ご無沙汰です。勿論憶えていますとも。それでは我々をこの地区に受け入れて下さるというご決断をされたのでしょうか。」


「はい、ようこそマホロバへ。これからバリケードを開放します。順番にリニアで入場して下さい。」


司令塔となったネムは勝利の実感をかみ締めるのだった。この永きに渡る夫妻の束縛からようやく解放された自由の念を味わっていたのだ。ネムはバリケードの開放を命じる。


静かにバリケードが開かれてゆく。バリケード前の植物星人の群衆が喚起の叫びを上げている。人々の目には喜びの涙が滲んでいた。この瞬間、様々な思いが交錯する。

根の部分で繋がっている星人達は一本の木の如くこの喜びを共有していたのだった。

そしてこの「惑星・ムソルグスキィ」は植物星人の統治する星として、未来永劫歩んで行くのだろうと誰もが痛感するのであった――――




Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



立花博士は人類の末裔達とこの境遇の未来について語り明かしていた。


「いずれ我々は植物星人たちの囚われの身となってしまうのだろうか。」


雨宮女史はタイ国王とブランデーを傾けている。


「それでも今まで中々楽しかったじゃない。ねぇ、国王。私、もう思い残す事など御座いませんわ!」


「何を仰います、それでは囚われた暁に我々の持つ「フォース」の力を利用されるだけでしょう。未だ結果は出ていない筈ですよ。」


そう言いながらも暗い表情に沈むタイ国王であった。

他の連中も静かに事の成り行きを見守り続ける。

すると、立花博士が立ち上がるや皆を中庭へ連れ出す。



中庭に到着すると真っ暗闇の中に一羽の「炎の鳥」が待機していた。

一体どうして・・・一同が金色に輝く鳥の様子をうかがう。

するとどうしたことでしょう、鳥の後部ハッチが開放されていくではありませんか!



「皆さん、どうぞご搭乗下さい。さぁ、早く!」



立花博士に促されるままに人類の末裔達はハッチから登場を開始する。

皆が登場し終える頃、大勢の植物星人たちが中庭に押し寄せてきた。


「くそう、逃がさんぞっ!」


星人が「炎の鳥」に飛びつくのが先か、ハッチが閉まるのと同時に鳥は羽ばたいて行った。金色の燐粉をより一層神々しくも優美に、辺り一面に撒き散らしながら――――




-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



鳥は全てを知っていた。

植物星人に「エゴ」が芽生えた事さえも。

星人たちがいずれ「フォース」を身につけるだろう事も。

全ては鳥にとってお見通しであった。

歴史が繰り返されているだけだったのだから。

立花夫妻の統治するずっとずっと前の頃から、この星に巻き起こる全ての事象はこの地でのみ生誕できる鳥達のDNAにすでに刷り込まれているようでもあって・・・


鳥は悲しんでいた。

どうして人々が「エゴ」を志すのかと。

何故我々のように自然に振舞えないのかと。

もっと星を大事にすればいいのにと。

もっと宇宙空間の中で自由を堪能すれば良いのにと。


生命は生まれて育ち、そして死んでゆく。

その自然な営みに何故「エゴ」が必要なのかと。

なんて無意味なその衝動。

なんて理不尽なこの世界。

何故に力を行使してまで欺き続けなければならないのかと。


鳥は全てを知っている。

そして鳥は立花博士の「願い」のもと舞い降りた。

人類の末裔の「祈り」が鳥には伝わった。

もうご安心下さい。

貴方がたの新たな住処を探しましょう。

そして新たな人生を築いてください。

貴方たちはきっと悟りましたね。

そして「エゴ」の功罪を認めましたね。


あなた達の旅路は貴方がたが決めるのです。

「エゴ」とは異なる領域の希望を求めて。

そうです、それは貴方たちの「フォース」によるもの。

もっと自由に発想しましょう。

そうです、貴方が望めば道は開かれてゆくのですから・・・



鳥は全てを知っているかのごとく我々を宇宙空間へと連れ出すのであった――――







-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ