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第62章 エゴの功罪Ⅳ ⊿⊿⊿

コスモの絆☆☆☆ 第62章 エゴの功罪Ⅳ ⊿⊿⊿

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



Scene.87


Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



「すると・・・私はナティスさんと旅をしていたという事でしょうか?」


困り果てた様子で眉をひそめながらナティスに食い入るように見つめる流石。

ナティスは流石助手の表情にハッとする。

しまった・・・この様子から察するに、目の前の流石はやはり別人なのか?


「もしかして・・・ナティスさんはコンタクト取ったのですか?」


流石のその言葉に動揺を隠せないナティス。どうやら流石が興味を持ち始めたらしい。


「ということはですよ、あなたは私とそっくりの異星人と共に旅をしていて・・・ええと、あくまで私の想像ですので気を悪くなさらないでください・・・というか、学会でも様々な推測を立てていましたから不思議ではありませんよね。ナティスさんだって可能性として様々な見解を論文にされていた事ですし・・・それとも例の「マヤの古文書」の研究の一環でしょうか?私が異星人とした場合のコンタクトの方法を実演されているのですか?」


流石助手は矢継ぎ早にナティスに質問を浴びせ始めた。

そして我に帰ったようにさすがは真顔になると冷静に話し始める。


「実はですね、先日私が夢の中で先ほど言われたような体験をしておりまして。それがですよ、私もあの「宇宙ステーション実験船・トルストイ」に乗ってナティスさんと旅をしていました。それから私はもう一歩進めた研究のために船に積んでいた補助船で新たな惑星探査のために別行動を取ることになったのです・・・あくまで夢の中の話でして。」


「それで?」


「はい、私はついにある惑星を発見しました。しかしその惑星に突入する際に何かしらのタイムリープの仕業なのか、時限の歪が生じたのか・・・急速に若返って行き、更には子供になったかと思うと一気に赤ん坊になってしまい・・・その星の高等生物の胎児として新たにその星で生誕したのでありまして・・・そしてそれまでの記憶はすっかり消されてしまったのです・・・」


「すると・・・君は実際には私と旅はしていない?」


「当然貴方は今回の宇宙実験のミッションに選ばれた逸材ですが、私は一研究者に過ぎませんので、生まれてこの方この星から出た事はございません。」


「ということは、ずっと地球にいたのですか?」


「地球?失礼ですがそれは一体何ですか?」


「だから此処、この地球から・・・・え?」


「は?この星は惑星「名もなき影」ですよね?」


その言葉にナティスはついにめまいを覚えるのであった―――




Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



取材の予定を告げられていたナティスは酷く疲れているという理由で今日の予定を全てキャンセルする事にした。流石助手と別れると再びホテルの一室に引きこもる。



流石助手からの情報を分析すると、今日対面した流石は宇宙空間の流石助手と瓜二つの姿であるにも拘らず別人であり、この星に生誕して以来一歩も宇宙空間には出ていないという事だった。そしてこの星は地球にそっくりではあるが地球ではなく、惑星「名もなき影」であり・・・マチコももしかすると過去に会ったマチコとは別人であって・・・そして僕の事を別人のナティスと勘違いしているだけなのだろうか?

しかし不思議と一致している話が、流石が見たという「夢」の内容だ。

それは私と宇宙空間で旅をしており、惑星目差して旅立っていったという話。

これは偶然の一致なのであろうか、はたまた何かしらの要因でタイムリープが引き起こり流石はこの星に辿りつくやこの星の星人として生誕したのだろうか。それまでの記憶を全て消された状態で・・・

私の大学院時代と食い違っているのは、私の同期に流石助手は存在していなかったという事実だ。様々な記憶違いが重なってこの状況となって存在しているのだろうか?


いや、待てよ、スパイ犬桜は確かに私とこの星に辿りついた。

そして昨日も脳波で私に意志を伝えた。それは気のせいかも知れないが。


桜の存在を彼らは不思議には思ってはいなかった。もっとも私は大学院時代に犬を飼った事などなかった。

彼らは一体何処で桜の存在を認知していたのだろうか。

やはりこの星が彼の地「地球」ではないという事実を物語っている―――



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



ベットの上で考え込んでいたナティスはどうやらうたた寝をしてしまったようだ。

時計は既に16:00を回っていた。

するとドアをノックする音がした。マチコだ。


マチコは学会を終えると流石から様子を聞きつけ心配でここに来たのだった。

桜も一緒だった。


「ご気分は如何かしら?話は流石さんから聞きました。きっと宇宙空間での孤独な時間が長かったせいで色々と空想してしまったのかも知れませんね。よくあることよ。」


「うん、そうかもしれないね。マチコには理解できないだろうし・・・」


「そうねえ、もしそれが事実だとしても私は何も不思議には思わないよ。」


せめてもの慰めでマチコはそう言ったのだろうか。


「きっと寂しいだろうと思って、今晩は桜を置いていくね。」


そう言い残すとマチコは出て行った。

目の前の桜はいつものように傍らでお座りをしてこちらを見上げている。

すると、又もや桜から脳波が送られてくるではないか!


「ナティスさん、現実を直視するのはさぞつらい事でしょうね。しかしですよ、これが貴方の描いた世界そのものなのです。」


以前と同じ言葉を繰り返す桜に質問する。


「何故僕はこんなにもかつての地球に似た世界を導いてしまったのだろうか?」


「それがあなたの希望に他ならないのです。もしかしたらそれは人類のみが持ち合わせているという「フォース」の一つなのかも知れませんが・・・」


ようやくナティスにも理解できる言葉が告げられたような気がした。

そうだったのか、我々人類は希望した事象を現実にする事ができる能力を身につけているということなのだ。そうすると全ての辻褄が合ってくるのではないか。

さて、どこからが僕が導いた世界なのだろうか?ともすれば地球に生誕してからの全ての事象がそうであろうか?或いは人類それぞれが思い描く世界が交錯して構築されており、その要所要所に自分の希望を織り交ぜながら現実を構築しているのかも知れないな。

地球があって宇宙空間があって・・・しかし宇宙空間に飛び出した者でなければ宇宙を実感する事など出来やしないのだろう。そして未知の惑星を構築し、そこに高等生物と高度文明を構築し様々な生命活動を営ませて人生をも構築しているのかも知れない・・・と。


すると桜が再び脳波に訴える。


「もし、「フォース」を持ち合わせている他の星人がいる可能性はないかしら?そうであれば全て自分の思い通りにはならないのでしょう。自分の範疇では予期することのできない事象も存在し始めるかもしれません。未来の一寸先は闇なのですから、様々な星人の思惑によって織り成されている可能性もあるでしょうし・・・或いは全ての将来は「神」のような存在に仕向けられて操られている可能性すらないでしょうか?例えば「マヤの古文書」が実在の事を綴ったのか、フェイクであるのか、神によって仕向けられているのか・・・過去に戻らなければその真偽など解明する事はできないでしょう。それとも我々が勝手な解釈で記憶のすり替えを海馬によって行っているかもしれません。」


海馬?記憶を司る脳の器官・・・そうか、AIによってインストールされた記憶ならばそのように思い込んでいる可能性もあろう・・・

ん?それって、AIが神の化身となり得るということを意味してはいないか?






-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆















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