表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/103

第59章 エゴの功罪 ⊿⊿⊿

コスモの絆☆☆☆ 第59章 エゴの功罪 ⊿⊿⊿

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



Scene.84


Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



立花博士はうな垂れていた。

それは幸恵たちの離反によるものではなく、植物星人たちの言わば「目覚め」によるものであった―――

幸恵が私から奪い取ったそれぞれの地区に巻き起こった幸恵に対する裏切りの行動がその意味を証明し、立花には危機としてのしかかっていった。

嗚呼、私が目差していた文明・・・それは間違いであったのだろうか。

司令室を後にすると人類の末裔たちが待機しているリビングへと肩を落とし向かう―――




「どうだ、リニアの様子は?」


「はい、続々と押し寄せてきています。既に数十台はありましょうか。それぞれのリニアは乗客を降ろし、「マヤ地区」とのピストンで植物星人たちを此処へ連れて来ています。星人は既に5000人ほどバリケードの外にいます。」


「よかろう。」


立花博士の側近であるネムは部下に次の指示を下す。


ネムは今このときを待ち望んでいたのだった・・・それというのもこの1億年の永きに渡る立花と幸恵夫婦の「エゴ」による支配に植物星人たちが離反することを―――


かつてこの地に根を下ろし始めたころの立花博士は新天地での希望に満ち溢れていた。

今の「エゴ」の塊となるまでの立花博士のその目標に植物星人たちも同意していたものだった。そしてある種の信仰ともいうべき共感のもと、星人一同は血の滲むような努力にて文明を築き上げて行ったのだった・・・


ところが幸恵婦人の登場により全てが支配体制へと変貌して行ったのだ。幸恵に吹き込まれてゆくうちに立花博士の目標の形が変化して行ったのを知りながらも、植物達は日夜新天地への憧れを胸に突き進んで行ったのだった・・・


幸恵が博士を裏切ることで植物星人達もいやおうなしに二分され始め、かつての友たちとも別れていった。それでも植物達は根っこの部分では一つに繋がっていたのだった。

いずれ幸恵も理解してくれるだろう、その「エゴ」に何の意味も無いということに。

植物星人たちはそうして信じながら永きに渡る月日を夫婦に操られながらも従って行ったのであった。


きっかけは「炎の鳥」からのある意味助言であった。

鳥達はこの地に眠る黄金の塊から生まれ、そして巣立って宇宙空間を旅して、終の棲家としてこの星の太陽となり我々を照らし続け、最後にまた黄金の塊へと輪廻していた。

その意味の無い生態に植物星人達は気付かされたのだった。

「炎の鳥」たちはそれでも幸せそうだった。我々植物星人は新陳代謝を繰り返しながらも一本の木としてこの星に根付いてこの星で分散しながらもDNAを進化させながら永遠の命の如く何世紀にも渡って生き続けていた。


いわば「死」という概念をも超越している。


そこで植物は考えるのだった。これが果たして幸せなのだろうかと。

我々には人類のような「エゴ」など持ち合わせてはいない。そしてそれに何の意味をも見出してはいなかった。人類がかつて生誕した地球から欲望という「エゴ」のもと、この星までたどり着いて文明を築いていった。かつての地球を捨てて・・・

人類の「エゴ」により社会活動を行った結果、一握りのピラミッドの頂点の奴らが金と欲におぼれた利権粗い粗衣を繰り広げ、自然環境を壊していったのだ。その結果地球という星は汚染され、自分達人類の住めない星へと壊していった。

それも自然の驚異である火山活動には耐えられなかった。もし人類に「エゴ」の概念が無かったらそのまま星と共に運命を全うしていったであろう。当然立花博士が我々の祖先である植物を保護しなかったのならば、我々も喜んでその星と共に運命を全うしたのだろう。


そして宇宙空間を彷徨いこの星にたどり着くと「エゴ」の欲望に従って新たな文明を立ち上げていった。この星はそれまで「炎の鳥」たちのものであった。

しかしそれをも支配したような気になって、増してや我々植物星人達のピラミッドの頂点として君臨していった。


それでも「炎の鳥」たちは幸せそうであった。

生を受けて巣立っては宇宙空間を飛び回り、そして再び故郷に辿りつくと眠ってゆくことに。まるで生まれて時を彷徨ってそして死んでゆくだけのようなもの・・・


しかし、我々は人類が創造した「AI」によって高等生物として進化する中で、かつてまで存在していなかった「エゴ」の概念に囚われるようになったのを悟った。

宇宙空間にて進化し続けたAIであったが、もともと人類の持ち合わせた「エゴ」の部分が基本精神として存在しているが故でのことなのだろう。

我々に「エゴ」という自我が芽生えるまでにはそう時間は掛からなかったのだ・・・


残念なことに我々植物達が高等化することでそれは自然に備わっていったのだ。

そして立花夫婦の展開する「エゴ」の文明に疑問を募らせていったのだ。

根っこの部分で繋がっていた我々植物達は、脳波で通信する必要も無く意思疎通をし続けてきた。幸恵の脳波に悟られることも無く、あたかも幸恵の脳波にコントロールされているような風を気取って意志を持たぬ「ブロイラー」としての営みを続けていたのだった。


そして2陣営に分断された我々はついにこの日を迎えたのであった!

幸恵の「エゴ」が「幸せ」の名の下に戦争を開始したことが大きな引き金となったのだ!

根っこで繋がっている我々植物星人たち同士を争わせようとしたのだから当然だろう。

このままではこの星も宇宙人幸恵のエゴで牛耳られ、挙句の果てに文明の滅亡に向かうであろうと、我々が確信したのであったから―――



立花博士の側近ネムの意志はこの日から「エゴ」としてこの星の未来を支配する方向へと君臨し始めたのであった。



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



立花博士は人類の末裔のいるリビングに入ると不安な面持ちの面々が縋るように博士を見つめる。


「人類の皆さん、我々はこれから巻き起こる未来を、皆さんそれぞれの意志によって乗り越えて行って欲しい・・・」



立花のその力ない言葉に一同がざわめく。

立花は植物星人の離反が終に始まったことを、長い時間をかけて一同に説明していった。

そして自分の「エゴ」の目的がこのような事態を巻き起こしたことも・・・



「そうかもしれませんね、しかし我々の運命が植物星人達に左右される事など無いでしょう。それというのも我々人類には元々持ち合わせている「フォース」があるじゃないですか。ね?」


「しかしですね・・・私もそこのところはまだ皆目把握しておりませんで・・・勿論、理論的に宇宙空間に作用することが可能だとAIからの回答は出ていますが、その作用の仕方やその範囲がどの程度のものなのかは解明されていません・・・」


「きっと、「念じれば、花開く」のですよ、きっと!」






-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ