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第57章 マホロバの友情Ⅳ ***

コスモの絆☆☆☆ 第57章 マホロバの友情Ⅳ ***

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



Scene.82


Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



「立花博士、大変です!」


慌しく大理石のリビングに現れた立花の従事が立花の玉座に駆け寄るや、息も切れ切れに立花に話し始める。その血相を変えた形相の男の話に一同も耳を傾ける。


「幸恵からの宣戦布告がありました!「人類救出作戦」の名の下にこちらに兵を送ったと宣言しています!」


それを聞くや一同がざわめく。男は話を続ける。


「幸恵は植物星人たちを「炎の鳥」およそ200羽に乗せて編成を組み、こちらを目差しているそうです。スパイ筋の報告によると、鳥には先日の奇襲攻撃に使用したタンポポ爆弾を今日まで搭載し続けていたようで、満載の状態であろうとの報告であります・・・」


それを耳にした立花博士は難しい顔つきで考え込む。

すると覚悟を決めたように語り始めた。


「皆さん、聞こえましたね。これから起こりうる幸恵との戦いに備え、我々は準備態勢に入ります。皆さんは今後のために一先ず休息をお取り下さい。現在の防御として「マホロバ宮」のエリアは全てタンポポ爆弾に備えたバリアで覆われています。基本的に攻撃によるダメージは考えられません。しかしこれまでの通年が通用しない状況に置かれた場合の準備態勢を整えると共にこれからマホロバ住民達と貴方方人類の末裔についてもご協力をお願いする所存であります!君、直ぐに住民達に指令を下せ!」


従事はそれを聞くや駆け出していった。



立花博士は我々に休息をと言ったが、事の重大さに一同は居ても立ってもいられぬ様子で議論を展開し始める。


「終に我々は幸恵に屈しなければならない状況まできたのだろうか?博士の言う準備態勢とやらは何を意味しているのであろうか?」


「先ず応戦するための準備に違いない。それから勢力図の進み具合にあわせて強化していくだろう。それでも劣勢の場合に備え、ここから脱出する準備も整えるのだろう。」


「これまでも立花博士は戦火に巻かれた経緯があるようだから、ここの「マホロバ宮」はタンポポ爆弾ごときではダメージは無いに違いない。我々は戦争の経験が無いのだから博士に任せておけばいい。」


「いいや、あくまで机上の推測にすぎん。実際に事が起こってからあわてるのは此処の住民達ではなく戦争に慣れて居ない我々のほうだろう。果たして我々の目の前にこれから起こる惨劇に、我々の精神は持つものだろうか・・・それが心配だ。」


「そうでしょうか。我々はこの星に到着するまで数々の理不尽な目に会ってきました。親しいものとの別れ、宇宙病の恐怖、宇宙空間での未知の事象全てを乗り越え、此処「惑星ムソルグスキィ」になんとか到着してきたではありませんか!とっくに精神が破綻していてもおかしくない状況下で耐え忍んできたじゃあありませんか。貴方方はそれをすっかり忘れてしまったのですか?」


一同は沈黙する。

相馬船長が話し始める。


「皆さんのお気持ちはよく判ります。現状が窮地に立たされていることは皆さんもお分かりでしょう。しかしね、これまでの人生でも学習されたと思いますが、人生なんて一寸先は闇なのですよ。当然皆様もそれは理解している筈です。だから今までの生活を送る上での事象と何も変わりはありません。不安の中でただ少しだけ危険が迫っているだけなのですから。我々は自身の健康を気遣って来る戦闘に備える意味においても休息を取るより他にありませんから・・・」


そう言いながらも自身も不安であることを隠せない様子の相馬であった。





Scene.83


Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



立花博士は本宮のホールに軍部指令室を設置した。

幸恵側内部に滞在しているスパイからの情報とAI情報を収集し、幸恵の出方を伺っている。


「博士、幸恵たち陣営の「炎の鳥」200羽余りが間もなくマホロバ地区上空に到着します。」


「よろしい。本宮エリア以外の住民の避難は完了したか?砲撃体制は?」


「はい、先日の攻撃で訓練できていますので速やかに完了しました。」


「偵察機はどのあたりに達している?」


「既に衛星役の鳥からの偵察体制により位置情報は認識しています。」


「ならばここ「マホロバ宮」の上空に達するのにあとどのくらいだ。」


「5分弱です。」


「よし、ならば1分前からカウントダウンを開始しろ。」


「はい、了解です!」


やがてカウントダウンが開始され始める。

一同はモニター越しに不安を募らせる。


「10秒前・・・・・3、2、1、ターゲット確認!」


「どうだ?」


「現在、軍勢は攻撃をしてきません・・・そのまま本宮上空を通過していきます!」


「なぜだ?しかし厳重に警戒を続行しろ。いつ打ち込まれるとも解らないからな!」


「了解!」


上空の映像がモニターに映し出されてゆく。「炎の鳥達は綺麗に整列しながら黄金の翼をはためかせながらゆっくりと飛翔してゆく。一体どうしたのだろうか。

最期の鳥が上空に差し掛かったのはおよそ5分後であった。


「博士、これは何を意味しているのでしょうか・・・一行に攻撃してきません。」


「ううむ。」


立花博士は無言のまま監視を続けている。

幸恵は宣戦布告したのに攻撃しなかった。もしかしてただの偵察なのだろうか。

偵察するにしても不思議だ。あんな軍勢を組む必要は無かろう。そしてタンポポ爆弾を搭載し植物星人たちを載せている筈なのに――――




-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



リビングで待機する一同にも上空の様子がモニターで確認されていた。

危機迫る表情の面々には少しだけ安堵の雰囲気が訪れる。


「これは一体どうしたと言うのでしょうか?」


「タイミングをずらしているだけじゃないのかな?そのうち奇襲攻撃を仕掛けてこよう。」


「それにしても攻撃されるかも知れないのにわざわざそんな危険を犯す意味はあるのか?」


「そうだよ、偵察ならばあんな大群で上空を飛んだりしないだろう。爆弾も積んでいるし。」


その時相馬船長にはある回答が頭をよぎる。


どれというのもあれだけ強固な幸恵陣営にも拘らず、何故攻撃前に積荷の情報が漏れたのか?スパイが常に滞在しているならば、とっくに幸恵の脳波によって隔離されていたに違いない。さらに如何様にしてこちらに情報を送信してきたのか。これについても脳波を読み取られれば一網打尽にされかねないはず。もしかして幸恵が放置しているだけなのか?いいや、そんな意味の無い事はしないだろう。情報が漏洩すれば陣営の行動は筒抜けとなってしまうから。どうも腑に落ちない。


すると・・・植物星人達の離反なのか?ならばどうやって団結を?

そのためには事前に情報の共有が必要になろう。

いずれにしても、植物星人達は固有のネットワークを介してこちらの星人とコンタクトを取ることができると考えるに他ならない―――


ならば・・・・「炎の鳥」?

未だその正体を解明し切れていない我々は、鳥が生き物としての意志を持っているのか、はたまたAIによって操られた人工物なのかも不明のままだ。

しかしまてよ、鳥達は幸恵のお膝もとの「モモ地区」で孵化し巣立っているではないか。

と言う事は幸恵のコントロール下に置かれているようなもの・・・

そして此処「マホロバ宮」の中庭にも雛たちが戯れている。雛たちはモモ地区から遠く離れた本宮まで飛んでくることなどできない距離だ。どうやって此処につれてきたのだろうか・・・幸恵の眼を盗んでリニアで?それならば可能かも知れない。

まてよ、「炎の鳥」の雛がここにいることを鳥は察知したのだろうか?

それならば親心としては攻撃する筈も無かろう!そういうことか??



するとけたたましくリビングにサイレンが鳴り響く。

すかさずアナウンスが放送される。


「先ほど本宮上空を通過した幸恵陣営が「マヤ地区」へ向かいました。その際に、搭載している「タンポポ爆弾を」地区へ投下している模様!」







-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆















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