第54章 マホロバの友情 ***
コスモの絆☆☆☆ 第54章 マホロバの友情 ***
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Scene.78
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相馬船長は立花博士の影を見たような気がした。きっと彼なりに「マヤの古文書」解読に勤しむ月日を重ねた中での回答なのだろう。それは孤独との戦いであり、よき伴侶に再会したにも拘らず永過ぎた月日のせいでお互いにすれ違ってしまったから。
立花博士は何故かうな垂れている。
「立花博士、どうされたのですか?」
「ああ、実は幸恵のやつが我が「マホロバ地区」に向けて攻撃を仕掛けようと動いているらしい。「モモ地区」の植物星人から兵を招集し、何十羽もの「炎の鳥」を待機させているようだ。」
「すると、先日の「タンポポ爆弾」と同じく、此処も焦土にしようとするのでしょうか。」
「いいや、あいつはもっと酷いことを企ててくるかも知れないな。」
「しかし、何故?」
「それは私にも判らん。もしかしたら君達「人類の末裔」を捕獲するためかも知れぬ。」
そういうと立花博士は無言でただ俯いている。
その言葉を聞いた一同は騒然となる。
これまでの幸恵の攻撃の矛先は立花博士への当て付けだったのだろうが、今回ばかりはどうやら我々が標的にされている。一体何故・・・一同の議論が始まった。
「もしも、もしもですよ、我々の「人類のフォース」が目的だとしたら、我々はいつまでも幸恵のターゲットになりうるだろう。それではせっかく救出してくれた立花博士に迷惑が掛かろう。このままでいいのだろうか?」
「ならば一体どうすれば?」
「我々の捕獲が目的ならば、幸恵に従って捕獲されさえすれば、ここ「マホロバ地区」が攻撃されることもなさそうだな。」
「ならば、幸恵と交渉したほうが得策かな。」
「まぁ待て、そうなれば我々は幸恵の思う壺、ということでは?」
「ならば、ここから脱出すれば良い!」
「何か反撃する手立ては無いのだろうか?現時点では幸恵の思惑が何なのか皆目見当がつかんな。只の推測に過ぎん!」
「このまま博士を頼っていて良いのだろうか・・・」
山水画のような中庭の庭園から縁側に向けて秋風が吹き込んでくる。
人々の気持ちを察したが如く冷たい風が頬をなでる。
すると博士が意を決したように呟く。
「君達の気持ちは痛いほどよく判った、ありがとう。夫婦喧嘩に付きあわせてしまい誠に申し訳ない。だが皆さんご安心を。恐れるには足りませんよ!
この「マホロバ宮」は、かつての戦闘の経験からハイテク武装を装備しています。攻撃によるバリア機能を有しているのでよっぽどなことが無い限り、此処は不沈城とでも言うべき強固な要塞であるから―――
先ず幸恵の出方を監視しよう。開戦前には何かしらのアポイントメントもあるだろう。さぁ、先ほどの居間へ戻りましょう。」
一行は立花博士に促される形で居間に戻ると、早速作戦会議と相成った。
Scene.79
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その頃ナティスは地球への郷愁に浸っていた。
それは人類の末裔の誰もが思う衝動によるものであった。
地球の生活の日々・・・家族と生き別れてしまった今となってはもう遅いのかも知れないが、それでも尚、良き記憶がナティスの脳裏にこびり付いて邪魔をする。
きっと地球に戻ったところで元の木阿弥、火山活動と異常気象に覆われた丸焦げのその星は、かつての青い光など放つわけもなくそこに佇んでいるのだろうから。
流石助手がナティスに話しかける。
「そろそろタンポポ爆弾の攻撃は終結したんじゃないかい?もしかすると。」
そういえば「惑星ムソルグスキィ」時間で丸2日間のあいだ宇宙空間に逃げ出していた「宇宙ステーション船トルストイ」を飲み込んだ「炎の鳥」は星を遠巻きに漂っている。
そんな二人の会話を脳波で聞きつけたのか、スパイ犬桜がコックピット室に入る。
「そうなんです、先ほど地上の「マホロバ地区」の我々植物星人の仲間と通信したところ、地区の一部の地域のみが焦土となり、今現在攻撃は無い、とのことです。しかし・・・」
乗り出すように食いつくナティス。
「しかし、何です?」
「ええ、それがですねぇ、幸恵率いる軍勢が今から2回目の戦闘体制を編成しているようなのです。それというのも立花博士が救出した人類の末裔たちがターゲットとの事でして。」
それを聞いたナティスが流石助手と顔を見合わせる。
流石助手が口を開く。
「ナティスさん、人類の末裔がターゲットって?もしや相馬船長率いる幸恵ツアー一行のことなのでしょうか?そして立花博士に救出されている・・・一体何故?」
「やはり幸恵のやつ、人類の末裔を利用しようとしているのではないだろうか。」
「ナティスさん、この状況は急を要するのでは?助けに向かうのが得策ではないでしょうか。しかし我々が行ったところで何が出来るのか・・・」
「ううむ、立花博士なら幸恵がどんな戦術で責めてくるのか把握している筈だろう。そして相馬船長が居ればツアー一行の最低限の安全は確保している筈。我々が行ったところで足手まといになるのではないか?我々は相馬船長と永の別れをしてきたばかり、この星の探索に当たり何かしらの成果を持って帰還するのならわかるが、そそくさと引き返したところでどの面下げて戻ると言うんだい?」
「それもそうですね。我々の覚悟は決まっていますからね。ですが・・・状況が状況ですので、余り難しく考えるのはよして戻りましょうよ。」
「まぁ待て、それでは・・・このままこちらから見守っていると言うのも・・・ん?桜さんはどのようにお考えで?」
黙って事の成り行きを見守る桜が話し始める。
「お二方のお考えに従います。」
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///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆