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第52章 失いかけのsoulⅥ ΩΩΩ

コスモの絆☆☆☆ 第52章 失いかけのsoulⅥ ΩΩΩ

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



Scene.76


Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――



玉座から一行を見下ろす立花博士が不敵に微笑んでいる。不安げにおびえる一行に向かって―――

暫く沈黙が続く。

立花がようやく口火を切った。



「皆さんが驚かれるのも無理はありませんよね。何せこの「惑星ムソルグスキィ」に我々が到着する直前に皆様方とコンタクトを取っていたにも拘らず、数日後に遅れて貴方方が到着された今時点において既に私はこのような形で玉座に佇んでいるのだから。

そして我々が目差す植物星人によって構成されるこの世界において、我が妻である幸恵との軋轢によってこの星の陣営が二分しているということも信じがたいことでありましょう。まるでこれでは大きな大きな夫婦喧嘩、みたいなものですよね!ハハハッ!」



立花博士はそう告げると平手を二つ叩く。

すると従事が博士の傍らに到着すると何やら耳元で呟いた。

そそくさと立ち去る従事。

暫くするとこの玉座を中心にした真っ白い大理石の巨大な部屋に幾つものワゴンが運び入れられてくるではないか。

一行それぞれの座席の前に座卓が設えられてゆく。

ワゴンがそれぞれの座卓の傍らに一台づつ到着すると、載せられた器の蓋が開かれてゆく。



「さぁ、皆様長旅ご苦労だったねぇ。それではお迎えの宴と参りましょう!先ずは「ウェルカムドリンク」をお楽しみ下さい。」



立花のその言葉に一同の不安は最高潮に達した。なぜならば幸恵から事ある毎に「ウェルカムドリンク」を呑まされた結果、このようにそれぞれの皮膚の緑化が進み、ともすれば何らかの脳波からのメッセージ送受信の機能まで携えることになってしまったのであるから、無理も無い―――



これでは幸恵と同様ではないだろうか・・・ただこちらの陣営側に招待された違いなだけであって、いずれ立花博士の陣営のブロイラーにされてしまうだけではないかと相馬船長の額に冷や汗が浮かび始める。



一同は立花に促されるままに器に注がれたウェルカムドリンクであるフカヒレスープ様のスープを嗜む。



やはり不安な様子の雨宮女史とタイ国王達も使用がなさそうにスープをすする。



「あらっ国王!中々のお味じゃありませんの、驚きね!」



「おお、これは久々にご馳走だね!やはり緑色なのが気にはなるが、我が国のトムヤムクンスープをも上回るほどに美味しいぞよ。」



「まったく、大袈裟ね。国王ったら、ホホホ。」



「何を仰います、既に国を離れて相当な月日が経過しているから既に私は国王何かではありません、ただの人類の末裔、宇宙星人もとい植物星人との間の子と言った感じになりますが!国王はあそこの玉座に鎮座されている立花博士のほうではありませんかね。」



「あらら、それもそうね。しかしこのスープを嗜んだら先ほどまでの不安感が不思議と消えちゃったみたいですわ。まるで洗脳でもされたように・・・」




~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



朝から始まった歓迎の宴はすっかり一行を満足させることとなった。

先ほどまでの独裁者のような立花博士ともすっかり打ち解けることが出来た一行は、腹ごなしに此処「マホロバ宮・本宮」の内覧会と相成った。



朱色に塗られた漆塗りの通路を抜けると、やがて中庭が見え始める。それは山水画の如く小川が流れ、小鳥達が囀っている。どうやらその金色の小鳥達は「炎の鳥」の雛のようであった。相馬船長が立花博士に質問する。



「もしかして、ここに居る金色の鳥は幸恵さんのところで育ったものですか?」



「嗚呼、ご存知だったかね。そう、全て「モモ地区」の宮殿の養鶏所出身だよ。「炎の鳥」の宇宙空間に存在している全ての固体はあそこから巣立っているのだよ。元はと言えばワシが開拓した場所であったがね。「マヤ地区」も含め全て幸恵のやつに乗っ取られたのだがね。」



「それについてですが、なぜ幸恵さんとの軋轢が生まれてしまったのでしょうか。」



博士は何故かモジモジしながらはぐらかそうとでもしている。

そして、ようやく重い口を開く。



「実はな、ちょっとした諍いが原因なのだよ。我々夫婦が地球に居た頃、私は「マヤの古文書」の研究に没頭していて、ついつい家族を蔑ろにしてしまった。そして子供たちとも結果として生き別れになってしまい、気がついたらシェルターで唯一最期の地球人として火山に飲み込まれようとなったのだった。とっくに幸恵とも生き別れになった筈だったのだ。それが例の「炎の鳥」の導きで宇宙空間へ漂流するはめになってからどうしたことか急に幸恵が現れて・・・私は本気で幸恵が蘇ったものと信じようと努力し続けたんだ!しかし、本音のところダメだった・・・どうしてもあの幸恵が「宇宙人」の化身であるという疑義が私の中に渦巻いて消えることが無かったのだ。そしてこの星で永らく暮らす中で、とうとう幸恵にも勘ぐられてしまい・・・とうとう私は打ち明けてしまったのだよ。そうしたら想定外に幸恵が怒り狂って、とうとう出て行ってしまったのだよ。そこで私は幸恵に離婚の慰謝料の体裁で私の築いたすべての「マヤ文明」を模したこの星の建造物を放棄して、彼女に与えたのさ。ある意味私からの究極の愛の証だったのかもしれないがね・・・そして私は新たにこの地に「マホロバ地区」を建国することとなったのだ。」



相馬船長はその愛の証の規模に思わず圧倒されてしまった・・・

確かに相馬にも家族は居た。そして此処に訪れた人類の末裔達も全て「宇宙ステーション船トルストイ」の乗員として人選された際に、使命感が勝ったことで家族を置いてこの地にたどり着いたのであった・・・ある意味立花博士のような現在の境遇に嫉妬さえ覚える。

しかし、私も地球上で家族とは疎遠のままであった。目的意識のほうが何よりも勝っていたあの頃、優先順位は宇宙への憧れ、宇宙ステーションの船長としての使命が勝ってしまったのだ。もうあの頃には戻れない・・・・



「ところで、一行の面々を伺って思い出したのだが、以前宇宙空間で会話した浮谷教授の愛弟子のナティス君は今何処に?」



「ええ、それがですね・・・彼は私達一行が幸恵によるツアーに参加するのを拒んで、この星の探索へと旅立っていきました。もし無事に生きて居れば、いずれ何処かで再開できると信じていますが。」



「なるほど。多分それは大丈夫。実はね、先ほど私の一番の側近、「桜」から連絡が入ったところだよ。解っていたが釜掛けてゴメン。


私には桜と脳波によってコンタクトをとる術が身についているからね。なんたって幸恵より長期間にわたって宇宙空間での生活を共に生きているのだからね。それどころか既に私の体の99%は植物星人と化しているのだから、ある意味桜とも、他の植物星人とも一心同体なのだからね!但し・・・幸恵とはそうはいかないね。ナンタって、やはりあいつは宇宙星人であって、その証拠にあれだけ愛の証を授けてやったにも関わらず、あいつの「エゴ」のおかげで今もこうやって対立しているのだからね!」



「本当にそうですかね?夫婦仲の悪いのも仲の良い証拠、って昔から言うじゃないですか、ははは!」



「ナニィッ!そんなことワシャ知らん!」

















-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆









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