第45章 緑の大地の逆襲Ⅳ◆◆◆
コスモの絆☆☆☆ 第45章 緑の大地の逆襲Ⅳ◆◆◆
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Scene.64
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ナティスは「炎の鳥」に再び誘引され続けている渦中に居ることに驚愕を隠せないで居る。
何故・・・・先ほどの交信は立花博士の声ではあったが立花博士ではなく、幸恵からのコントロールでもない。そしてその主は「ある意味宇宙人」と告げている。
そして今、眼前に飛翔する金色の「炎の鳥」が誘引していることで確信となった。
そう、あの交信の主は「炎の鳥」であるのだと。
ある意味宇宙人?なるほど。
ナティスは初めて「炎の鳥」とのコンタクトに至った今、彼は自らの意志を持っており、そして彼も幸恵と同様、我々の脳波にアクセスすることが可能であると悟った。
しかし我々としては脳波を一方的に読み取られているばかりであって、彼の誘引の理由を知る術を持ちあわせてはいない。
そのことに、ナティスは恐怖心に苛まれ始めるのであった。
いつまで続くやもしれぬこの誘引のフライト旅の前途は闇の中となった―――
そんな私の脳波を察知したのであろう、桜は私に向かってこう口添えする。
「ナティスさん、貴方の不安は我々の不安でもあります。流石さんも含めて囚われの身となった我々は運命共同体です。あなただけではないのですから・・・今日から不安や恐怖はみんなで三分割することにしましょう。」
そう言うと緑色に染まる桜はナティスに少し微笑みの表情を浮かべる。
流石は尚もコックピットのモニターを凝視している。
飛翔体「炎の鳥」の行く末を案じつつ、次の交信を待ちわびながら。
誘引は続く。尚も大気圏目差して上昇を続けている。
分厚い雲の切れ間から時折金色の飛翔体の姿がきらめく。
未だ見ぬ未来の行く末は、あの鳥だけが知っている。
鳥よ、どうか我々を救いたまえ。
囚われの「宇宙船トルストイ」に乗船の3人はそれぞれ物思いに耽る。
すると、いつか観たような光景が再び始まったのであった。
眼前の「炎の鳥」の誘引が加速度を増してゆく。
そして「宇宙船トルストイ」は鳥に接近し始める。
鳥の後部が眼前に迫る頃、あの時の光景、そう、ハッチが開き始めたではないか!
これには一同もことの次第に生唾を飲む。
「こ、これって・・・」
ぐんぐんと鳥の後部ハッチ目掛けて宇宙船が吸い込まれるように急接近する。
ついに我々の船は鳥の内部に飲み込まれていったのであった―――
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Scene.65
Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆Q☆――――
「モモ地区」にある「モモ地下宮殿」内部よりリニアで移動後の一同は、幸恵の計らいによりこの星での正式な歓迎会の宴の渦中に居た。
しかし会場の一同の表情は一様に冴えなかった―――
先ほどの幸恵からのスピーチの内容、平和のための「人類ブロイラー計画」にも似たテーゼについて不安に駆られていたからである。
相馬船長も同様、幸恵の言った「感情」の無い世界、それが「平和」であって、「感情」があることが「邪悪」となり「平和」の妨げになる・・・
この言葉への疑義が、この星での我々の未来に対して暗い闇を抱えているような気がしてならないからである。
傍らのテーブルの今や緑の星人もどきとなった占星学博士雨宮女史が、やはりこんがり緑色に焼けたタイ国王と神妙に向き合っている。
「ねぇ国王、やはり国王が脳波教育で習得したとおり、植物星人の進化の末の「ブロイラー」としての生活がいよいよ現実となってきたのでしょうか・・・私、不安で――
そうなると、幸恵さんに今後従い続けることになるのでは?
幸恵さんにとっては平和かもしれませんけど、植物星人の想う平和と果たして一致しているのでしょうかねぇ。」
「ううむ、そうだね。しかし、それはそれで楽なのではないでしょうか?欲しいものが全て無償で手に入って快適な生活が送れるのだから。幸恵さんに離反さえしなければね!」
「ええ、それもそうですけど、私には自信がありませんわ。いっつも脳波を読み取られ続けているなんて、プライバシーもへったくれもあったもんじゃないし。ストレスでつい反抗しちゃいそうで・・・」
「そうだねぇ、君の大胆な性格からすると私も心配になるね。」
「な、なんですって?それってどゆこと?」
「あっ!これは私としたことが・・・失礼しましたっ。いえね、あのディスコ「PASSION」で貴方に強引にも腕組みで確保されたことを思い出してしまいましてね、ププッ!」
「か、か、かっ、確保ですってぇ!人聞きの悪い。」
「ほらね、ここでは自分のエゴをさらけ出すことなく無感情に過ごすことで平和が保障されるって幸恵さんが・・・」
「そんなこと出来るわけないじゃないっ!もう嫌よ、こんな星。」
「そうだね、あの時の君はステキだった・・・それがもう見られないなんて刹那過ぎるね。」
「そうよ、ふざけて悪酔いして、それが人間らしさじゃないかしら?始めっから「オギャーッ」って生まれてくるのが人間なのよ。恥じらいも無く素っ裸で!」
「それもそうだね。しかしこの星は「植物星人」の星だからね。ほら、植物って何にも喋らないし反応しないじゃないですか。だからここは幸恵さんに従って穏便に行った方が得策かと。」
「そうですわね・・・じゃあありませんよ、国王!貴方だってエゴの塊じゃないですかっ!いっつも気取っちゃってまったく!」
「それもそうですね!ハハッ!!」
そして大分緑色に染まってはいるものの他とは違うにこやかな二人の宴が奏でられてゆくのであった―――
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///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆