第44章 緑の大地の逆襲Ⅲ◆◆◆
コスモの絆☆☆☆ 第44章 緑の大地の逆襲Ⅲ◆◆◆
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Scene.63
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ナティスと流石助手は眼下「マホロバ地区」が煙にまかれているのを見つめている。
桜も恐怖におびえている。
間もなくAI音声が船内に流れる。
「未知の帯域から交信が開始し始めました。この船がどうやらジャックされた模様。間もなく我々AIによる自動運転が制御不能となります。」
流石助手が青ざめる。
これは・・・・ハイジャック?一体何者が!
ナティスが眉をしかめながら口火を切る。
「そんなことをする奴なんて、ただ一人。それは宇宙人幸恵に違いなかろう。」
「ということは・・・しかし桜さんの話だと我々は脳波の読み取られる範囲から隔絶された筈だったじゃないか。此処「マホロバ地区」では幸恵からの脳波を防御する妨害電波を出していたのでは。」
桜が口ぞえする。
「そうなのですが、大気圏に接近したお陰で我々のその妨害エリアの高度を優に超えてしまいました。そうなると、まるで我々は幸恵さんの手の内ね。」
流石助手が恐怖に気を失いかける。
ナティスは事の重大さに我を失う。
すると、船内スピーカーから音声が入り始める。
「あーあー、ナティス君かい?先日はどうも。君とは君の夢の中でお会いしたばかりだったね。」
その声は立花博士そのものであった。
一体これは・・・
「桜君から私が寿命を全うした話は既に聞いている頃だろう。実はね、私はこの星の中ではそういうことになっている。しかしだ。そうではない場合もいろんな意味においてあるのではなかろうか。解るかね?」
ナティスは立花博士と思しきその音声に動揺しながらも、なんとか解を導こうとしてみる。
「それはね、あの「マヤの古文書」にも記載されている。ある一節にね。」
その言葉にナティスが疑義を憶える。
というのも、先日立花博士と夢とも現実とも解釈できない状況下において、博士の口からある言葉を聞いていたから。
「古文書は何者かが作り上げたフェイクである」、と。
にも拘らず、今、このジャックされた音声の立花博士の口からは古文書の一節について語られた。これは・・・・
ナティスは何やらひそひそと流石助手に告げる。
それを聞くや流石が尚のこと青ざめる。
再び船内に音声が響く。
「ほう、さすがに君は察しがいいな。ナティス君、今君の脳波で解ったよ。そうだよ、私は立花博士の仮面を被った、ある意味宇宙人だ。しかしだ、古文書はフェイクでもないし、私は幸恵でもないぞ。君に最近会ったというのは脳波を今読み取ったのを利用したものであって、それこそ幸恵が仕組んだ罠だったのだよ!」
その答えに再びナティスは眉をひそめる。
というのも、これは脳波を読み取った幸恵が仕組んだ罠だと思ったのだが。
「まぁ、私が何者であろうが今はどうでもいい。それよりも君達をこの窮地から脱出させるべく私がこの船をジャックしたのだ。あのタンポポのせいで「マホロバ地区」は壊滅的な打撃を受けるだろう。その間、暫く私の誘引に従っていただく。暫く長旅になるがフライトを楽しんでくれ。」
そう言うと一方的に受信が切れる。
ナティスは尚一層訳が解らなってゆく。
桜がふと呟く。
「ナティスさん、我々の住む「マホロバ地区」が壊滅的になるって、本当ですか?」
すると困惑の渦中のナティスに変わり流石が補足する。
「いいえ、ご心配ありません。ほら、ここは大気圏近く。きっと幸恵さんのデマですから。」
「でも、今の立花博士の口からは幸恵ではないって・・・」
「そうやって我々を混乱させるのが幸恵の罠なのですから。あまり本気で取らないほうが良いですよ。」
「しかし、実際にあのタンポポによって森が焼かれてしまっていますよ。」
「大丈夫ですよ。貴方の地区の住人達も気付いているでしょうから。迅速に対処している筈ですよ。」
落ち着かない様子の桜ではあったが流石の言葉に少しばかり安堵を憶える。
きっと皆が頑張ってくれている筈。
何者かにハイジャックされた「宇宙船トルストイ」のコックピット前方は煙でまかれているため視界が全く利かないで居る。
更に高度を増していく。すると・・・うっすらと前方に金色に輝く飛翔体が遥か彼方に見えてきたではないか。
「えっ、「炎の鳥」?」
目の前の飛翔体は、この星に到着するときのように誘引している一羽の「炎の鳥」。
そう、我々を導いてゆく・・・・ということは?
すると、ナティスが大声で叫ぶ。
「あ、アイツだ!さっきの音声は立花博士ではなくって・・・あの「炎の鳥」だ!」
一同は唖然としながら只成り行きを見守るしか術が無いままでいる―――――
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///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆