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第43章 緑の大地の逆襲Ⅱ◆◆◆

コスモの絆☆☆☆ 第43章 緑の大地の逆襲Ⅱ◆◆◆


~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



Scene.62


QQQQQQQQQQQQQQQQQQQ



ナティスと流石助手はスパイ犬の指令のままにここ「マホロバ地区」に到着していた。

深い森のその地区には、かつての「マヤ文明」を模倣した文明が展開されていると言う。

このスパイ犬「桜」、そう私の知識の中での植物星人「桜」は犬となっていた・・・・



桜の話は続く――――


「ワタシの師匠である立花博士の遺志をもとにこの地区が作られていきました。

我々がこの星、「惑星ムソルグスキィ」に降り立ってからと言うもの、この星の明日を見出すことができずにいたのでした・・・・


それと言うのも、この星は砂に覆われた何も生命の痕跡の見えない大地が広がっていたからなのです。博士も幾度と無くこの荒れ果てた大地に挫折を見せられたものでした。

ようやく湖のある地区に辿りついた事で、我々に希望の光が差したのでした。


そして分厚い大気で覆われた暗い砂の大地に、あの「炎の鳥」が集まってきたことで我々は光合成する環境を得て植物の繁殖を成就していったのです。


博士は日夜その生命活動に尽力していったものです・・・しかし、博士は徐々に植物の要素を細胞に取り込むことで遺伝子の組み替え進化を遂げていったものの、人類の末裔であったことで、やがて寿命を迎えることとなってしまったのです。


我々「植物星人」のように変化しながらいわば「永遠の命」を手に入れることなく・・・


そして私は博士の遺志を継いでこの「マホロバ地区」にかつての「マヤ文明」を築くことになりました。


我々「植物星人」の性質として、人類の持つ欲望やエゴの概念を持ち合わせていませんでした。理想的な共存共栄の文明が徐々に形成されていきました。


しかし―――我々が何世代か代を重ねた頃、ようやく此処も理想郷に近づいた時だったのですが、何かしらの突然変異によって我々の品種の中で凶暴化した輩が輩出され始めたのです。


その繁殖力は凄まじく、あっという間に我々の「植物星人」の人口を超えて行きました。


そうです、そしてナティスさん達が滞在されていた「マヤ地区」が異文明として構築され始めたのです。そして今や我々のこの地区も脅かされ始めているのです。そこで・・・」



桜と名乗るそのスパイ犬が突然遠い眼をして言葉が途切れる。



「あ、危ない!」



桜が「宇宙船トルストイ」のコックピット前方を指差すや、何やらタンポポの綿毛のような物体が浮遊しているのが彼方に見え始めた。

それは徐々に視認可能な距離に到達し始める。

その数は徐々に増えていった。これは・・・・



と、船内のスピーカーからAI音声が緊急事態を知らせる。



「接近、接近!船前方20km圏内に未確認飛行物体が接近中。船はこれより大気圏付近まで上昇します!」


船が急激に上昇体制に入ったことで一同がよろめく。

一同はまるでエレベーターが急上昇し始めたように内臓が下方に持っていかれるような違和感を憶える。

AI音声が再び続ける。



「接近、接近!船前方10km圏内に未確認飛行物体接近。大気圏付近にも飛行物体を確認!船は間もなく電磁バリアコートにて覆われます。」



これを聞くや、流石助手はスパイ犬桜に問い詰める。


「これは一体、何事ですか?」



桜がコックピット前方の飛行物体を凝視しながら呟き始める。


「そうです。これが幸恵からの攻撃です!」



幸恵?あの立花博士の奥さん・・・ナティスがその言葉に動揺する。


「流石さんナティスさん、あなた方もご存知の幸恵さんは、いいえ、もはやあの方は宇宙人と化してしまっているのであって・・・そう、「マヤ地区」を引率し、異文明を司る悪の存在。

昔はあんな方ではなかったのに・・・立花博士と意気投合して新たな理想郷の構築に着手していたのですから。しかし時のうつろいはやがてあの人を変えていってしまいました。

今思えば、それは立花博士が天命を全うした頃から始まったのかもしれないのですが。

少しずつあの人の言動に変化が見られていって、いつしか我々が継いだ意志にケチを付け始めました。そして密かに突然変異の植物星人達の培養を始めるや、そのグループを束ね始めました・・・まるであの人が突然変異を持ち込んだのではないかとも思えるほどに。


そして幸恵さんのグループが我々から離反することになったのです。

気付いたら「マヤ地区」があっという間に建立されていったのでした。

変異した植物星人達はやがて幸恵の構築した脳波によってコントロールされていったのです――」



流石助手とナティスは桜のその話に恐怖で言葉を失う。

立花博士の良き伴侶であった幸恵が豹変し博士の希望から遠ざかっていった・・・

それどころか幸恵が植物星人たちの突然変異を促した?

ナティスはふと何かを思い出したように呟き始める。



「どうやら、彼女は博士の奥さんの「幸恵」さんではないな。」



流石助手はあまりに唐突なナティスの言葉におののく。



「何ですって?ということは宇宙人が幸恵さんに化けて接近したのですか?」


「ああ、多分な。君も始めからこれまでの成り行きが変なことに気付いて居よう。そうだよ、その通り。本当の幸恵さんは遠の昔にかつての地球にてこの世を去っている筈。それがどうしたことか博士の目の前に現れて、そればかりか我々の目の前にも。そして先ほどの桜さんの話。「人類の末裔は天寿を全うする」という理屈にも叶っていない。そう、彼女は今も植物星人と共に此処に存在している。」


「しかし、しかしですよ。もしかしたら我々の脳波にバーチャルな情報が送られているだけでは・・・」


「それを言い出したらキリが無い。今我々が体感している全てがバーチャルの可能性だってあるのだからな。するとこの犬の桜さんだって・・・・」


「ええっ、そんなぁ・・・・」


「そうだろ、この期に及んで信じるしかないだろう。それよりあれを見ろっ!」


「あ、嗚呼・・・・」



コックピットから沢山のタンポポの綿毛様の未確認飛行物体が落下していった森の中で火柱が上がってゆく・・・・そして徐々にその範囲が増してゆくと、煙で何も見えなくなっていった。










-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆












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