第42章 緑の大地の逆襲◆◆◆
コスモの絆☆☆☆ 第42章 緑の大地の逆襲◆◆◆
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Scene.61
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ナティスと流石助手は「宇宙船トルストイ」に乗船させた緑の犬の話題でいとまがない。
「先ほどの無線が立花博士からの無線だったと言う事は・・・ナティスさん、これは博士が生きて居たってことになるのですよね?」
「確かに私は博士から無線というものを受け取りはしましたが、当然、目の前で出会ったわけではありません。
実は、先ほど船に乗る前に自動運転車の中でうたたねしている際も、夢の中で博士と会話をしていたのですが・・・
それはあくまで夢と想われまして・・・
しかし、脳波へのアクセスが可能なこの星において、常に我々は脳波への侵入を受け取って居て、双方向の通信がリアルにもバーチャルにも可能となってしまうのでしょうから、そのような事象も可能となるのではないでしょうか―――
例えば、集団催眠のように、一同に同じデータを与えることが可能であれば集団で疑似的な体験をすることも容易であり、バーチャルをリアルとして共有することも出来てしまうのではないでしょうか?」
ナティスの難解な話に、半ば着いて行けない様子である流石ではあったが、全てを飲み込んでみる。
「そうかもしれませんが―――
現実的な側面から察すると、立花博士かどうかは今の段階では定かではない人物でありまして・・・
交信が行われていることも含めての解釈ではありますが、立花博士が仰ったとおりにGPSの位置情報からあの緑の犬を見つけ出したのも確かですし・・・・
そして今現在この船に乗せているのも間違いのない事実でありまして・・・
ということはですよ―――この状況も我々との双方向アクセスによる共有データである、とういうことになるのではないでしょうか?」
半ば気が違ってしまったような、すがるような思いでナティスに問いかける流石。
「この答えの証明は非常に難しいのですが、先ず自分を信じるしかないのではないでしょうね。
そうでないと、我々の見た白昼夢のような事象、それぞれの疑似体験の全ては、その回答に至るかも定かではなくって・・・・
もとい、お互いの精神状態を安静に保つ上においても、我々は現実的に起こっている事象として、認知するべきではないのでしょうか・・・」
ナティスも流石同様、半狂乱のような様相に変わりながらも、やっとのことで振り絞るように呟き放つ。
「そうだね――――疑い出したらきりが無いね。
そんなこと言い出したら君も僕もかつての自分たちかどうかさえも疑わしいものなのだからねっ!ハハッ。」
複雑な心境で不安の渦中の二人。
ひとまず緑の犬に番をさせた「宇宙船トルストイ」の中、犬の指令のままに休息を取ることとなったのである~~~~
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明くる朝、ナティスと流石助手は超音波のような耳元の異音によって眼を覚ました。
それはあの緑の犬からの起床のサイン。
「ふわぁっ!一体何事だ?」
「おお、どうやらこれは目覚ましかもしれないが、全くもって嫌な音だ!」
眼を擦りながら飛び起きた二人は揃ってコックピット室へと向かう。
「おい、ワン公、一体どうしたんだ?」
「はい、ご主人様!おはようございます。良いお目覚めですね。」
「なんだと、それよりあの音だけは止めてくれ。」
「は?ええ、失礼致しました。それより、そろそろ到着になります。」
草原の先の眼下には、何やらバリケードのように遠くまで横一線に境界が敷かれているエリアが広がっている。一体何が起きているのだろう―――
「で、此処はどこだい?」
「此処は、我々の住処である「マホロバ地区」で御座います!」
「マ・ホ・ロ・バ?」
境界線から程なく遥か地平の彼方まで高い木々の森林で覆われたその「マホロバ地区」は、これまでの草原地帯とはまるで一線を画したような、緑豊かな森の土地であった。
緑の犬が再び話す。
「此処は、これまでの幸恵の帝国と化したエリアとは一線を画しておりまして、立花博士の築いた初期段階の緑の楽園をそのままに長い年月を維持し続けた場所であります。」
「立花博士の?それはどういうことだね?」
「はい、今から更に内陸のほうに向かいますと、やがて「マヤの古文書」を詳細に再現した街並みが出現します。そこまではまだ2時間ほど掛かります。とりあえず、先ほどの境界ラインを超えた時点より我々は幸恵の脳波アクセス可能なエリアから無事脱出することとなっております。」
「ということは、我々の思考は読み取られないと言うことだね?」
「ハイ、然様で。境界ラインの内側は幸恵からのアクセスが不可能な周波数帯の妨害電波を発生するエリアとなっています。ご安心下さい。」
「へぇ、そうなんだね。ところで今まで君の事を聞いていなかったが・・・夕べの数々の出来事によって僕らはまともな思考が出来なかったから無理もないが。
君は一体何者なんだい?」
「ハイ、私は1億年前より立花博士の遺志を継いできております、桜と申します。」
「さ、桜だって!
我々が知っている限りの情報、最もAIからの情報を鵜呑みにしての情報によると、桜と言う植物星人は、人類同様の容姿だと聞いていたが・・・
勿論、少なくと君の容姿のような「犬」では無かった筈なのだが。」
「はい、然様で。我々は植物の進化の段階で容姿を如何様にも変化できる特性を身につけていきました。話せば長くなりますが、私がこのような「犬」の容姿をしている訳を説明しますと、幸恵の帝国と化したエリアへ潜入調査をするためのカモフラージュとしてこのように変化している所存であります。犬の容姿での言わばスパイ活動ですね。」
「ス、スパイ犬!?」
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///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆