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第41章 俺たちの旅路Ⅳ***

コスモの絆☆☆☆ 第41章 俺たちの旅路Ⅳ***


~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



Scene.60


QQQQQQQQQQQQQQQQQQQ


ナティスと流石助手の乗る「宇宙船トルストイ」は夕闇に染まる草原の地平線の先を目差して漂ってゆく。



ナティスがようやく人心地ついたころ、船体は北を目差してまっしぐらに自動運転を維持する。流石はこれからの長いフライトのために早めに就寝するため部屋を出て行った。

一人コックピット室に残されるナティス。



暫くすると、無線に未確認の地点からある交信が入り始めた。



「アーアー、こちら立花だ。ナティス君、先ほどの「絶対神」の話の続きになるが、聞きたいかい?」


事もあろうに立花博士からの無線であったことにナティスの鼓動が高鳴り始める。

そうか・・・あれは夢ではなかったのか!


「これから君に私たちの住処へのルートを案内しよう。暫く行くと開けた場所に一匹の犬が居る。犬にはGPSセンサーが取り付けられているから、これからそちらの船に向かって位置情報の発信を開始する。そのまま北に向かっていけば出会えるよ。

その後の行き先については犬から聞くように。

ほら、犬には帰巣本能が備わっているだろ?

では私の交信はこれでおしまい。あんまり長話していると幸恵にばれてしまうからね、じゃ、後ほど!」



あの夢の中の立花博士が現実に存在していて、博士の話によると犬?を拾って帰巣本能で案内するという―――一体これは何かの暗号なのか?

或いは僕は今、不思議な夢でも見ているのであろうか・・・・


意味不明な交信によってナティスの新たな悩みが始まっていった。





~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


真っ暗闇の大地を2時間ほど進んでいくと、再び交信が入り始める。

ナティスは流石助手を慌てて起こしに向かう。


流石を連れてコックピット室に戻るや、今度は位置情報が捉えられた。

AIの分析に従いながら、その発信場所へと船体を下降しながら近づけてゆく。


ナティスにいわれるがままにその方向の地面を暗視カメラで捉えると、そこに一匹の耳の垂れた緑色の犬がお座りをしてこちらを見上げているではないか。二人は顔を見合わせる。


ことの事情を把握した流石は静かに船体を着陸させてゆく。

無事着陸しハッチを開くと、事情を知ってでも居たようなその緑の犬は、ハッチから飛び乗ってきた。

妙に人懐こい犬を連れてコックピット室に入ると、二人の脳波に声が飛び込んできた。



「こんばんは、夜分遅くスミマセン。私は立花博士から案内を託された犬で御座います。」


とうとう犬とも会話することができるようになってしまった二人。

犬は脳波から話を続ける。



「明朝までフライトをこのまま北の方角で進めていくと、立花博士の居る居住区に到着します。この先は私が確認していますので、お二人はお疲れでしょうから仮眠なさっていて下さい。到着の頃、再びあなた方に声を掛けますのでご安心を!」



なんと犬に主導権をも奪われてしまった二人。

この世界の進化とは恐ろしいところまで進んでいると改めて実感するのであった。―――





~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



その頃、幸恵に連れてこられた面々は、食事を終え各自の部屋へ案内された後も、再びその部屋に集まって議論を交わしていた。


「あの、相馬船長さんのご意見はいかがですの?」


「意見と申されましても・・・ただ、我々人類の末裔はいまだこの星においても寿命が存在しているようなのです。」


「それにしても不思議ね。後から来た立花博士の船と宇宙空間ですれ違った翌日に、我々も到着しているというのに、あの瞬間から既に1億年も立っていて、しかもとうの昔に博士はお亡くなりになっていて・・・彼の遺志を継いだ桜と言う植物が開拓し続けてきたと言うことがね。」


「それよりも無感情で脳波で会話しながら暮らしている・・・彼ら植物星人は一体何が楽しくてそんな進化の仕方をしてしまったのだろうか?」


「多分、全て幸恵に統治されているから、例え悪い気を起こしても脳波によって制御されてしまったのよ。平和と言う欺きによって。」


「まるでニワトリ小屋で自由を奪われたブロイラーのようだね。」


「もっとひどいぞ、これは独裁国家そのものの形ではないかな?人々は感情をもコントロールされて日々の暮らしをただただこなすだけ。まるで奴隷さ。そのピラミッドの頂点に君臨する幸恵によって牛耳られているのさ!」


「とすると、いずれ私たちもそういうことに・・・・」


「キミネェ、気がつくのが遅いよ。既にこうやって訳のわからない迷宮に連れて来られて隔離されてしまっているじゃないか!しかも脳波まで常に読まれて見張られている。」


「じゃ、彼ら植物星人と一体何が違うのでしょうか。」


「それはね、彼らは永遠に新陳代謝しながらそれに従っていくのさ。しかも喜び、悲しみの感情もすでに無いのだから、もとい全ての欲望も無く、ただ生きている・・・であるからその状況が別に通常の状況であって、不幸だとも考えていないのだから。」


「そうだね。我々人類はいずれ寿命が来る。そうなれば別れの悲しみも味わえよう。その短い人生であるが故に、人々は大切に残された時間を使って日々を生きようと、何かしらの小さな楽しみを求めて生きているんじゃあないかね。」


「そうね。生きている喜びを堪能するからこそ、お互いを尊重し合えるのね。」


「だが、本当かねぇ。ここの星人たちに感情がないって言うのは?もしかしたら脳波を読み取られるのが怖くて、それを押し殺しているんじゃないかな?」


「うん、可能性は有るね。もしかして感情が無いのは幸恵ただ一人だったりしてね」




もはや「ブロイラー」の立場になりかかった一同にとって、明日からの運命のカードが今、切られようとしていたのだった―――――







-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆













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