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第4章 ナティスの憂鬱・・・

コスモの絆☆☆☆   第4章 ナティスの憂鬱・・・



ナティスは浮谷教授の遺志を胸に、来る進展地になろう星、「ムソルグスキィ」への儚い希望と新たな文明開化への道しるべを、果たして開花することが可能となろうか。そして「マヤ古文書」の真相に、人類にとって輝かしい未来の回答は秘められているのであろうか・・・




~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


Scene.10 立花教授へのコンタクト



ナティスは尚も古文書解読に勤しんでいる。


彼の取り柄として、集中力において人一倍の自信はあるほうだが、それを買われて浮谷教授に従ってきた助教授生活。

だが、彼は29歳の時分において未だ思考形態が稚拙であると自負している。まだまだ浮谷教授の足元にも及ばない。


そんな彼にとって教授からの現在進行形の膨大な命題は、正直、重荷でしかない思いが否めなかった。



浮谷教授の恩師でもある立花博士の文献は過去に見知ってはいた。

とくに博士の自然環境への傾倒度合いはいささか過剰に感じていた。

立場的にそれは余儀なく必須なことであったかもしれない。

しかし、気のせいかもしれないが、エゴイズムが立っている気がしてならなかった。

論文の語調はある意味、独裁者の取る流儀のように独善的で挑発的。

それを心地よく思う輩には好評のようで、マスコミにも同様であった。

しかしマスメディアに登場する様子は滅多になく、マニアックな支持者に寄っていた。


「マヤの古文書」については地球時間2000年代には発見されておらず、存在だけが揶揄されていたのだが、この30年の間に急遽発見され、物議を読んでいた。

というのも、あまりにその解釈が先鋭的過ぎる嫌いがあったおかげで捏造やでっち上げという形でUFO同様な作り物の類として扱われた。

そこで立花博士にとって旧知の浮谷教授がその研究に加担する形となっていった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「立花博士、そうなるとこの古文書の解読にはある一定の法則が有ると言うことですかね?」


「ああ。古代の研究資料を紐解く中でメソポタミア文明との共通点が多数あることに気付いたのだが、そう、メソポタミアの文面も当時まだ解読されていなかったのであるが、そこで実験的に二つの言語を重ね合わせてみたのだ。するとストレスなく、まるで滑り台を降りるように解読が進んでいったのさ、不思議だねぇ!」


時にニュートン誌面を飾る大発見となったのではあるが、当時は見向きもされていなかった。というのも第4次高度経済成長を迎えていた経済界の中において、地球環境やエコの理念と言うのは足かせ以外の何者でもなかった。



ローコスト化のための発展途上の国々における生産活動に付き物なのは、工業廃棄物だ。

利益のためには低コスト生産が必須であり、そのためには先進国においてタブーとなる化学物質の使用により成り立っていたのだから。

工業排水及び廃棄物、ナノプラスチックは地球上にかつて無い濃度まで地球環境を汚染し続けた。その実体は情報操作によって伏せられていった。


環境団体にしても利益供与が浸透していたため、割り増しの環境基準を定義し、あたかも当面は問題ない体裁を嘯いていた。根拠の無い数値指標によって人々を納得させた。

そんな柵の既得権益は世界中のマスメディアをも牛耳り、民衆からの意見も制御された。

突発的な良識的な活動においても悪評を流布し口を塞いでいった。


そんな世の中で正義でさえも悪評に摩り替えるご時勢において、古文書研究など何の意味も無いと位置づけられていたのだ。


そこで浮谷教授は宇宙環境と自然環境の密接な関連性を研究していた。


地球環境の急激な悪化によるメガ台風や豪雨、砂漠化、それによる飢饉の度合いを増す中で弱者の立場に眼を背けることなど出来なかったのだ。

日本においては他国の現状は情報の制御により捻じ曲げられていたのだが、各国を渡り歩く立場上、実際の地球環境の悪化が深刻である事は熟知していた。


そして教授は古来の文明の中に完成度の高かった文明の存在が無いかと立花博士の研究に立ち会う中で自らの回答を模索して行ったのである。


「浮谷君、マヤは良いよねぇ、と言うのは、ある意味制限されたコミュニティーの中でも人々は利権にとらわれずに生活基盤を高度なまでに築いていたのだからね。」


「そんなことが可能で?」


「ああ、統率者に私利私欲が存在していなかったのだろう。私のこの古文書の解釈が確かであるならば・・・

崇高なまでに平和な世の中を永続的に成り立たせるための手法をとっていたことが証明になる。

生命ラインの水の供給、下水の整備、統率者の住居と平民のそれとは何ら分け隔て無く生活していたのだよ。ある意味「理想卿」とも言えないかい?

食糧自給体制を見るに、人々は平和な共存関係を享受し、共に生産する喜びを分かち合っていたに違いない。

その意味において最も豊かな文明であったろう!」



立花博士は「マヤ古文書」解読を進める中で浮谷に熱く語った・・・




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.11 かつての青い星



「相馬船長、引力レベルが急に高まっていますが。」


「いよいよ突入かな。流石君、一つ君に質問がある。」


「何でしょう・・・」


「僕が君を助手として選んだ理由、判るか?」


「私を?パイロット経過実績と操縦能力でしょうか。」


「おしいなぁ!実を言うと・・・」


「船長、もったいぶりますね。」


「勇気だ。」


「と、申しますと?」


「ほら、これからこの未知の星の大気圏に突入するのだよ。なのに君はちっとも動じては居ない。それだよ。」


「はぁ・・・」


「知力体力は2の次。なにせ「勇気」こそがその先の運気をも呼び起こすものであるから。」


「運気ですか・・・」


「そうだよ。これから待ち受ける未知の状況下での不安要素は計り知れない事は君も承知していよう。だがね、勇気があるとないでは大きな違いが生じるものさ。もしも不安の闇に囚われてしまったのならば、一歩たりとも先へなど行くことさえ身体が動かなくなる。思考さえ停止する。世の中一寸先は闇なのは誰にとっても同じこと。どんな境遇においても勇気さえあれば一歩ずつでも人より前に進むことが出来るのさ。」


「そんなものですかね。」


「ああ、もう一つ言い忘れていたのだが、「勇気」とは「バカさ」なのだ。」


「え、若さ、ではなく「バカさ」ですか?」


「ま、若気の至りもバカさではあるのだが、要は「バカ正直に生きる」ってことさ!」


「と、いうことは私は・・・」


「そう、バカなのさ。それって大事なことだよ。利口に机上の論争を並べてみてもその先にある「勇気」など生まれない。そんなことをしている時間など徒労でしかないのだから。人生一瞬先は闇ならば、進んで灯りをつけるくらいの気位というか、飛び込んでゆく「バカさ」がその後の運をも左右するのだよ。」


なるほど・・・と船長の言葉に頷いては見たが、さっぱり意味不明な流石。

それをよそに、目の前にはかつての地球を思わせる青き星が鎮座している。

刻々と「トルストイ」は選ばれた人類を乗せて突進し続けている・・・・



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



機体の振動は未だに続いてはいたものの、50人に満たない残された人類の精鋭達は事の行く末に希望を見出している。到着もしていないのにのかかわらず、お気楽に祝い酒などを交わしているのだ。


「あら、タイ国王様、お元気そうで。」


「これはこれはお久しぶりです、あの占星学の・・・」


「ははは、あの時はどうも。楽しかったわ・・・」


「如何でしょう、この星は占星学的に?」


「星座の配置は悪くは無さそうですが、気になるのは私達の「心理」ともいうべきでしょうか、それに何かしらの影響を引き起こす暗示が感じられるのです。最も、平和的な方向であれば良いのですが。」


「ならば大丈夫。多分私がこの「トルストイ」の乗員メンバーとして選ばれたのは、新天地の統治手腕を期待されてのことでしょう。これから始まる明るい未来は私の能力に掛かっているのです。きっと平和な星になりますよ。」


「はぁ。私もそれに賛成ですが・・・もしこの星に先住民などが居たりしないかしら?」


「無論、大丈夫ですよ。それより私が恐れているのは内部から沸き起こるやも知れぬ、クーデターのほうですね。」


「と、申しますと?」


「此処に人選されし恵まれた方々は、これまでの地位肩書きが邪魔になってエゴを押しとおすのではないかと・・・そう感じるのです。」




/////// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆







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