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第39章 俺たちの旅路Ⅱ***

コスモの絆☆☆☆ 第39章 俺たちの旅路Ⅱ***


~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



Scene.58


QQQQQQQQQQQQQQQQQQQ


「マヤ・プレーンホテル」を後にした面々。


シャトルは「マヤ地区」を抜けるべくハイウェイへと合流してゆく。

自動運転のシャトルは快調なスピードでハイウェイの追い越し車線を飛ばしながら他の車両を牛蒡抜きしてゆく。

やがて閑静な住宅街が現れたことでCITYから郊外へと辿りついた。

幸恵の車内アナウンスが始まる。



「間もなく、「モモ地区」に到着します。ここはマヤ地区へ通勤する方々の居住地として古くから人家が密集しています。これからご案内する場所はその中にある「モモ地下宮殿」となります。」


「地下宮殿」の言葉に一同がざわめく。

宮殿と言うとはるか彼方から荘厳にたたずむイメージを持っていたが、こんな閑静な住宅街の広がる一角にあるのが不思議に思われたから。


住宅地から丘陵の頂上へたどり着く頃、ある石造りの建物の前にシャトルが停車する。

幸恵に促されて降りる一同。

丘の上は静まり返っている。

そういえば、ここでは緑の星人の人っ子一人ともすれ違うことは無かった。

辺りの静まりにしばし不気味さを携えた古い建物へと案内されてゆく。


エントランスからロビーへと入る。

薄暗い室内には、古代壁画が描かれており、我々一同を取り囲む。

一同は幸恵に案内されるままに大きなエレベーターの中に入る。

やがて幸恵が脳波でコンタクトしたのか、静かに「B3F」へと動き始める。


そしてエレベーターの扉が開かれてゆく。



真っ白なプラットホームのようなその場所の遥か彼方まで続く通路を先導する幸恵。

一同は黙ったままその後を着いてゆく。

相馬船長も無言のまま幸恵の先導する成り行きにただ従っている。

辺り一面真っ白なホームの遥か先には一両のリニアが停まっている。

辿りついたとたん、乗降ハッチが静かに開かれる。


「さ、どうぞこちらへ。」


幸恵はそういうと、一行をリニアへと案内する。

一行が着席するとリニアが静かに走り始める。

すると前方のモニターに画像が映し出される。


「これからこのリニアで地下の迷宮へと皆様をご案内します。これからの一週間はこちらの「モモ地区」にてあなた方にこの星の成り立ちなどを習得していただきます。」


そういうと脳波からか何やらモニターと連動しながら一行の耳に音声が聞こえ始める。

全ては幸恵のコントロール下に移行していくような気がしてならない相馬は気がきでならないままに・・・・・・・・



「ここ「惑星ムソルグスキィ」へ辿りついた立花博士は高等化した植物達とこの地の開拓を始めました。その大元となったのは皆さんもご存知でしょう、「マヤの古文書」です。

博士はこの砂の大地を緑化することから始めました。そして建造物も全て植物由来の素材で輪廻するように仕立てました。そう、建物たちも植物星人同様、生きているのです。そして「炎の鳥」が太陽の代わりの存在としてこの分厚い大気に閉ざされた惑星の中で光合成を促して行ったのでした。」



相馬は幸恵のナレーションを聞き続けながら周りの一行の様子を伺う。

一同に難解な表情が浮かんでいる。

無理も無い、この不可思議な現象を理解する事は私にでさえ難しい。



「皆さんがこちらへ来られるまでの一億年の間の輪廻は、植物特有の自己生成が成せる業でもあり、栄養分も全て植物由来で完結できるような進化を遂げていったのです。この星の生物は地球上に居た生物と同じ形状になっていったのは全て人類の進化し続けるAIから得られた情報を元に生成されていきました。

我々が緑色であるのも、植物の光合成によるものであり、全ての建造物、そう、この石造りのように見える建てやでさえ、AI情報を元に学習した植物が作り出してきたのであります。

基本、生命の寿命と言うものは彼らにはありません。

植物は輪廻することによって、新たな子孫を増やしながらもそれぞれの生成によって自動的に新陳代謝を繰り返しながらいつまでも存在しているのです。

しかし残念なことに、この星にも地球同様に火山活動が存在しています。

溶岩によって焼き払われてしまった輩も少なくはありません。

やはりこの星においても、地球同様に自然からの恩恵を受けることが出来る一歩で、どうしても自然の猛威から逃れることの出来ない刹那も存在するのです。

それが生きると言うことなのでしょう。


そして立花博士も順調に進化を遂げていきましたが、どうしても彼の体の大部分は地球上の進化のエリアが大部分を占めていることによって寿命を迎えたのでありました。

我々もその博士の側近である桜さんの努力による蘇生を見守っていましたが、どうしてもそれは叶えられませんでした。やはり人類の寿命はせいぜい120年であったのです。」



と言う事は、およそ一億年前に博士は死んでしまっていたのか?

するとナティスが行っていた博士と言うのはやはり虚像だったのであろうか。

幸恵の話は続く~~~



「博士のAI情報は常に脳波を読み取っていますので、その分身を作るのは容易なことでした。いずれ分身である博士ともコンタクトすることも出来ましょう。

そしてあなた方も人類の末裔である以上、どうしても限られた命、あなた方の肉体の存在は寿命を迎える嵯峨なのでありましょう。

勿論、あなた方の分身は既に脳波データが存在しますのでいつでも創造できます。

私はある意味、それが永遠の命であるのではと解釈しているのです。

よって、立花博士も永遠に行き続けているのです!


博士の遺志を継いだ高等植物達はやがて植物星人へと進化をしていきました。

それまでとの大きな違いは、彼らはある一つの目標に向かっての生命活動を脳波により統一されており、人類の生活で必要であった欲望や欲求、心の活動が必要なくなったことで、その部分が退化していきました。

人類の欲望による「エゴ」の作用はこの星には必要ありません。

金銭的な優劣はなく、全ての人が平らかに安定した生活を送る上において必要の無いものは全て退化していきました。

動揺に人類特有の「感情」という、いわば平和活動の統一に「邪悪」な要素はなくなりました。

それによって、皆が平和のための一つの目標に向かって争うことなくこれまでの生活を築き上げることができたのです。」



これを聞くや、相馬は居ても立っても居られずに呆気にとられる。

「感情」の無い世界?

それが「平和」?

相馬は思わずナレーションの声を遮るように幸恵に質問する。



「「感情」がなぜ「邪悪」であり、「平和」の妨げとなるのです?」



幸恵のアナウンスが停まる。

相馬船長のほうにむかって微笑むと、話し始める。



「人類の歴史からの負の遺産という判定がAIの分析により出されたのです。

人類はそれぞれのエゴから来る感情によって、数々の争いを起こしてきました。

この世界、もちろん「マヤの古文書」をモチーフにした統一された社会活動において、それは至って原始的な思考であり、排除することが進化であると謳われているのです。

我々はその負の遺産を排除することによって平和を保ってきました。

ここでは争いごとなどありません。

金銭の授受の無い、この星の星人達はいつでも欲しいものが与えられ、機械的に時間軸の中で生命活動を行うことが平和だと解釈しているのです。

感情という、ある意味「振れ」によって様々な障害が発生することが平和の妨げとなると解釈しているのです。

そして永遠に一つの目標に向かって邁進することがこの星の明るい未来となるのですから!」



相馬は幸恵のその言葉に、何故か嗚咽を憶えるばかりであった・・・・











-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆












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