第38章 俺たちの旅路***
コスモの絆☆☆☆ 第38章 俺たちの旅路***
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Scene.57
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新たな旅への欲求がふつふつと湧き上がるナティスと流石船長助手は身支度を整えると「マヤ・プレーンホテル」のロビーを後にする。
真夏のような陽光が眩しいここ「マヤ地区」のセントラルロータリーにたどり着く二人。
「では、ナティスさん。不束者ですが本日からよろしく。」
「しかし本当に大丈夫なのですか?この未開の星での旅路は相当過酷なものになるかと。」
「何を仰います、これまでも我々は幾多の未開の事象に対峙して来たではありませんか。」
「それもそうだが・・・しかし何処へ向かったら良いものか。」
「ナティスさん、ご心配なく。私には秘策があります。さ、こちらへ。」
どうしたことであろう、心配げなナティスの表情を他所に流石助手が先導し始める。
秘策と言っていたが、一体?―――――――
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早朝に旅立ったナティスたちを他所に予定時間の朝9:00に「マヤ・プレーンホテル」ロビーに集まった面々。
予定通りそこに幸恵が現れた。
「皆さん、御機嫌如何ですか。この星の生活に慣れてきた頃でしょうか。それでは本日から私がこの星の各所にご案内させていただきます。全員おそろいでしょうか?」
相馬船長はナティスたちが旅立った事は知らぬ振りをしている。
それを察したでもあるかのような幸恵が呟く。
「そうですか・・・ま、いいでしょう。ですが私への離反の代償はいずれ高くつくことになりましょう。お二方の無事をお祈りするばかりであります。それでは皆さん、早速シャトルに乗り込んでください。」
幸恵はそれだけを一同に告げるとそそくさと先導する。
相馬船長の不安は最高潮に至っていった。
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「流石君、君は「秘策」と言っていたが、それは何だね?」
「まぁ、何れ解りますよ!」
何か楽しげにも見える流石の表情に少しばかり不安が解消されてゆく。
流石はタクシーと思しき自動運転車をヒッチハイクすると二人は乗り込んだ。
自動運転車は案内を告げるでもない流石の脳波を読み取ると目的地へと走り出す。
流石は何故かウンウンと頷いている。
まるで脳波でのコントロールを既に身につけてしまったようであった―――
「マヤ地区」からハイウェイへと合流する。
方角は一週間前に来た道を帰る方向、これは・・・・
ナティスは進行方向からこの星に着陸した場所、そう、あの「宇宙船トルストイ」へ向かっていることに気付く。
そうか、あの「秘策」というのは・・・
すると流石助手が口を開く。
まるでナティスの脳波を読み取ったでもように。
「ナティスさん、既にお気づきでしょう。実はですね、私は船長からあるものを事前に手渡されておりまして。これです。」
相馬助手はポケットからあるカードをナティスに見せる。
「これは、あの「宇宙船トルストイ」のキーです。長旅を危惧された船長からの贈り物です。そして船長は私にこう仰りました・・・・「必ず無事に帰って来い!」と。」
それを聞くや、ナティスは呆然とした表情で前を見つめていった。
どの位走り続けたであろう、ハイウェイから一般道へと流れを変えた車は、その一直線の道をひたすらに向かってゆく。
やがて草原の大地が広がる一本道になると地平線が見え始める。
この星はなんてスケールなのだろう、遥か彼方まで建物一つ見えずに居る。
何処までも続く草むらの一本道。空にはあの「炎の鳥」だけが飛び交っている―――
ナティスは陽光に照らされ輝く清清しい緑の大地の中でうたた寝を始めた。
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「これこれ、ナティス君。いよいよ君のたびが始まったようだね。私も嬉しいよ。」
「た、立花博士!」
「起こしてしまったかね・・・私は待っていたんだよ。君が来ることを、1億年前からね。そして「マヤの古文書」の内容がフェイクであることに愕然としながらも、緑の星人達は文句一つ言わずにこの星を開拓していった。そして今があるのさ。しかしその過程で、どうしたことかその緑の星人の中に離反者が現れてね・・・植物達はこの地で戦いを始めたのさ。長い長い戦況は人々の心を疲弊していったのさ。そして、それぞれの目的の地に境界線を引くことでお互いに干渉しないことを誓ったのさ。だがね、それぞれの欲望、そう、この星に辿りついた頃は人類の負の遺産である「エゴ」等微塵も見られなかった植物達ではあったが、その欲望は実は今も膨らんでいっているのさ。ある人物の采配によって・・・」
「ある人物?」
「幸恵だ。」
「さ、幸恵さんって、博士の奥さんではありませんか。」
「そう、かつてのね。だが本当の幸恵はとっくに地球で死んでしまったのかもしれない。その後シェルター船の中で出会った幸恵そっくりな宇宙人、未だ不明だがバーチャルな虚像の存在なのかもしれないが、その宇宙人である幸恵の「エゴ」によってこの星の未来は既に支配され続けている。それは人類のピラミッドの頂点の奴らがかつて民衆を奴隷のように扱ってきたあの「人類ブロイラー計画」そっくりな恐怖政治によって民衆を平和の名の下に先導した体裁で、実のところ星人の脳波をコントロールすることによって欺きながら統治している、というもの。
まさにブロイラーのように植物星人たちを操ってきたのだ!」
「ブロイラーですか・・・・」
「そう、既にこの星にたどり着く前から我々が誘引されたのは、全て幸恵の仕業なのさ。我妻だったことを思うと誠に情けなくてね・・・そしてまだ未解明ではあるが、あの「マヤの古文書」の内容ですら、もしかすると幸恵の仕業でフェイクされたのかもしれないのかと。」
「もしかしてあの古文書の発見された過程から怪しいのかもしれないのでしょうか。」
「ああ、もしかしたら全ての捏造はそこから始まったのかもしれないが。今言える事は、幸恵はこの新たな人類の新天地を統治する、言うなれば「絶対神」的な存在として位置しているということなのだ!*-*-」
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///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆