第37章 緑の孤独Ⅲ***
コスモの絆☆☆☆ 第37章 緑の孤独Ⅲ***
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Scene.56
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ナティスは相馬船長と流石船長助手に連れられて「マヤ・プレーンホテル」のロビーの席に着く。
相馬は心配げにやつれたナティスの横顔を見やる。
流石が緑茶を持ってやってくる。
「一体どうしたというんだね?連絡もよこさずに・・・」
「ええ、古文書の解読に勤しんでいまして・・・実は折り入って船長に相談があるのですが。」
「何だね?」
「私の前に数日前に立花博士が現れましてね・・・それから私はすっかり苛まれてしまったのです。それというのもその立花博士、もとい立花博士の虚像と思われますが、私の解読している「マヤの古文書」の内容は全て、何者かが作り上げたフェイクであると仰っているのです。」
「なんだと!」
相馬船長と流石船長助手に動揺が走る。
「そこで折り入って相談なのですが・・・明日が此処「マヤ地区」に来てからちょうど一週間目の日ですよね。幸恵さんに再会する約束の。そこで私は本日から、私一人で旅立とうと思っています。」
二人に沈黙が訪れる。
ナティスは話を続ける。
「仰りたい事はよーく解っております。我々人類の末裔はあの「宇宙ステーション船・トルストイ」に乗船してから運命共同体としてここまで辿りついたのでしたね。それを私一個人の身勝手からそれを捨てて一人で放浪に向かうことがどれだけの裏切りであり徒労なことであろうか・・・しかし私は気付いたのです。私は自らこの星について探求する使命があるということに!」
「ナニィ、使命だと?ナティス君、君はどうかしてしまったのではないか?」
「いいえ。至って平静であります。」
「しかし、立花博士だの使命だの・・・理解に苦しむが。」
「そうですね、あまりにも唐突なお願いでありますから無理もありません。ですが私には人生を新天地に求めた頃から私の気持ちは決まっていたのです!」
「まあ良い、とりあえず話を聞こうではないか。一つ私には判らないのだが、運命共同体としての我々が一丸となっていくことではダメなのかい?君と共にこれまで数々の恐怖に取り巻かれながらこうして無事に来たじゃあないか?」
「ええ、それには感謝しております。ですが、これからは私が自分の足で一歩づつ踏みしめ確認しながら辿って生きたいと思うのです。私なりの「マヤの古文書」の解を求めて。」
すると流石船長助手が口火を切った。
「相馬船長、実は私もナティスさんと同じことを考えていました。もしかしたら脳波を読み取られていたのかもしれませんね。」
「何だと、君まで・・・一体どうしたというんだい。」
「船長、かねがね私も仕事に忙殺されていたことも手伝って自分の人生について振り返るときなど御座いませんでしたが、今回の遠距離フライトの際に巻き起こる宇宙空間での様々な事象によって、人類の範疇を超えた、ある意味哲学的な心境に至ってしまったのかも知れませんが、新たな環境におかれたのをきっかけに、新たなことをやりたいという意欲がふつふつと巻き起こったのであります。」
「へぇ、君がね。私と共に宇宙空間で窮地を過ごしてきた君が、私を置いて旅に出るのかい?随分大きくなったものだね!まぁ、好きにするがいいさ。だがな、君に最期の使命を船長として私は命ずる。流石、いいかい、君はナティス君と共に行動することを命ずる。そしていつの日か再び私たちの元へ無事に帰ってくると約束をしてくれ。」
船長はそう言い残すと速やかに席を立った。
残された二人。ナティスが新たな助手となった流石に言う。
「流石さん、覚悟はおありですね?」
「ええ、お供しますよ。私も船長の気持ちは解っています。船長は貴方の身を案じて私を助手として付ける為にああ仰ったのでしょう。」
「流石さん、実を申しますと私にはこの脳波によって監視されているこの星の社会体制に疑問を持っている事が今回の探索の鍵となっているのです。これから巻き起こるであろう幾多の障害に貴方には乗り越えられる覚悟はお有りでしょうか?」
「ナティスさん、なにを今更仰って。覚悟が無かったらとっくに逃げ出して地球へ引返していますよ、ハハッ!」
「それもそうですね。では参りましょうか。こうしている間も我々の脳波は監視し続けられているのですから。何れ追っ手が迫ってくるでしょう。さ、早く!****」
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///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆