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第36章 緑の孤独Ⅱ***

コスモの絆☆☆☆   第36章 緑の孤独Ⅱ***


~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~



Scene.55


それはそれは十分にナティスを孤独の闇の中へと陥れるに十分な事象であった――――


そう、ある意味ワタシのKAIBAの中身を根底からそっくりリセットを掛けられて、上書きでもされたような気さえしているのであった********




-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



立花博士と思しき虚像に苛まれたナティスは、その日から来る日も来る日も古文書の解読に勤しんだ。

今やこの「マヤの古文書」の正否も根底から覆ってしまったような気さえして、狂ったようにその書面の中に答えを探り続けてみるのであった――――




~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



その頃、他の人々は幸恵と会うまでの一週間の自由行動に明け暮れていた。

タイ国王と雨宮女史は喫茶店ソナタでモーニングを嗜んでいる。



「夕べはゴメンなさいね、国王。昨日のライブハウスでつい舞い上がっちゃって、それにしてもこの星ってステキね。ブティックもあるし、嬉しくってつい買い込んじゃったけど、何でもあってまるで地球のCITYみたいね。ワタシ、此処の生活に直ぐになじみそうよ。


それで・・・昨日国王はこの国の歴史について調査していたようでしたけれど、何か成果はあって?」


「うん、それがね、我々の「宇宙船トルストイ」が惑星ムソルグスキィの軌道周回を重ねている最中に例の立花博士の「シェルター船」が先に到着した当時は、この星は砂漠の原野が広がっていたそうなんだよ。それから立花博士が育てた植物達が高等生物として進化していってこの星に植物を植林して行ったそうなんだ。立花博士の描いた「ビオトープ構想」を基にしていたという―――」


「え、ビオトープって地球にもあったわね。一つの隔離された地域において自然回帰的な食物連鎖で成り立つように人工的に作られた地域のことね。」



「立花博士の場合はもう一歩進めて、その規模を拡大したいわば独立国。そしてこの「惑星ムソルグスキィ」を全てその輪廻にしようという、壮大な計画だったそうだ。」



「そしてこの星は幾千年の時を経てこのような緑の地になっていったのね、ステキね。」



「その立花博士の構想の大元になったのが「マヤの古文書」だったようなのさ。

そして立花博士の意志を汲んだ桜という植物星人がその後支配して行った。もちろんベースは古文書であり、進化し続けるAIの情報であったりしたのだが、その支配者桜の目差す形はより未来的なものであり、全て植物由来の成分によって人工物をも構築し、全て植物のみで輪廻する仕組みへと変わって行った・・・そしてある「ブロイラー計画」がその後持ち上がった。」



「ぶ、ブロイラー?あの鶏の?」



「そうだね、意味合いはそこから来ているのだが、ニワトリのブロイラーは既に野生の鶏から野生を奪って人間の管理下において成育する状態であるが、それと同様に植物星人たちを束ねるために、ある手段を利用していったのさ。それは脳波を読み取るということなんだ!」



雨宮女史は国王のその大声で言い放った奇怪な手段に動揺し、カップのコーヒーをテーブルにぶちまけた。

店員が慌ててそれを片付ける。

気を取り直したところで国王が続ける。



「君も散策中にお気づきだったろう、この星の今や星人となった植物達は脳波を読まれることによって制御されていったのだ。何か離反する思考をした段階で桜の配下がそれを制御し悪事を働かないようにコントロールしていったのだ。」



「恐ろしいわね、それって個人情報や会話までが全て読まれるってこと?何も隠し事が出来ないわね。全て監視されちゃって・・・・それじゃあまるで警察国家よね。」



「そうだね。星人は皆、脳波を読み取られるだけではなく、桜による教えを脳波によりインストールもされていった。

そうして離反するものを出さないシステムを構築したのが桜流の「ブロイラー計画」だったんだ。幸せの名の下にね。」



「幸せ?それって本当に幸せなのかしら?」



「そうだねぇ・・・ある意味幸せなのかもしれないよ。ともすれば犯罪は防げるし牽いては戦争さえも起こらないのではないかい?コントロールに従いさえすれば何でも手に入るし。ほら、昨日君も支払いをすることなく欲しいものを手に入れることが出来ただろ?楽しかっただろ?」



「あらっ、何だか恩の押し売りのようですわ!もしかして、国王も桜の手下だったりはしないでしょうね?」



「なにを申されますか・・・だがそうかもしれないね。昨日2時間も書店でこの情報を入手していたのだから。もしかしたら洗脳されてしまっているかもしれないな。」



「まぁ、恐ろしい・・だけどここの緑の星人だけじゃなくって、実際に私達の脳波も読み取られてしまっているのは確かよね。ほら、行きたい場所に自動的にVRヘッドでも着けたかのように目の前に表示画像が現れるし・・・既に私達もブロイラーだったりして・・・」



「ううむ、そのようだな・・・」




複雑な心境の二人は、新たに注がれたコーヒーをすするとため息をつく―――――










~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆













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