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第33章 草原地区・マヤにてRocken'Roll!Ⅱ◆◆◆

コスモの絆☆☆☆   第33章 草原地区・マヤにてRocken'Roll!Ⅱ◆◆◆

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


Scene.52


Rr Rr Rr Rr Rr Rr Rr Rr Rr Rr☆☆☆*****



ケタタマしく響く音響が耳を劈く中、タイ国王と占星学博士雨宮女史は年のせいか半ば放心状態に陥っていた・・・・・



「国王、さあさ、こっちよ!ワタシについてきてっ!」



そういうと雨宮女史は何だか若返ったように勝手知ったるかの様子でライブハウスの奥へと突入してゆくではないか。


ステージには真緑色に日焼けしたボーカルがそこらじゅうに跳ね回りながら、いつしか地球で聞いたあの曲、多分そうだと思うが、「人々との戯れ」 を唄い続けているではないか~~~~~



「国王、年甲斐も無くワタシったら、スミマセン・・・だってぇ~ワタシったら、こんな夢のようなデートをずうっとぅ~、ずうっとしたかったんですものぅ、もう、突き合わせてしまってゴメンあそばしぃ。」



なにゆえか、潤む瞳の女史のその熱い眼差しに付き合わされている未曾有の中で、悪くない様子のタイ国王は彼女に促されるがままカウンター席へと導かれてゆく~~~


そんな彼女はまるで青春時代をも取り戻したかのように、手馴れた感じでバーテンダーに告げるではないか。



「☆Hey boy!カシスオレンジ二つっ、お願いっ!」



あっけに取られながらも、今や外れそうな入れ歯をただひたすらに押し込んでゆく国王のそれを誰も知る術も無く、雨宮女史はステージで跳ね回るバンドメン達を眺めながら郷愁をそそるかの如く尚も潤みつづけている――――


そんな修羅場を切り抜けた国王は、やっとのことで女史に向き直るや囁き始める。


「あのぅ、アナタってもしかして以前こちらに来たことがあるのでしょうか?」


「へっ?めめ、滅相も御座いませんわ。なんとわなしに街の佇まいからして、こんな場所があるような気がしただけですので・・・私の昔の勘が冴えていただけですわ!」


「それにしても驚いたねぇ!アナタが昔はイケイケな少女だったとはねぇ!」


「あ~らやだ、そんなんじゃ御座いませんのよ・・・実は、あなたが一番好きな場所を見つけてと、AIに検索を掛けたらここを案内された次第ですのよ!」


「へっ、へぇ~、本当かなぁ・・・・」



怪訝な面持ちのタイ国王ではあったが、曲が80年代のソウルミュージックに変わったことで、少しずつ遠い眼をし始めるではないかっ。


何気に良いムードが年老いた二人の間にそよ風のようにメロディを運んでくる、そんなひと時が流れ始める―――



ステキな時間が流れすぎる頃、ステージではドライアイスの煙に巻かれながら、何処かで見覚えのある顔が現れたではないか~~~~~~~~



最初は眼を疑った二人ではあったが、遠巻きに見える彼女は、どうやらあの幸恵のようであった。似ているが別人だろう、こんな場所でそんな筈はないのだから。



やがてスチールドラムが静かに鼓動してゆき、ジャジーなメロディーが流れ始める。

その緑色の光線に包まれた彼女、そしてソロで歌い始めるのであった。


一気にライブハウスが大人の世界へと誘われてゆく♪♪♪♪♪



カウンターの二人の前に2フィンガーのバーボンが店名の「PASSION」と書かれた白いコースターの上に置かれてゆく。


イベリコサラミにカシューナッツとチーズのパティがトッピングされた小皿も添えられて。

二人はそれを口に運んではたしなむのであった―――――



国王は隣に佇むや、少し酔いどれながらスローにリズムを刻む女史の様子を横目で伺う。



それは、さわやかな青春の風にうなじの髪が漂っている光景、かつてのあの少女の面影が映っている~~~~



そういえば、と、かつての妻を重ねた国王は、静かに彼女を見つめながら思う。

そ・う・だ・ね、しばしそっとしておこうか・・・・・


そんなキザな自分にほくそ笑んでもしてみるのだった。




~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~



やがて「PASSION」の夜も深け行く。

先ほどのバーテンダーが国王に囁く。



「あのう、先ほどの「マスカレード」を唄っていたボーカルの方がこちらに同席したいと。」



な、何だって?あの幸恵と思しきあの彼女が?

さすがのタイ国王にもしばし動揺が走る。



「雨宮女史、バーテンダーがこんな事言ってるけど。


「へ?いいんじゃない!アンタ、今のカクテルもう一杯!」


すっかり上機嫌の女史はボーイにそう告げる。

すると、あのステージでシュールに唄っていたボーカルが国王の隣に着席した。



「あら、ご機嫌の様子。ワタシにもそのカクテルご馳走して下さい。」



接近した彼女の衣装のスパンコールに眩くも眼をくらまされた様子の国王は、彼女のあまりにもステキな横顔に思わず見とれながらヨダレを垂らしそうに成って行く~~~~



「こ、国王様ったら、何よ!この美貌の私を差し置いてっ!」



雨宮女史はそういうと、酔いどれ天使のフラフラとした足取りでBadroomへと向かう。

ああ、全くどうなっているのかね。彼女の後姿を黙って見つめる国王。


彼女のカウンターにカクテルが置かれる。



「じゃ、遠慮なく。」



そういうと幸恵そっくりのスパンコール眩い彼女は、国王にウィンクすると一口すする。

国王は思わず頬を赤らめる・・・・・



「あのぅ・・・つかぬ事お聞きしますが・・・あなた幸恵さんですよね?」


「あ~ら、幸恵さんご存知なの?」


「え、ええ。この星に到着した際の案内役でこの「マヤ地区」に案内されまして。」


「あら、そうでしたの。確かによく言われますが、しかしワタシは違います。」


「で、でもあまりにも瓜二つで。」


「そうね、無理も無いわね。何れ解ります!」


「そ、その言葉も幸恵さんそっくり・・・・」


すると、カクテルを飲み干した幸恵と思しきボーカルの彼女は、キラキラとスパンコールの光を輝かせながら席を立って行ったのだった―――――






~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~

///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆










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