第31章 草原地区・マヤにてⅡ☆☆☆
コスモの絆☆☆☆ 第31章 草原地区・マヤにてⅡ☆☆☆
~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~
Scene.50
QQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQ
「マヤ・プレーンホテル」から15分ほど離れたところにある「紀伊国屋書店」にタイ国王と占星学博士雨宮女史は入った。
書店とは言うものの、そこにはカウンター形式の長いテーブルにシートが並んでいるだけであり、殺風景に端末が据えつけられているというものだった。
そこに二人は腰を降ろすとタブレット画面が映し出される。
それぞれの項目に焦点を合わせると書籍が閲覧でき、情報が脳波を伝って音声として届き始める。
「まぁ国王!勝手に読んでくれるのね。」
「嗚呼、そうですね・・・驚いたなぁ。」
二人は黙々と書籍を当たり始める。
タイ国王は此の星の歴史について調査を開始する。
雨宮女史は占星学の書物に没頭する。
2時間ほどの時間が流れた頃、女史が席を立つ。
「そろそろ参りましょうか、国王。」
「あ、そうだね、どれどれ。」
時は地球時間で11:00となっていた。
日差しが眩しい。季節は夏であろうか。
今日は週末であろうか、緑色した親子連れも大勢歩いている。
ただ不自然なのは、誰しも無口にすれ違っていく。
脳波で会話しているのであろうが、地球と似た風景で唯一不自然と感じられる。
「此の星では意思疎通のコミュニケーションが大分脆弱ね。何だか奇妙。」
「そうだな、確かに奇妙だ・・・」
「それで、国王はどんな文献を閲覧なさったの?」
「うん、此の星の文明について知っておきたかったので、それにしても此の星では購入という概念は無いのかね?」
「と、申しますと?勝手に閲覧したものからカード支払いが行われていると思っていましたわ。」
「いや、どうも支払いは行われないようだ。どうも文明は共存共栄をモットーにしているらしく、お互いに必要なものを無償で手に入れているようだ。もっとも地球上のある国では豊富な地下資源により国民が誰も働かずに国から生活費を与えられている国も有ったから、多分似た様なシステムなのだろう・・・」
「え、ってことは私が欲しいものは全てタダで手に入ってしまうの?」
「おお、そのようだよ。因みに君は何が欲しいの?」
「えっと~ワタシ、長いことお洋服買っていないからちょっとお洒落したいなって。」
「ああ、そうだよね。宇宙船内ではブティックも無かったものね。じゃ行こうか!」
「フフフ、アリガト。まるで国王とデート気分ね、ステキ!」
「あ、ああ・・・何だか照れるね。」
~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~
自然気象学及び宇宙物理学、科学、化学、地理、物理、生物学博士の面々は早々に喫茶店を見つけ入ると、朝から議論を交わしていた。
「AIからの解析情報を集計した結果、色々と興味深いことが解ってきたよ!」
「地表の成分構成はほぼ地球と変わらない。水も豊かにあり植物にとって最適な環境が整えられている。地球より遥かに大きい此の星では火山活動や地震も起こり、磁性領域も地球同様、北極南極もあるようだ。まさに生きた星の典型だ!ここはどうやら赤道に近い場所だろう。」
「気象の変化もここでは台風やスコールも起きることから、どうやら此の辺りは熱帯性気候のようだ。」
「ここまで地球に近い環境なのが信じがたい!」
「しかし・・・大気が分厚く辺り一面を覆っているので、光合成は無理な筈、一体どのような環境構成となるのだろうか・・・」
「近未来文明ならばLEDを使用するが、星全体と考えると無理だな。」
「AIの回答は驚いたことに、あの「炎の鳥」が光合成に関与しているようだ。ほら、まるで太陽のように弧を描きながら舞っていた幾千の鳥の群れが、太陽の役目を担っているようだ。」
「海はどうだね?」
「地球同様に深海も広がっている。驚いたことに地上と海の配分は3:7、まるで地球と同じ。」
「月はどうだい?」
「幾つかこの星の周りに同様の星があり、それらの引力によって波は作用している。」
「知れば知るほどに地球との類似性が高いな・・・まるで神の力によって想像されたかのような・・そして我々も必然的に導かれたような気さえする――――」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
別の席ではCIA長官、メキシコ法務官、キューバ軍部長官は「マヤ・プレーンホテル」に早々に戻ると、ロビーの席で神妙にひそひそと会話している。
「この星の住民が敵である可能性は?」
「夕べAI情報から導いた上での推測ですが、この地域においては低いと考えられます。もっともこの星の規模からして此処は比較的豊かな都市であるようですが。」
「ううむ。武器や軍事施設のようなものの存在は?」
「それは機密事項なのか今のところ見当たりません・・・至って平和なのかもしれませんが、地球上でのこれまでの歴史からも推測できますが、民族間の軋轢は無い事はないでしょう。どこかで秘密裏に戦いが行われているかもしれませんね。人的被害は兎も角、サイバー攻撃による経済戦争とか。」
「この地域に限ったことかもしれないが、平和そのものだな。我々地球人の想定する範疇での・・・だが、全て同じ方向に向かって優位性を持たずに維持できる社会など果たして存在するのだろうか。エゴの無い文明など?」
「意外とこの星の住人には支配しようという欲望そのものが無いのかも。植物星人で構成されているのだから生殖活動さえも自動的に行われるのだからそういう類の欲望など存在しないのかもな!アスタマニャーニャ!明日は明日の風が吹く!の理論なんだろう、ハハッ!」
メキシコ法務官のその一言に、何だか晴れやかな気分となった一同は、足取りも軽くなってホテルのバーへと向かうのであった。
~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~
///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆