第30章 草原地区・マヤにて☆☆☆
コスモの絆☆☆☆ 第30章 草原地区・マヤにて☆☆☆
~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~
Scene.49
QQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQ
WHO長官メルトとインド医療財団長官グスタフが議論している。
「グスタフ君、一体君はいつからそんなに緑色に成ってしまったんだね、ハハッ!一体これはどんなことが起きているのだろうか・・・僕らも宇宙人に成っていたりして。」
「メルト長官、どうやら貴方の愛読しているSF小説の世界がここでは展開されていて・・・そして私達も現実問題としてこの不思議な星に到着している。信じがたくもそれは間違いない事象ですよね。」
「それにしても頭の整理がどうも年のせいもあってか追いつかないのだが・・・まんざら此処での生活は悪くは無いかもしれないぞ!無事この星にこうして五体満足で居られることを思えば、宇宙人たちは私達を受け入れてくれたのは間違いなかろう。」
「そうですね、私達の新天地「惑星ムソルグスキィ」は、我々の住んでいた地球よりも遥かに高度な文明でありましょう。そして私達はここで新たな生活を送ることになるのでしょう―――此の星の宇宙人と上手に共存することさえ出来ればの話ですが。」
「ううむ、我々より高度な文明人が存在していた・・・我々はSF作家が描いたようなストーリーの中の世界に居る―――ここで我々が展開する任務としては、此処に無事辿りついた人類の末裔の健康と安全を損なわないようにすることだ。」
「はい、そうですね。早速皆さんの問診をするように手配します。」
~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~
やはり無事ホテルに到着したシリア事務次官、哲学、宗教学博士たち。
彼らもシリア事務次官の声掛けによって彼の部屋で集っていた。
「しかし驚いたねぇ・・・ここには我々が想定した以上に私達の最先端技術をも遥かに超えた文明が展開しているのには!
やはり地球の技術など虫けらに過ぎなかった事が証明されたということだな。
今のところ此の星の宇宙人たちの腹の虫の居所は悪くなさそうだ。」
「それよりもこれは手厚い招待とも言えませんかね?安全は確保されている様子で。」
「私には脅威としか見れないのですが・・・・今でさえこのホテルに隔離されているとも考えられませんかねぇ。これは間違いなくご招待なんかじゃないですよ。半ば強引に誘引し続けられた挙句に、やはり我々は捕獲されてしまったのでしょう―――――」
「そうですね、まだ「炎の鳥」の気まぐれが続いているのかもね、興味本位で。」
「ということは、まだ捕食されかねない危険も残っているかも・・・」
「ヒッ!やはり俺ら、食われるのか?」
「何も解らんが、一つ言える事はまだ何も起こっていないということ。結論を急ぐな!」
相変わらず議論好きな彼らはウイスキーを片手に持論を展開しているものの、彼らの不安も此処に辿りついた一同と何ら変わらないままであった――――――
~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~
翌日は此処マヤ地区の窓外の空は青々と、久々に見る思い出の地球で観た空の色と何ら変わらないことに一同は清清しさを懐かしんでいた。
そう、あの火山活動が起きる前の遠い昔の風景と変わらないあの光景が、どこまでも広がっているのだった。
一同はロビーに集結すると、CITYを散策することにした。
観るもの全てが新しい感性で彩られている。
他の国に辿りついた時のように、地球での海外渡航で味わったような錯覚をも誰もが覚えていた――――
今日は幸恵からの案内は無い。
相馬船長は幸恵から一週間の自由行動を言い渡されたことを一同に告げる。
先ず此のホテルのあるマヤ地区中心部のロータリーに立つ巨像を見上げる。
それは高さ20mはあろうか、その立花博士そっくりで緑色に塗られたお爺さんの巨像が誇らしげに立っていた。
「立花博士も偉くなったものですね!こんな立派な巨像になるなんて。」
ナティスが相馬船長と流石船長助手に呟く。
「彼の遺志を次いで植物星人達が建立したのであろう。此の星の新文明の立役者なのだから。AIの情報によると桜という植物星人が彼の提唱した「ビオトープ構想」によって植物主体の都市を構築した。そしてそのモチーフとなったのは彼の地球の遺跡である「マヤ文明」を古文書を基にしながら未来科学技術でオブラートして構築したとのことだ。」
相馬はあたかも自分が構築したかのように胸を張って説明する。
その様子を見てナティスは微笑む。
「ところでお話があるのですが、驚かないでくださいよ・・・・実は夕べ、宇宙空間に居たときに船内でお亡くなりに成られた我が師である浮谷教授が、どうしたことか生き返っていまして・・・・私の部屋で面会しました。」
ナティスが恐る恐る二人に告げる。
「またまたぁ!ご冗談を!ナティスさんお疲れでしたから夢でも見たのでしょう!」
流石助手が嘲る様に笑う。
「ええ、そうかも知れませんね・・・ですがどうにもリアルでありまして・・・」
ナティスは夕べの浮谷教授との場面を回想する。
「多分AIからのバーチャル情報が脳波を伝って睡眠中に進入したのかも知れませんよ。」
流石助手が想像を膨らます。
「しかしそれも恐ろしいな。もしかしたら今も我々はバーチャル空間の中に迷い込んでいるだけなのかもしれない・・・なんてねハハッ!」
今度は嘲笑気味に相馬が微笑む。
「そうですね、こんな話ナンセンスですね。それよりも此の新たな生活拠点である立花博士の描いた世界を早速探検しましょう!」
一同はそれぞれにロータリーから中心街へと興味本位に歩み始めた――――――――
~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~
///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆