第29章 これがビオトープということか☆☆☆
コスモの絆☆☆☆ 第29章 これがビオトープということか☆☆☆
~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~
Scene.48
目の前に突っ伏している浮谷教授――――
ナティスは今時分眼の前で起こっている事象に戸惑いしか起こらない気持ちで居る――――
かの「宇宙ステーション船トルストイ」にてここに到着した際に、確かに教授の遺骸は船の中に納めたままだった・・・
そのまま立花教授の奥さんであり今や宇宙人と思しき幸恵さんの案内により此処まできたのではあったことで、ついその浮谷教授のカプセルのことなど忘れていたことには相違は無かったのだが・・・・・・・
そして目の前にいまや緑化した浮谷教授と名乗る彼が突っ伏している・・・・
そして窓越しの市街中心部の巨像の立花博士が立像されている中で、彼も生きているのだという事象・・・どうにもこうにも解せないままで居るナティスがただ底に佇んでいる。
これは夢か?はたまた―――――――――
確かなのは、つい先ほど「Welcome drink」を飲み干した瞬間から眠りについてしまったということだ。
それは事実に相違なかろう。
その後眼前に緑化した浮谷教授と名乗る人物が現れて・・・・・・・・そして今、眼前にて突っ伏している・・・・・・・・・・・・
確かなのは、私が今の夢想領域であるか定かではないこの記憶の範疇において判別できる眼前の光景から察するに、おそらくそれは・・・・・そしてもしこの眼前の光景と、その浮谷教授と思しき緑化した人物が語った「桜」の話の内容から察するに、そう、桜の言っていたという「何れ解ります」という言葉も奇妙なままに・・・・・・
そして私も少し緑がかってきたようだとも言ってたっけ。
どうやら我々は此処の住人として認められたのかもしれないとも・・・・
ナティスは気になってトイレの鏡に向かう。
「な、何故に・・・・」
そう、どうやら私も正式な住民として導かれてしまったようだ―――――――
~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~☆~*~
その頃ナティスと同じく此処「マヤ・プレーンホテル」に導かれてしまったいつものタイ国王と占星学博士雨宮女史が、このホテルにあるレストランで食事を取っていた。
「まぁ国王!この星の料理は何ら彼の地地球のそれと変わりませんね?不思議ねっ!」
「嗚呼、そうですね・・・エビもこんなにプリプリしていて・・・何故か皆緑色なのが謎ではあるが、ま、味は変わらないね。」
「そうねぇ・・・そう言われれば・・・」
「あのぅ~、しばし貴方に気に掛かる事象が生じているので正直に申しても宜しいでしょうか?」
「あ、私に?ええ、それに関しては既に気にしては居ませんのよ・・・ホホホ。しかし、貴方についてもご存知かどうか知れませんが・・・私は自分の部屋にあるパントリーの鏡で既に確認済みです。」
「な、何ぃ・・・?」
「あら、ごめんなさい、あなたご存じなくて?貴方もだいぶ緑化が進んだ模様で・・・」
「ははぁ・・・・・ワシもかね?」
「きっとここではこれが常識のようですわね・・・気になさらないほうが・・・」
「しかし、貴方はこれまでにも増して私の眼には美しく映っているのですが!」
「あ~らヤダは、国王、そんなこと言っちゃって!貴方こそステキよ!」
「それにしてもところ変われば不思議なことが起きるもんですねぇ。私はこれまでの宇宙空間でこの星に辿りついた暁には・・・そう、貴方にも申したことがあったかな、この星の文明の主導権を取ろうという欲望がふつふつと湧きあがっていたものではあったのだが、いざ此の星に着いたとたんに、どういうわけかそんなことは微塵も感じないんだよ。」
「あ~ら、そうだったのですね・・・正直私も国王に従っていればその恩恵にあずかれるとさえ思ってはいたのですよ・・・フフフ。ですがね、今は何もそんなに私利私欲を主張することの意味合いさへも何処かに吹き飛んでしまったとさえ思えてしまうのです。不思議ね!」
「やはり、そうだったのだね。私も妻を失ってから宇宙船「トルストイ」に乗ってあなたと出会ってからというもの、なんとか貴方のためにそのような希望を持ち合わせていて・・・そしていずれ貴方と一緒に慣れればいいなとも思っていたのでありまして・・・」
「え、そうでしたの?それも良いかも知れませんね――――――」
新たな文明の星の夜に二人の未来像が膨らみ始めて行くのだった――――――
~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~
///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆