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第24章 パンドラの小箱を開ける時***

コスモの絆☆☆☆   第24章 パンドラの小箱を開ける時***


~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


Scene.42



「そ、そんなはずは無い!」

立花博士はそういうや、いきなり無線を切った。

短気だとは聞いていたが、こんなにも・・・

それにしても失礼なことを言ったものだとナティスはいささか反省していた。

しかし博士の奥さんに対する疑義は尚もナティスの中にふつふつと巻き起こってゆく。

尚もランデブー飛行を続けている2羽の「炎の鳥」たち。



すると親鳥と思しき立花博士の乗る炎の鳥が急加速し始めた。

そして急速に接近してきたときよりも遥かな加速度であっという間に飛び去ったかと思うや点になってしまった。

そしてとうとうモニター越しから見失ってしまった―――


一体どうしたというのだろう・・・という事はこの鳥の親鳥ではなかったのであろうか。

こちらの鳥さんを誘導するでもなく、一足飛びに加速して消えてしまった。

ナティスは久々に交信できた立花博士に失言を言った事を悔やんでいた。

そのために親鳥は怒ってしまったに違いない、と。





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☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



「あら、早かったのね。どうしちゃったのそんなに息を切らして。」


「幸恵、オマエはもしかして宇宙人・・・」


「何言っているのよ。あなただってとっくに宇宙人よってさっき話したばっかりなのに。」


「もしかしてこれは一種の残像なのか?オマエは既にここに存在していないのか。例えば「炎の鳥」が私の海馬に侵食でもして手なずけようとでもしているのだろうか―――」

悲嘆にくれる立花。


幸恵はそんな夫に手を差し伸べる。


「いいのよ、そんなことどうだって。私達が生きていようとも死んでいようとも、そんなことはもうどうでもいいじゃない。例えこの宇宙空間に存在して居ようがいまいが、私達はこうして融和しているではありませんか。」


「なに、「融和」だって?ということは君は?」


「私が何者であろうが、それはあなたにとって幸恵そのものなのよ。だからこうして融和しているんですもの。それを信じるも信じないのもあなた次第ですがね。」

それを聞いた立花から一気に血の気が引いてゆく。

胸の動機が高鳴ってゆく。

嗚呼、神よ――――

そして立花はとうとうその場に倒れこんでしまった。






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「皆さん、立花博士は遠いところに参ったと、今連絡がありました。」

CA桜が悲しそうに俯きながら悲報を継げた。


「何、立花博士が・・・」

植物宇宙人一同が騒然となる。


「ということは、これから何を頼って行ったらいいのだ!博士在っての我々じゃないか。」


「皆さん、現実を受け止めましょう。生きとし生けるものは全て寿命というものがあります。それが運命なのですから・・・我々もいつかは遭遇する事象なのですよ。」


「そうだが、この期に及んで・・・ではこれからどうしたらいいのだい?」


「それはそれぞれが考えることなのです。しかし現在起こっている現実、鳥さんは「惑星ムソルグスキィ」へと加速度を増しながら突進しているのですから。ほら、周りを御覧なさい。」


桜がそう言うや、辺り一面に宇宙空間が映し出された。

そして一同はいよいよあの巨星が眼前に迫っていることに気付く。


「さぁ、覚悟しましょう。新たな未来に!間もなく大気圏に突入します。」

桜がそれぞれを席に着くように告げる。

シートベルトを装着し辺りの光景を見守る一同はもはや無言のままでいる。

やがて光景一杯に巨星が飛び込んでくる。

次の瞬間、我が「炎の鳥」は炎に包まれていった。

誰もが燃え上がるそのおぞましい光景に当惑する。

そして再び光景は元のシェルター船内部空間に切り替わった。

ただ振動だけが激しく揺れている船体の中。

何とかその振動に耐え忍ぶ一同は、やがて再び振動が収まるのに気付く。

CA桜が再びアナウンスする。


「皆さん、お疲れ様でした。当機は間もなく「惑星ムソルグスキィ」の地上に到着します。」

しばらくして「ダダダッ!」と音と振動が船体に伝わると、一歩づつ歩いているような振動がテクテクと響く。

そして「トンッ」と産み落とされるように地面に着地した。

どうやら鳥のハッチからシェルター船が落下したのだろう。



そして振動は止んだ――――



「お待たせしました。いよいよ彼の地、ムソルグスキィに到着です!」

CA桜は希望に満ちた表情で一同に告げる。


CA桜はコックピットに着くとハッチ解除作業に入る。

やがてハッチは放たれた―――――





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☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



そこには砂漠が広がっていた。

「炎の鳥」の姿はすでにそこには無かった。

多分飛び去っていったのだろう。


見渡す限り何も無い大地。

彼らが想像した地球の景色とは変わりないようだが。

何か期待はずれな感じさえする光景に一同は言葉を失う。


「これは一体・・・・」


すると桜が話し始める。


「ほら、空を御覧なさい。」


一同が空を見上げる。


そこには金色の「炎の鳥」たちが弧を描きながら飛んでいる。

何千羽いるのだろうか、数え切れるものではない・・・


「こちらでは太陽が無い代わりに鳥さんたちが太陽の役目を担っているのです。私達が育った地球環境のことをよくご存知のようで、夜を作り出すために地球時間に合わせて飛び去ってもくれるようです。」


「ということは、私達を歓迎してくれていることか?」


「勿論ですよ。あの炎に包まれた地球から脱出してくれたのも鳥さんたちの意志による物なのですから。そろそろ私達の棲家の場所へと案内してくれますよ。」


すると先ほどまで太陽だった鳥の一羽がこちらに舞い降りてくるのが見える。

大きな翼をはためかせながら勢い良く着地した。

そのせいで一同は砂煙を被った。


「お待たせしました、さぁお乗り下さい。」


その鳥の後ろのハッチが開くと一同は乗り込んだ。

再び上空へと舞い上がる。

鳥の内部が地上の景色を映し出す。

一体何処を目差しているのか、延々と広がる砂漠が果てしなく続いているだけだった。

やがて大きな湖のほとりに着地する。


「さぁ、こちらが我々の居住地となります。後はご自由にと鳥さんは申しております。」

CA桜は無責任な言葉を伝える。

ついに我慢していた一同が物議を醸し出し始めた。


「それにしてもこんな所に連れて来られて、後はご自由にとは一体どういうことなのかねぇ!」


「けれども食われなかっただけ不幸中の幸いだよ。」


「ヒナたちのエサだけはゴメンだが、いずれのたれ死ぬ運命かな。」


「そんなことないさ、ほらこの水、ちゃんと呑めるぜ。太陽だってあるから光合成も出来るさ。」


「養分はどうするのかな?」


「我々は宇宙空間にも適用できたんだから、きっと大丈夫さ。」


「それは植物プラントのお陰もあるからな、一概には安心できないだろう。」


「早速辺りを散策することにしよう。」


「そうだな、立花博士の理想をここで叶えよう。」


「そうだね、きっと博士も喜んでくれるね!」


植物宇宙人たちの新たな地での生活が始まろうとしていた―――――





~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
















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