第18章 虚空に寄せる刹那・・・
コスモの絆☆☆☆ 第18章 虚空に寄せる刹那・・・
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Scene.32
私のこれまでの経験知の中でこのような想いにふける事は、未だ無かったことに気づく。
そう、予想だにしない事象の渦中において、これまでのそれぞれが何の意味も成さないことを忽然と知らされる。
全ては無駄だったのかなぁ、と・・・・
だが・・・それがどうした!しかしまだ私にできる事はある筈だと自問自答してみる。
彼の地の青き星においての様々な経験が、それが、私の全てであったのであろうか?
それを遥かに超越している現況の今、私が夫々を受け入れることの戸惑いに揶揄する・・・
これまでの研究や分析、マヤ古文書の謎解きや解釈、それらがこの現状において、なんの役にも立つ事は無かろう。
受け入れよう・・・・それが今の全てなのであるから・・・
葛藤の海は、依然私にとっての意味となるだろうか。
これまでの全てを亡き者に追いやったとして、ただ闇雲たる私の存在意義に回答は出ず。
それでもこうして生きている、これが事実。
ダーザイン、確かなこと、私は今此処に存在している。
例えそれが人類、或いは植物でもなく、基準線のどちら側に傾いていたとしても、それに意味を見出そうとしようともしなくとも、ただ現実だけが存在している。
最も今、私が植物側に組成を傾けていようが、それを把握しているのが自分の範疇、それを誰が知ろうが、誰かに揶揄されようが、この今が現実の全て。
例え私が受け入れなくとも、現実は既にそのような形で存在している。
単に存在だけがそこにあるのみ・・・
立花博士は「炎の鳥」に今や引き込まれようとしているこのシェルターの状況下における操縦室から事の成り行きをみつめている。
2倍、2乗倍へと速度を増しながら、ただ成す術も無くこの鳥の誘引は続いている。
これまでの柵を振り解いてまでこれから対峙するであろう新たな彼の地への想いを馳せつつ、これまでの余韻を堪能させられながらも、半ば強引にも現実は連鎖してゆく。
小さな鳥は尚も我々を誘っている。何処へ?何故に?
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すると操縦席後方の扉が開く。
そこに彼女が立っていた。桜だ。
「博士。貴方のお気持ちは我々にも重々分かります。
残念ながら我々の資質である脳波を読み取る機能によって貴方のお考えは要必要に関わらず伝わってしまうのです。
博士のお気持ちは承知しております。それはそれはショックな事でしょう。
我々も同様に、彼の青き星、地球での生活の記憶は拭えないで居るのであります。
我々の進化として得られた学習が我々をこのようにしてしまったのも事実であります。
決して悲観する事象でもなく、プラス思考で我々はこれを受け入れ共有しています。
そして貴方がこれまで得られた知見においても共有するに至っています。
博士、何事もプラスに考えることにしてみてはどうですか?
我々に対する貴方の悲観的憶測についても。
念のため、我々があなたに危害を与えるような事は決して御座いません。
我々はこれから巻き起こる事象や未来について、常に真摯な心で受け入れることで一致しています。博士に対して敬う気持ちも変わりません!
博士も今このような姿に進化した我々について、手放しで受け入れてほしいのであります・・・
立花博士は桜のその言葉を胸に遠い眼をして思案する。
そしてある結論にたどり着いた気がした。
「これが、もしかしたら「融和」ということなんだね。」
立花に胸の中の澱が、じわじわと解け始める音が聞こえたような気がした
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Scene.33
相馬船長は流石助手に指令を下し続ける。
宇宙線トルストイから「炎の鳥」の内部への探索が今始まろうとしている。
「よし、鳥の内部の調査を開始しよう。」
ボットは船体のハッチからするすると鳥の内部へと降下してゆく。
それをモニター越しに一同はみつめている。
ことの成り行きを誰もが不安ながらも期待をこめて。
やがて無事降下が完了する。
「よし、ではこれから内部を探索する。皆準備はいいね。」
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ナティスは「マヤの古文書」から謎解きを見出そうとして躍起になる。
そうだ、第430節を当て嵌めてみてはどうだろうか?
あれは難解な節としておざなりになっていた。
立花教授や浮谷教授が分析に取り組んできたものの、ことごとく解読が進まずに取り残されていた節である。そこにナティスは答えがあるのではないかと思案する。
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紺青の空の中にたゆまぬ望みを奏でつつ
輪廻の意味をやがて解釈するときが来るであろう
その回答は水と金において作用し
生と死の因果関係を紡ぐ。
太陽神はどこぞに
虚空に寄せる我が想い
絶え間なく続くこの銀河
生きとし生けるものの哀れにも似て
虚空は尚も続いていくように
生き物達のその鼓動の発する起源すら
この空間においては神から授けられ
次元を超えてただ輪廻を繰り返す
生は何処から来たのか
死は何を意味するのか
それを探求する者は
やがて神へと到達しうる
神はすべての起源を司り
それをもって万物に作用し
憤怒の如く沸き立つフォースを身に宿し
やがて太陽の存在となろう
念じることが全て
念じる者が神となり
念じることで万物を創世してゆく
金色成るわが神よ
どうか我らにフォースを携えておくれ
水と金を創世し星と大地を与えよ
そこに命が宿されて
神の御子が営んでゆく
それには愛が必要だ
破壊と真逆の存在
戒厳の悪は隣に鎮座し
常に爪弾き寄り添って
優位の駆け引きを続けつつ
紺青の虚空に夫々を放ち
緻密にも広大な展開とし
存在の意味を求めつつ
幾多の連鎖を紡ぎ関係し
虚空にひとときの営みを与えてゆく
そして最大限の展開は
裏腹な心に落ち着いて
逸れ雲の如く
破壊へと向かい摩滅してゆく
その哀れは潔く
散り散りに解けては消えてゆく
流れ流され永久に
いつかの幻想と残像とが
記憶として神に戻されし
全て手の平の日常と気付かされよう
紺青だけが広がってゆく
虚空だけが漂っている
次の波動を求めて・・・
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ナティスはこの節の謎解きに翻弄されてゆく・・・
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////// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆