第16章 それがあなたの未来◆◆◆
コスモの絆☆☆☆ 第16章 それがあなたの未来◆◆◆
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Scene.28
立花博士は植物プラントでの進化の様子が気になってきた。
ともすると、私の想像のスピードを超えて、そして想像以上の進化体系を構築し、私のことなど必要ともせずに凌駕し始めているのではないかと・・・・
いささか酒量が増えたお陰で足元もおぼつかない酔いどれ天使。
私としたことが、と思い返しても既に遅い。
操縦室から通路を植物プラントへと向かう。
よろよろと、壁伝いにふらふらと。
入り口に辿りつくとドアスイッチを押す。
そして博士の見た光景とは・・・・・
QQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQ
「あら、博士!いらっしゃい!」
ドアの向こうに一人?の人間様の姿の植物が立っている。
私は目の前のそ奴を呆然とみつめる。
「お待ちしてましたよ、博士。いつ来ていただけるかと、皆も待ちかねていますよ。」
皆?それって?
そう告げた人間用の植物は博士の手を引っ張って奥へと案内する。すると・・
「博士!お待ちしておりましたっ!」
な、なんと!どうしたことでしょう。
今まで植物達で埋め尽くされていたこのプラントの内部は整然と片付いていて、そのスペースに凡そ予想だにしない・・・・
そう、まるでどこかの国の兵隊のように整列しこちらに敬礼する植物たち。
案内した人間様の植物と同様の姿。
博士の額に冷や汗が流れ始める・・・
「博士が驚くのも無理はありませんね。私達はAIからの情報を集約した結果、我々の現在における宇宙空間及びシェルター環境に最適な進化形態としてこのように人類様の形態に至ったのでありました。」
一同は博士に向かってきちんと整列して迎えていた。
「博士、こちらへどうぞ。」
先ほど此処へ案内した人間様の植物はそう言うと、博士を椅子に座らせる。
「博士、驚かせてすみません、私、桜です。」
「え?さくら?」
「そうです。いつぞやあなたに植物として最初に話しかけた、あの桜の木です。」
「あ、嗚呼・・・あの時の・・・」
「その後、私がこの隊の司令官として皆から任命されたのです。」
「そうなのか。で、君たちの今後の目的とは?」
「分析です。今の「炎の鳥」に誘引されている現状を調査し我々の将来を案じ回答を導き出します。
ところで、この鳥の目的を分析する中で、一つ判ったことがあります。」
博士はその言葉に興味を募らせる。
「勿論、人類のAIデータを活用し、さらに宇宙空間からの要素を解析する中でそこに至ったのですが。
そしてこの誘引の目的について模索した結果、ある解が見出されたのです。」
何だか鳥肌の立つようなその言葉に、博士は手に汗を握る。
「そして私達が導き出したこの鳥の目的としては「融和」が考えられるのです。
一言に融和と言いましても種々雑多御座いますが、先ず一ついえる事は、「一つになりたい」ということなのです。」
「ほほう、それは我々と合体するということかね?」
「ええ。われわれと意識を融和させ、目的も融和し、新たな将来に向かうということでしょうか。」
「すると、彼らは我々に対して敵意はないと?」
「勿論、そのようなものとはまるで異なるばかりか、そもそもの考え方の次元が異なります。そのようなものは決して持ち合わせてはおりません。」
「では、この鳥は人工物では無くて、意志のある生命体だということかね?」
「はい。地球上での考え方では生命体との範疇には収まらないかもしれませんが、この物体は金属の「金」で出来ているにも関わらず、意志を持ちあわせているのです。」
博士はこの言葉に驚きを隠せないでいた。
だって金属が意志を持つというのがどうにも・・・
金属は物体として存在し、脳や臓器は持ち合わせてはいない。
そして温度環境の中で大小さまざまな形態に変化することはできる。
固体或いは液体として存在するが、かといって夫々の意志において形態を変える訳ではなく、他からの要因において変化する物質として存在をしている、と考えられてきたのだが。
「博士、今のお考え、脳波にて察知しましたが。
勿論我々もそのように考えていました。
しかし、それだけでは解決できない作用が確認された事で、そのような回答を導き出さずにはいられなかったのであります。」
ほほう、やはり私の脳波などこ奴らにとって読み取るのは朝飯前だな。
悪い事考えて利用しなければ良いのだが・・・
「博士。一つ申し上げておきます。我々は決して博士を凌駕しようなどとは、これっぽっちも考えておりません。
というのも、我々はあの燃え盛る地球において博士同様に最期を迎える筈だったのです。
我々植物の大半はとうの昔に死に絶えていたのです。
しかし博士が無作為としても我々をこのシェルターに保管して下さったお陰で、我々はこうして今現在も生命を維持しているのです。
ある意味命の恩人です。そんな博士を我々が凌駕しようだなんて、これっぽっちも考えた事はありません!」
博士はその言葉にひとときの安堵を憶える。
「ならば、君達の意見をもう少し聞いてみようかね。」
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Scene.29
宇宙船「トルストイ」は尚も「炎の鳥」の中に居る。
AIからの情報を解析した結果が流石船長助手から相馬船長のところに届く。
「な、何ということだ・・・・」
相馬船長の顔が一気に青ざめるのを流石助手が確認する。
「ということは、この飛翔体は金属で出来ているにも拘らず、生命体ということなのか?」
流石助手も動揺を隠せないままそこに突っ立ている。
「船長、この生命体は人工物ではなく、他の文明が作ったものでもなく、彼の意思において我々を引き入れたことになりますね。」
「そ、そのようだな・・・よし、情報共有をする義務において、パニック覚悟で乗員皆にこの結果を放送してくれ。いいね。」
「はい、判りました。」
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ナティスはこの「炎の鳥」に関する情報について「マヤの古文書」を紐解いていた。
古文書の内容から推測を深めてゆく。
先ず、飢饉によって疲弊したマヤ民族達を救出するためにこの鳥は舞い降りた。
そして何処かの文明へと彼らを運んでいった。
おおよそそれは平和的な志向により行われている筈と過程できる。
この段階においては。
だが、ともすると、この飢饉を良いことに他の文明へと導いた挙句に利用する可能性なども考えられる。
この古文書にはその文明に関する記述などは載っていない。
そして今我々をこの境遇にしているこの「炎の鳥」においても、この当時の文明の事象とリンクしている。
一つ言える事は、彼らの文明は地球を監視していた可能性が高いということだ。
そして人類の危機的状況を察知することが出来、その後、人類を自分たちの文明へと引き入れたのでは、と。
果たして彼らが地球を監視する意味とは?
もしかして彼らがこの星においての進化の過程を分析し続けているということなのであろうか。
そして危機的状況を補う形で捕獲したということであろうか。
であれば、この地球は彼らにとっての、言わば実験場に違いなかろう。
そして我々は、彼らの手の内の中で実験されているモルモットの様なもの?
であれば、この状況も頷けるのだが。
そうなると、彼らのその目的は?
そして我々人類は何処から発生しているのか?
人類の費やした短い歴史の中で、今持っている僅かな情報だけでは、どうやらこの解とやらは、やはり未だに持ち合わせていない気さえするのだが。
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////// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆