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第13章 そして希望はとめどなく---

コスモの絆☆☆☆   第13章 そして希望はとめどなく---



~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


Scene.23 憂鬱な闇の中で



「これは、いかん!」

悩める立花博士はAIによる解析データに釘付けになる。

宇宙空間へと導きられたシェルターの耐久性に関する問題点について抽出していた。

そして危惧される問題箇所が浮き彫りになってきた。


30年選手のオンボロ宇宙ステーション船を流用しているシェルターではあるが、当時の性能は発揮されていないものの、向こう20年レベルでの航行であれば問題はない。

内部環境の維持システムの稼働状況においてもこのレベルであった。

問題は生存空間の密度が既に過剰な状態であることであった。

勿論、生命活動に必要な酸素量や水質フィルタリングによる汚濁状況については現状の状態を維持していれば問題とならない。


但し、あくまでもそれは、「現状維持での話」なのである。

データを時系列に解析していったところ重大な欠陥がそこには存在していた。

宇宙空間における放射線量や磁場の影響の計算式にある法則性があり、それは考えられる範囲でのイレギュラーな状況を端から想定していないということだった・・・


例えば惑星にアタックする際の急激な重力や引力の違いにより、船体の強度を維持することが不可能となる場合が生じる可能性が有った。

最新技術を結集した宇宙船「トルストイ」の場合は、そういった場合に船体外壁を保護するための電磁バリアが搭載されている。

これにより船体へのダメージが極端に低下することになるのだ。

あくまで宇宙空間を漂っている範囲でのダメージのみが想定の範囲であったのだ。


これはまずい。

当て所ないたびが始まったばかりではあるが、いずれ「炎の鳥」の意志によってどこかの惑星に降り立つに違いなかろう。

あの鳥でさえただ気まぐれにこの船を導き続けているわけもなく、何らかの必要性、目的を携えている筈だから・・・そしてこの船を連れてどこかの星に到着するだろう。


唯一つ、心配に及ばないのは、どうみても私の寿命があと20年は持たないこと。

人並みに持病も携えている。

そう、今となってはそんな心配は無用だと気づかされる。

ただ、そう遠くない未来に、私の寿命があるうちにおいて私は新たな生活拠点である他の惑星への到着を期待できないことであった。

遠くない未来・・・・それは明日かもしれない・・・・・

私の運命は正にあの「炎の鳥」に委ねられているのであった。



立花は先ほどのナティスとの交信の話において新たの脅威と危惧される、植物達との「共存」について、今一度頭を巡らしてみる。


彼ら植物は私あるいは人類とコンタクトを取りたいがために、術として脳波を読み取る進化を遂げたのだろう。

彼らにはAIによって人類同様の知見や思考形態についてのインストールも行われ続けていることで、更なる進化を遂げ続けている。


確かにナティスの言うように、人類よりも高度な進化を遂げた暁には優劣が入れ替わり彼らの支配下に置かれることも考えられよう。

人類が彼らより優位に立てる条件として、彼らに不可能な機能を有しているか、或いは、彼らに人類に対峙できない決定的な欠陥を有していることが必要となる。


今考えられる優位性は、彼らは人類が不可能な脳波による伝達機能を有している点。

これは、人類が気づくことなく彼ら達のみで指令を下すことが可能である。


彼らの決定的な欠点としては、人類ほどの行動力が不可能である点。

こちらは、人類が彼らの行動を制御することが可能となる。


この2点を比較した場合、果たして最終的な優劣はどちらにつくであろうか。

人類が気づく前に植物同士で指令を下し、先手で攻撃することが可能であろう。

攻撃の手法としては、絡みついて行動を阻害する、毒素を生成し人体に悪影響を及ぼすなど。植物種の違いにより毒草や接触により人体へのアレルギー反応を引き起こす、棘による攻撃性がある。


人類の絶対的な優位性としては、場所に固執する必要性がないため行動範囲が広く、すぐさま攻撃することが可能となる。

そして、シェルター内の環境に限れば、植物の生命活動を停止することも可能となる。

やる気になれば焼き払う事だってさえ出来る。やはり圧倒的に優位である。


あくまで現状考えられる範囲においてはナティスの心配は無用のようだ。

そう、あくまで地球上で営まれたこれまでの知見に乗っ取った進化の範囲においては。



だが・・・・この宇宙空間において超越した進化を遂げた場合、そして人類の有する機能までも獲得したとしたならば・・・状況は大分変わってくるだろう。

移動する機能を獲得したならば・・・いや待てよ、あいつらにも移動するケースがあるではないか。タンポポの綿毛のように風を利用して広範囲に飛んでゆくことができる。

毒素についてもより強力なガスを噴霧可能となった場合・・・まさに毒ガス兵器に値しよう。集団で一斉に噴霧されたらたまった物ではない。

そして脳波による通信、やはりこれは決定的に強い攻撃力だ。

私が今こうして別室で空想している間も、もしかしたら彼らはスパイしているかもしれない・・・そうなると先手で攻撃することさえ難しくなくなる。

今頃毒ガスをプラント一杯に充満させ、こちらの部屋まで送り込んでいるかもしれない。



そう、それはあくまで、彼ら植物達が人類に悪意が有るという前提での話しなのだが・・・



既に彼らは脳波を読み取るところまで進化したのは事実。

そして彼らが何の魂胆もなく「人類との共存」を望んでいるのであれば、何も問題はない。

考えても見ろ。人類にとっての一番の敵は、とどのつまり人類では無かったか?

数々の戦乱の歴史においてそれは証明されている。

要は敵であるか、味方であるかということ。

どんな生物であってもそこに尽きるのであろう・・・・



立花博士は早速植物プラントのエリアへと向かう。


そう、これはもしや、人類始まって依頼の植物との平和協定の締結が行われようとしているのかも知れない。そうなれば歴史的なアニバーサリーとなるであろう!

先ほどまでの不安を他所に、博士の新たな希望に足取りが弾む。



~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


プラントのハッチを開け入室する。

そして先日の桜の木の前に到着する。



「こんにちは、桜の木さん。」


「ようこそ、立花教授。お待ちしていました。」


「ということは、やはり脳波で?」


「いいえ。私達は必要性からこの機能を使用していますので。私が予測したのは、AI教育の内容からです。人間の行動パターンを当てはめてみました。」


「そうですか。実は先日貴方からお聞きした、「人類との共存」についてより詳しくお聞きしたいのですが。」



そして教授と桜の木との人類始まって以来の協議は夜更けまで続いた・・・・・










~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


////// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


























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