99話 「魔力の覚醒 その2」
「うぐ……」
何これ???
急に周りの景色がゆっくり見え始めました。部屋の外の声までよく聞こえます。あとは人の気配でしょうか? 両親が近くにいるのを感じますね。
体からほわほわした温かい何か、これは力らしきものがあふれてきているのかな??
もしかして……? と思い、あれをやってみます。
「……んぐぅ(ギフト)」
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【メンテ・ナンス】
年齢 1歳
性別 男
所持スキル
・暴走
・ものづくり
・器用
・配合
・猫魂
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「うごぉー?!(うお?!)」
ギフトが使えちゃいました。これで間違いありません、僕の魔力が目覚めたのです!
「えっぐ……(どうしよう……)」
今起きたことを振り返ります。あのとき、僕の頭の中ではおっぱいという言葉しか浮かんでいませんでした。なんてひどい理由で覚醒しちゃったのでしょう。
……まあそれはひとまず置いておきましょう。
あらためてギフトで自分のスキルを確認してみますよ。
やっぱり”暴走”がありますね。
これは父から受け継いだデメリットしか感じないゴミスキルです。
”ものづくり”というスキルがあります。
名前的に何かを作るのが上手って意味かなと思います。これも父からです。
”器用”というスキルがあります。
メイクばあばと一緒なので嬉しいです。またも父からです。
”配合”というスキルがあります。
何か混ぜるのが得意なのかなと思います。これだけ母と一緒だねと聞きました。
そしてこの”猫魂”。
これが自慢のユニークスキルらしいのですが、謎だらけなので今は評価出来ませんね。
それにしても父のスキルの割合が高すぎませんかね??
僕には、母のスキルが1つしかありません。あとは髪の色が一緒なぐらいしか似てないです。大きくなって父に似て来たら暴走の何とか呼ばれるんでしょ? そんなの嫌なんだけどなあ……。
「えぐぐ……(猫ねえ……)」
この猫魂はどうやって使えばいいのでしょう? 僕がそう考えていると、急に体に変化があらわれました。
「――ぐぅ?!」
何が起きたのか分りません。ですが、すぐに違和感は消えました。
「……?」
痛みは全くありませんでした。なぜか視線が低くなったような気がしますが……。
少し心配になったので鏡でも見てみましょう。僕はハイハイで移動します。あれ、早く動いている割に進みがいつもより遅く感じますねえ。さっき泣いたから体が疲れているのかな?
そして、鏡にたどり着きます。どれどれ、何か変化があったのかな?
「……にゃ?!」
目の前にいたのは、黒色の小さな猫でした。
……………………はい?
僕が茫然としていると外から父の声が聞こえました。
「そろそろメンテも落ち着いただろう。ちょっと見てくるよ」
「あまり甘やかしたらダメよ」
「はっはっは、わかってるよ。大丈夫さ」
「にゃにゃ?!!!!」
ええええええ、今来るの?! タイムタイム。ちょ、これどうすればいいのさ?! 早く戻ってよー!!!
ガチャ。
「おや、鏡の前でどうしたんだいメンテ?」
「えぐぅ……」
振り返ると父と目が合いました。父はゆっくり歩いてこちらにやってきます。
……ん? メンテ?? あれれ???? と思い鏡を見ると、僕は普通の赤ちゃんに戻っていました。さっきのは何だったんだろ。
「うううう……」←ガチ泣き
「はっはっは、寂しかったんだな。パパが来たから安心だぞ~」
「うええええええええええええええええええええん!」
父に抱き着いて泣きまくります。ぎゅっとして甘えまくっちゃうよ。あと父の服に鼻水をぶぅーとして服にこすり付けます。ふぅ、スッキリしました。
ははは、さっきまで僕が猫だったのは気のせいでした。きっとおっぱい卒業の件も夢ですね!
よし、寝よう!
現実逃避をするメンテであった。
やっと変身です。




