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80話 「神様チャンネル 1歳編」

前回までのお話

ギフト(スキル鑑定)を貰った!

 ここは死後の世界。死んだ魂が集まる場所である。


 そこでは、とある神がテレビを見て楽しんでいた。それは神様だけが視聴出来る”神テレビ”。現世の情報を映すことが出来る特別な神テレビの番組が放送されているのである。神様は現世に干渉出来ないのだが、このテレビを通して様子を見ることは出来るのだ。



 そして今放送されている番組の名前は”神様チャンネル”。さまざまな世界の面白い人々を紹介するバラエティー番組である。



『今月の嘘つき勇者は、なんと魔王と手を組むようですよ。世界をどうしたいのか注目です!』

「勇者とか魔王とか大変ねえ……ボリボリ」



 このソファに座りながらお菓子を食べているのは、女神エムピー。普段はびしっとしたスーツを着ている彼女だが、仕事が終わるとジャージ姿になりだらけきっている。あまり人に見せてはいけないような恰好である。これでもれっきとした神だ。



「やっぱり平和な世界の方が管理は楽よね。でも刺激が全然足りないわ……ボリボリ」



 エムピーの担当する世界は平和なところが多い。それでもたまに事件は起きる。するとテレビ番組に流れる可能性があるのでちょっと楽しみだったりするのだ。



『今月の将来有望になりそうな人を紹介するコーナーです。まずは……』

「ふ~ん、あれも転生した人か。最近のトレンドね」



 神様に娯楽は少ない。よってこの神テレビは唯一の娯楽と言えるものである。月1で放送される神様チャンネルは、エムピーにとって最高の楽しみなのだ。



「ただいまー」

「おかボリボリー」



 そこに一人の神がやって来た。彼の名前は男神エチピー。金髪でマッチョな神である。



「神様チャンネルの前はちゃんと仕事をして欲しいもんだ。あとお菓子こぼれてるぞ」

「いいじゃない別に」



 この番組が始まる前になると毎回エムピーはさぼるのだ。やめてくれと頼んでも無駄なので諦めているエチピーであった。



「何か面白いことはあったか?」

「今回は特になかったわね」

『最後にすごい赤ちゃんが現れました! ひたすらおっぱいと祈りまくったのです!』

「……なにそれ(笑)」

「平和が一番だ。ほのぼのとしたニュースじゃないか」

『彼が住んでいる世界はエチピーとエムピーが担当しているエリアです。なになに、えーっとこの世界は基本的に平和なようです。今確認したところ、この番組に登場するのが初めての世界ですよ。いや~、珍しいですねえ。これは面白いことになってきました!』



「「ぶふぅーーーーーー!?」」



『実はこの赤ちゃん、今まで何度も神様におっぱいと祈っているのです。しかも今回のギフトの儀式について完璧な理解をしていた模様です。すごく頭が良いのに、なぜかおっぱいだけをひたすら願ったのです! いや~、ちょっと意味がわかりませんね。もし理解しているのであれば、健康や強くなりたいなど違う祈りを捧げるものでしょう。ですが、この赤ちゃんは普通の人とは思考が違うようです。あとこの子の名前もすごい面白いね(笑)。なった経緯も笑ってしまいます。これは今後の活躍も期待できそうですね!』

『ざわざわ(スタジオ大爆笑)』



「え?! 嘘でしょ。ちょっとエチピー今の見た? 聞いた??」

「……よりによって私たち担当の世界か」

「ねえねえ、もしかしたらインタビュー来るんじゃないの? 私たち有名人になっちゃうわ!」

「とりあえず明日からこの赤ちゃんを見守ってみるか。知らないと返事に困るしな」

「そうね。要チェックね!」



 ギフトとは、この神様テレビに出演するにふさわしい者に与えられる称号である。


 特別な力を与える代わりにあなたの人生を見せてくれ、長生きしろよと言う気まぐれなものだ。ギフトがカメラの代わりになり、その生き物の生涯をずっと追いかけて神テレビの番組となるのだ。


 基本的には勇者や魔王の番組が圧倒的に多く人気だ。だがこの神様チャンネルでは、ギフトを世界中のたくさんの人々に与える。その中から面白い人をチョイスするという手法をとっている。他の番組より多彩な人が出るため、神様にとても受けがいいのである。



 大人気番組の神様チャンネルに出演するチャンスはなかなかない。大はしゃぎなエムピーとまんざらでもなさそうなエチピーなのであった。




 この番組が放送されたのは、とある赤ちゃんが1歳になった頃である。本人の知らないうちに神様の間で有名になっていた。


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