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79話 「スキル鑑定はギフト」

前回までのお話

祖父母にべったりした。

 スキル鑑定の日がやってきました。


 僕と両親の3人で教会に向かいます。兄貴とアーネは、王都で遊ぶと言っていたのでそれはそれでうらやましいです。


 教会に到着しました。教会の前には人だまりが出来ていますね。年齢的には僕と同じぐらいの赤ちゃんやその保護者が多いですね。少し年齢が高い子供は遠くからここまで来たのでしょう。種族? もバラバラなのですよ。


 その中からレディーさんこっちよ! と母を呼ぶ声が聞こえましたよ。どこかで聞いたことのある声なのですが誰だったかな?


 近づいたら顔が見えました。あ、思い出しました。彼女はエンミ・ミカクさんですね。そして、エンミさんに抱っこされているのはアマイ・ミカクですよ。アマイは僕と同じ赤ちゃんです。忘れている方は、34話「ママ会に参加」をチャックですよ。間違えた、チェックですよ。呼び捨てもあれなのでこれからはちゃん付けでもしましょうか。アマイちゃん。


 さて、親同士で挨拶をしているので僕も挨拶しましょう!



「あぐ~。んぐぐぅ(こんにちは。僕メンテ)」

「……」

「うぐぅ!(アマイちゃんよろしくね!)」

「……ふぐぅ?」



 じーっと僕を見てきますね。言葉は分かっているのかな?



「あぐぅ?(僕の言葉分かるかな?)」

「……」

「えっぐ!(おっぱい!)」

「……マンマァー!」

「――?!」


 

 えええええ、アマイちゃんしゃべれるの!? 体の大きさ的に僕と変わらないと思ったけど成長早くないですか??


 すごい! もうしゃべれるんだねと会話が聞こえてきます。話を聞いているとアマイちゃんは、僕より誕生日が早いらしく、すでに1歳になっているんだとか。アマイちゃんの父はニガミ・ミカクさんというお名前で、今はお仕事中で来れないとかね。


 へえ、ミカクさん達は王都に住んでいるんだ。だから僕の住んでいる町で見かけないわけですねえ。



「みんなごめ~ん、待たせちゃった?」



 この声はチクバ・オッサーナさんですね。ベビーカーに乗っているのはナジミ・オッサーナです。フルク・オッサーナさんも一緒にいますね。こっちは僕と同じ町に住んでいます。ご近所さんだよ。


 ナジミちゃんにも挨拶をしたけど通じませんでした。でも一言もしゃべれない仲間でしたよ。ちなみにこの3人の赤ちゃんの中では一番体格が大きいです。ん~、僕ってやっぱり成長遅いの? それとも女の子は成長が早いのかな?


 僕の親たちはいろいろとしゃべっていますね。ふむふむ、結構前から赤ちゃん3人一緒に連れて来ようと決めていたみたいですよ。みんな仲が良いですなあ。



 しばらくしたら教会の中に入る時間になりました。いよいよです!



 ◆



 住んでいる町の教会に慣れていたせいか僕は静かに出来ました。アマイちゃんは怖がり、ナジミちゃんは何あれという感じで暴れています。


 ププッ、二人ともまだまだ赤ちゃんですねえ~。精神的には僕が一番だね! 僕は赤ちゃんじゃないんだぞ~!


 教会の関係者が声が大きくなる魔道具を使って説明をしていきます。なんだあれ、メガホンかな? というか説明している女性の背中に羽があるんだけど……ってあの人、天使じゃない?!



「えぐぐぐううううう」バシバシバシッ!

「はいはい、もうメンテちゃん暴れないの」

「はっはっは。みんなが言っていた通り暴れたな」



 周囲の大人達に、この子赤ちゃんだなあと思われているのに全然気付いていないメンテであった。



 ふう、ついつい暴れてしまいました。赤ちゃんだから許してね。話を戻します。天使さんの説明の内容はここに来る前に聞いていたので頭に入っています。僕は天使に興奮しつつも話の内容はちゃんと聞いていました。ふむ、あまり違いがなさそうなので僕が説明しますか。


 まずスキル鑑定は、神様の贈り物であると考えられています。この世界ではそれを”ギフト”と呼びます。


 ギフトを貰うと、その人はギフトの力を使えるようになります。イブシじいじは魔法を使えないのにこのスキル鑑定は出来ます。そのため魔法ではない別の力であると考えられています。魔法に分類されないけど、使い方は魔法と似ているからややこしいのです。


 で、このギフトは誰でも受けられます。教会に来て祈れば誰でも貰えるんですよ。年齢や性別、種族も関係ないんだとか。まあ神様のサービス特典みたいなものでしょう。昔、誰かがこの力をギフトと呼んだら世界中に広まったんだそうです。


 基本的には、自分のスキルだけ鑑定が出来るようになるみたいです。スキル鑑定以外の他のギフトは確認されていないらしいで、ギフト=スキル鑑定です。まあどちらの言葉を使っても意味は同じだね。長いと言いにくいので、今後はギフトと呼びますね。だってギフトは3文字で終わるもん。赤ちゃん的には短い言葉の方が楽なのですよ。


 それと特定の道具に力を使うと身分証明書みたいになるんだって。ギルドだとギルドカードを作ってるみたいです。魔力登録だと偽造される可能性があるけど、ギフトは偽造が無理だから犯罪防止に役立っているそうです。


 他に教会ではギフトのデータを集めたり、戸籍とかを作っているぐらいかな。



 ざっとこんな感じです。



 神様から貰った特別な力がチート? ぷぷ、それどこの世界の話よ。ここでは皆平等に貰えるんだよ。が僕の認識です。神様なんて見たことも聞いたこともないから本当に存在するのかは知りません。でもギフトにデメリットはないらしいので貰っておきましょう。




 ……さて、僕たちの番が近づいてきました。


 石像の前で祈るとギフトの力が手に入ります。石像の前は広場のようになっており、一度に100人ぐらい祈れますね。終わったら次の100人と交代を繰り返していくようです。これだと人がいっぱいでもすぐ終わるので早いですね。


 終わった人は教会に出る前にデータを登録しておしまいです。あの石に手をかざすとピッって音がして勝手に登録されるみたいですね。何あれ? 電子マネーの決済みたいだ。


 さほど待つ必要なく僕たちの番がやってきました。アマイちゃんもナジミちゃんの家族も一緒に石像の近くに近寄ります。周りではしっかり祈るのよとか教えていますね。言葉分かってない赤ちゃんに通じるのかな?



「メンテちゃん、ちゃんと祈るのよ。わかったかな?」

「えっぐ(うん)」

「はっはっは。勝手にギフトは貰えるから大丈夫だよ。母さんに聞いた話だが、小さい頃のパパは寝ていたけど勝手に体が光りだしたらしいぞ」

「うぐぐ?(まじで?)」



 それなら何を考えてもいいのかな? よし、試してみましょう!



「ではみなさん、祈りをささげてください」



 教会の人の合図とともに一斉に祈り始めます。すると石像が光だし、その光が皆の体の中に吸い込まれていきます。




「えぐえぐえっぐ!(おっぱい、おっぱい、おっぱい!)」




 僕も必死に祈ります。すると体が光に包まれました。やったー!!! そして、目の前に光の文字が現れました。それを家族で確認します。



「はっはっは、ママ見たか? メンテは複数スキルがあるみたいだ!」

「ええ。しっかり私たちのスキルを受け継いでいるみたいよ」

「うぐうううううう!」



 僕だけでなく両親も大はしゃぎです。隣ではアマイちゃんやナジミちゃんの親も興奮しています。周囲もざわざわが止まりませんね。



「でも……これは初めてみるぞ? このスキルは一体?」

「私も初めて見るわ……」

「えぐぅ?(どれのこと?)」



 そこに書かれた文字は……。







 ”猫魂”






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