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67話 「魔法とスキルの関係性」

前回までのお話

言葉を理解してきたと思われた。

 最近はつかまり立ちが出来るようになりました。でも移動は基本的にハイハイで、気が向いたときにだけ立つ感じでやってます。普通に歩くよりもハイハイのほうが赤ちゃんらしくて可愛いでしょ? 僕はもっと構ってほしいのです。赤ちゃんっぽく頑張ります!


 まあいろいろありましたが、つかまり立ちの目標は達成しました。次はスキルを詳しく知りたいですね! 何か方法はないかなあ……。




 ここは子供部屋。


 僕は口におしゃぶりを入れながら床にごろーんしてます。口の中に何かがあるほうが落ち着いていられますね。赤ちゃんの身体だからでしょうか。ちゅぱぱ~。


 僕の横では、アーネが僕とメイドさんに向かって絵本の読み聞かせをしています。メイドさんがよそ見をすると、アーネはちゃんとこっちを見て! と怒ります。どうやらメイドさんに僕に読み書かせている姿を見てほしいようです。僕は寝ころびながら絵本を見ていますよ。


 この絵本の内容は、普通の村人である女の子がお姫様になるまでのお話です。魔法を使えるようになってから人生が変わるみたいな感じですよ。まあ僕は違う意味で転生したから人生が変わったんだけどねえ……。


 この絵本は何回も聞いているので見ているふりをします。別のことを考えますよ。



 ……そういえば魔法とスキルって何か違うのかな?



 確かイブシじいじが言っていましたね。スキルに影響されて性格が決まる、魔法が得意になるとか。つまり、覚えているスキルによって使える魔法が変わるってことでしょうか?


 それだと納得出来ることがありますね。メイクばあばは”器用”のスキルで物作りが得意だと言っていました。そのせいか地味な魔法しか使えないと。あとはお風呂でよく僕を浮かせてくれる魔法もそうですね。母とキッサさんは僕を簡単に浮かばせます。でも父は魔道具の力がないとその魔法をうまく使うことが出来ないみたいです。


 これは僕の仮説ですが、人によって使える魔法と使えない魔法はスキルによって決まるのだと思います。きっとこの世界には魔法がいっぱいあるのでしょう。でもその中から使えるか否かはあなたのスキル次第ってね。


 あとは珍しかったり、普通のスキルでは使えない魔法がユニークスキルかもしれません。イブシじいじを参考にすると、そういう魔法がないので異能としてスキルになっている的な? 前世の漫画やゲームを参考にするとこんな感じじゃないですかね。そう考えると、イブシじいじの主人公感が半端ないですなあ。僕はその孫って話のストーリーが成立しそうじゃんか。



「メンテ起きてー」バシバシ

「うぐぅ?!」



 僕が目をつむっていたらお腹をバシバシ叩かれました。びっくりしておしゃぶりを落としてしまいましたよ。前まで絵本で僕の顔を叩いてきましたが、今では手で痛くないように優しく叩いてきます。まあ優しいといっても顔を叩かれるんですけどね。でも加減が出来るようになってきたみたいです。アーネも少しずつ成長していますね。



「次はちゃんと見てね」

「んぐぅ!(いいよ!)」



 アーネは絵本を読み始めます。機嫌を損なわないようにしっかり見ましょう。


 この絵本の主人公が使う魔法は、真実を明らかにするようです。王子様が魔法で化け物に変わってしまうのですが、主人公が魔法で元の姿に戻して仲良くなります。そのまま二人で悪い魔法使いを倒して結婚するというありきたりなお話です。異世界でもこれがプリンセスって定番な話が作られてるみたいですねえ。


 今アーネは主人公の女の子が魔法を使うシーンを読んでいます。私もする! とアーネが絵本を床に置いて、女の子の絵と同じポーズをします。あ、それ詳しく教えてと言えば、魔法について解説してくれるかも???



 よし、それ知りたいのアピールです!



「えぐぅううううう!」バンバン

「ちょっとメンテ、ちゃんと聞いてよ」



 僕は女の子の魔法について詳しく知りたいので、女の子の絵を叩きます。



「あーぐぅ、うーあーうー(これこれ、これなにやってるの?)」バシバシ

「もー、メンテ邪魔しないの! 続き読めないでしょ!」

「――そういうことですか。誰か奥様を呼んできてください」

「私が行きます」タタタッ



 カフェさんが何かに気付いたようです。おや、この流れは嫌な予感が……。


 で、すぐに母がやってきました。



「えっと、今度はどうしたの?」

「メンテが絵本離さないのー」

「メンテちゃんが? どうしたのかしら」

「よーく見てください、アーネ様、奥様。メンテ様はこのページを見て何かを伝えたいのです」

「「え?」」「えぐぅ?」



 あれ? 勘違いされるかと不安でしたが違いましたね。ただ単に僕の知りたいアピールが通じていただけのようです。そうだ、もっと言ってやれ。僕は知りたいんだって。嬉しくて目をキラキラ光らせながらカフェさんを見つめますよ。



「まずこの絵ですが、女の子が魔法を使っています」

「そだねー」「そうね」

「メンテ様は魔法が好きなのはご存じかと思います。まずはそれを伝えたいのですよ」

「んぐうううううう!」バシバシ

「そーなの?」「この反応はそうみたいね」



 おお、カフェさんに僕のアピールが伝わっています。やったね!



「メンテちゃんはこの魔法が知りたいの?」

「えっぐ!(うん!)」

「わたし出来るよー」

「ぐう?!(まじで?!)」

「こうして、こーするの!」



 アーネの手から小さな白い光が出て来ました。すぐに消えてしまいましたね。



「あら、アーネすごいわね。解除魔法覚えたのね」

「さすがアーネ様です。立派なお姉さんになりましたね」

「「「「さすがアーネちゃん」」」」

「えへへ~」

「うぐぅうううう」



 母がアーネの頭をなでなでします。カフェさんや他のメイドさんも誉めまくります。僕もアーネに近づいてバンバン叩きますよ。手加減? 僕には無理です。むしろ力がないから全力で叩いていますよ。


 へえ、あれは解除魔法っていうのですね。絵本では真実を明らかにすると書かれていますが、実際に似たような魔法が存在するようです。前世のゲームではディスペルとかそんな感じの名前でしたね。



 いや~、この方法ならしゃべらなくても伝わるね! 今後もこれを使おうかな~。



「そしてもうひとつ。メンテ様が伝えたいことがあります」

「まだあるのー?」「え、本当?」「んぐぅ?」



 えっ? 僕はこれで満足だけど何の話でしょうか。でも今のカフェさんなら良いおまけがあるかも!



「メンテ様は絵本の女の子をずっと叩いていましたね?」

「そだねー」「そうなの? 私は見てないわ」「あぐぅ?」



 この魔法が知りたかったので叩いてましたね。



「私の父が言っていました。男の子は欲しいものがあれば体を使ってアピールするものだと」

「「「「「「「?」」」」」」」



 ん? 急にタクシーさんの話が出て来たんだけど……。みんなカフェさんを何言ってるんだと疑問を浮かべながら見ています。もちろん僕も不穏な空気を感じ取ります。



「つまりおっぱいです」

「「「「「「――?!」」」」」」

「えぐぅ?!」



 ふえ!? カフェさんは何を言ってるんだろう。全然意味が分からないんだけど???



「先ほどからメンテ様は、女の子の絵の胸をずっと叩いていました。何度も何度もです。父はよく『男は無言で感情を伝える生き物だ』と私に言いました。本当に欲しいものは言葉より態度で示すそうです。おしゃぶりを投げ捨て、口をちゅぱちゅぱさせながら何度も胸を叩いていました。魔法も知りたいけどおっぱいも欲しいと葛藤に苦しんでいたのでしょう。だから絵本を離さなかった、これは間違いありません」

「「「「「「――確かに!」」」」」」

「ふぁぐぅ?!」



 どうしよう、カフェさんの勘違いが止まらないよ……。でも他のメイドさんは、なぜか妙に納得しているしどうなってるんだろう?


 ふざけてるのかなあと思ったけど、よく考えるとこれはタクシーさんのせいじゃない?



「メンテちゅぱちゅぱしながら寝てたねー」

「投げ捨てた後もずっとちゅぱちゅぱしてました」

「それ見ましたよ」「私もです」「そういえばおっぱいばかり叩いてるの見ました」

「「「「「ざわざわ~」」」」」



 そういえばこんなことあったねって感じでアーネとメイドさんが話し合います。僕が寝てるとき口をちゅぱちゅぱしてるって本当なの? 完全に無意識ですよそれ。知りませんでした。


 それとカフェさんはどや顔しないで。全部カフェさんの勘違いなのです。いや、全部とは言いませんが、今はおっぱい欲しいとかそういうアピールしてないんだよね。本当だよ?



「うぐぅ、うぐぅ~(そんなことないよ~)」

「メンテちゃんは今おっぱい欲しいのかしら?」

「……えっぐ!(うん!)」



 僕はおっぱいタイムを始めました。赤ちゃんってすぐ気分が変わっちゃうんですよねえ。こればかりは仕方がありません。赤ちゃんの本能なので抗えません。


 カフェさんだけならただの勘違いになるけど、タクシーさんが合わさると致命的なポンコツになりますね。もしかしてこれもスキルが影響していたり? あははは、まさかね~。




 ……ふぅ、もう考えるのやめてちゅぱります。ちゅぱぱぱっぱぱ~。




 こうして口をちゅぱちゅぱさせる新たなおっぱいアピールを獲得したメンテであった。このとき軽~く考えていたスキルと魔法の関係は結構当たっているのである。特にタクシーに関しては大当たりだったりするのだが、それを知るのはもう少し後になってからという。



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