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57話 「メイクは孫と遊びたい その2」

 メイクばあばが僕との遊びに慣れていないのを見て、カフェさんとキッサさんも参戦しました。おもちゃでも使ってみてはどうかと提案します。



「おもちゃならお義母さんでも遊べると思うわ」

「そうねえ。よく遊ぶおもちゃならいけるんじゃないかしら」←キッサ

「なら試してみたいわ! で、どこにあるの?」

「メンテくんは基本的におもちゃを投げて遊んでいるわよ。柔らかいのいいんじゃないかしら」チラッ

「それなら兄が取って来るので大丈夫でしょう」←カフェ

「え?」



 急にキッサさんとカフェさんに話を振られたレンタカーさんが、おもちゃを取りに行きました。場所が分からないだろうとタクシーさんと父も一緒にです。その間はみんなで手遊びをします。


 パンパンと音が聞こえるように手を叩きます。僕が音のする方を振り向くと、今度は違う場所で聞こえます。なんとなく大きな音は苦手なのですがね。



「えぐぅー(疲れた)」

「もう反応しなくなったわ。飽きちゃったのかな? おばあちゃん歌でも歌ってみようかな」

「「「それはダメ!」」」

「え?」

「んぐぅ?」



 よくわかりませんが歌はダメみたいです。そういえばあまり聞いたことありませんね。


 しばらくすると、男性陣が柔らかそうなボールを持ってきました。あれはスライムボールですね。日本にはよくあるゴム製のボールってあるでしょ? あれのスライム素材verですね。ゴムの部分がスライムで出来ていて、穴が開いてもすぐ修復するんだとか。


 メイクばあばはお座りしている僕の前にボールを置きました。それを軽く押して僕の方に近づけます。



「えぐぅー!」バシッ

「はいメンテちゃーん」

「えぐぅー!」バシッ



 メイクばあばとボール遊びです。すぐに笑顔になりましたね。僕の可愛さが伝わったようです。



「えぐぅー!」バシッ

「あらら、そっちに飛んでいったわ」



 ボールがカフェさんのところに行ってしまいました。僕はハイハイでボールを追いかけます。



「メンテ様、ボールはこちらですよ」コロコロ

「あーぐぅー!」ダダダダダッ!



 カフェさんはメイクばあばに向かってボールを転がしました。でも一直線にカフェさんに突撃です。



「メンテ様? あっちですよ」

「えっぐぅー!」



 僕はカフェさんの膝の上に座りました。そして、胸を叩いて遊びます。



「これはボールではありませんよ? メンテ様」

「きゃきゃきゃ!」

「……」←メイク



 おや? メイクばあばが目頭を押さえていますね。どうしたのでしょう。



「お義母さん、やっぱり体調が……」

「休んだほうがいいわね。カフェ、ちょっと部屋を準備して来なさい」

「……もう治ったわ。心配しなくてもいいのよ。ちょっと頭が痛くなっただけだから」



 やはり疲れが出ているようです。長旅の疲れでしょうか。


 僕はメイクばあばの近くまでハイハイします。そのまま膝の上に座りました。僕が来たから安心してね!



「もうボール遊びは終わったのね。メンテちゃん軽くて可愛いわね」

「えぐぅー!」



 メイクばあばに元気が戻りました。もっと遊ぼうね!



 ◆



「おっぱい大好きなのはわかったわ。まさか母親以外でも積極的に行くとは思わなかったけど……」

「ごめんなさいね。メンテちゃんはまだ乳離れが出来ないのよ」

「まだ9か月だから甘えちゃう年齢なのね。まだまだ可愛い赤ちゃんだもの。それぐらい仕方ないわね!」



 メイクばあばに僕のおっぱいへのこだわりが伝わったようです。現在僕はメイクばあばに抱っこされていますが、お疲れのようなので大人しくしています。僕は気が利く赤ちゃんですから。



「それに抱っこも誰でもいいのね。小さくて軽いから可愛いわね~」

「ぐぅ~」



 あえて頭をばあばにつけます。そのままこすって甘えているアピールです。チラリとメイクばあばを見ると幸せそうな顔をしていました。作戦成功ですね!



「おもちゃ以外で遊ぶとしたら何かあるかしら? あたいでも出来る簡単なことがあればいいのだけど」

「抱っことおっぱい以外だとメンテちゃんは魔法が一番好きよね」

「メンテくんの前で魔法使うとすごく反応するのよ。確かに屋敷中の人が魔法を見せているわ。カッコつけて壁に穴があくことが多発したから大変だったわね」←キッサ

「あたいの魔法は地味だから出来そうにないねえ……」



 どうやらメイクばあばは魔法が得意ではないようです。そういえばあたいのスキルが物作りが得意な”器用”だって言ってましたね。おそらく派手ではなく、地味にすごいタイプの魔法が使えるのでしょう。



「最近のメンテ様はダンスでよく笑いますよ。メイドのみなさんが踊っていますね」

「フフッ。あれのことね」

「「ダンス?」」



 カフェさんのダンス発言にみんなが反応しました。母は知っているようでしたが、キッサさんは知らないようです。簡単な踊りらしいので、あたいでも出来そうだわとメイクばあばのやる気が出たようです。



「カフェ、ちょっとメイクに見せてあげて。それと私も気になるわ」←キッサ

「わかりました」

「あらやってくれるの。カフェちゃんありがとう! でも出来るかしら……」

「フフッ、お義母さんに教えるなら一番簡単なのがいいと思うわよ」



 カフェさんは僕とメイクばあばの前にやってきました。ではいきますねと踊り始めましたよ。



「このように腰をフラフラ動かします。揺らす方向はどこでもいいです」

「きゃきゃきゃ!」

「そのままお尻を近づけると」

「きゃきゃきゃきゃきゃ! ごほ、ごほん。んぐうーきゃきゃきゃきゃ!」

「このようにむせるぐらい喜びます」

「「……」」



 あれれ? 今度はメイクばあばだけではなく、キッサさんも疲れたような顔をしています。



「えっと、これは難しいでしょうか?」

「……いえ、あいたいでも問題ないと思うわ」「……私は腰がね。まあ違う意味で問題だと思うわ」

「フフッ、最近のメンテちゃんのブームになってるわね。誰がやっても笑っちゃうのよ」

「メイドの中でも人気の遊びになってますね」



 キッサさんがメイクばあばの肩に手を乗せました。メイクが疲れる理由がなんとなく分かったわと小さな声でつぶやいてます。さすがみんなの相談役ですね!



「はあ、さっきから変だなと思っていたのよ。誰がこんな可愛いメンテちゃんにおかしなことを教えたのかしらね……」

「その気持ちよくわかるわ……」



 キッサさんとメイクばあばは共感していました。二人ともどうしたのでしょう? 体力を使うから年齢的に厳しいと思ったのかもしれませんね。年が近いから話があうのでしょう。


 それとも言葉通り誰が僕に遊び方を教えたのか知りたいのかな? 別に僕は変なことしてないと思うんだけどね。みんなで遊んでたら自然とこうなっただけだし。



 よし、ちょっとイタズラしてみましょう!



「えっぐー!」



 僕は満面の笑みを浮かべて人差し指を差しました。この人に教えて貰ったのという感じで。女性陣は全員でその指の先を見ます。



「はっはっは」「ほほっ」「なはははは」



 そこには談笑している男性陣がいました。イブシじいじは、アニーキ―とアーネと遊んでいるのでそこにはいませんよ。




「ダ、ダダダダ、ダンディイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」


「タクシィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」



 それからは怒涛のごとき説教が始まりました。僕に変なことばっかり教え込んでいるんでしょと。父は知らないとかまだ赤ちゃんだから教育してないと否定しますが無駄です。タクシーさんが父のフォローすると、今度はキッサさんが怒り狂いました。ついでとばかりにレンタカーさんも怒られます。理不尽です。カフェさんもおばあちゃん達の味方をしているようですよ。強い方につくのは常識です。


 イブシじいじ達は部屋からこっとり抜け出しましたね。ナイス判断です。


 うわあ、思ったよりすごいことになりましたね。ここまで怒るとは思いませんでした。


 男性陣がかわいそうになってきたので終わらせましょう。僕は落ちていたゴミを人差し指に付けました。それを母に見せます。



「どうしたのメンテちゃん?」

「あぐぅ(これ見て)」

「あら。指先にゴミが付いているわね。もしかしてこれを伝えたかったの?」

「えっぐ(そうだよ)」



 母が僕の指を綺麗に拭きとってくれました。9か月の赤ちゃんが言葉わかるわけないよ、僕の指に何かが付いて気になっていたんだよアピール成功です。男性陣に指を差したのはたまたまだよって演技ですよ。



 これで一件落着ですね!




 その後、父とタクシーの誤解は解けた。だが本当は教えたのでは? という疑惑が屋敷中に拡散されてずっと噂が残るのであった。



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