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55話 「いぶし銀のスキル講座」

前回までのお話

この世界にはスキルがあるらしい。

 食後は寝てしまいました。僕が起きるとベビーカーで寝ていましたね。



「ふぁ~」

「あ、メンテ起きた」

「お目覚めじゃな」



 兄貴とイブシじいじがこちらを覗きこみました。



「メンテは魔法に興味があるからね。寝てる間にじいじにだけ見せたら怒っちゃうよ」

「ふむ。アニーキ―は優しい子だ」

「そ、そう~? えへ、じいじに褒められちゃった」



 兄貴は褒められたのが嬉しくて喜びました。それ以上に兄貴が、僕の気持ちを理解してくれたので嬉しくなっちゃいましたね。


 大好きな兄貴に甘えちゃいましょう!



「んぐぅ(抱っこ)」←両手を兄貴に向ける

「え? 俺に抱っこしてほしいの?」

「えぐぅ!(そうだよ!)」

「もう、メンテはしょうがないなあ」

「きゃきゃきゃ!」



 僕は軽いので兄貴でも楽々と抱っこ出来ちゃうのです。



「じいじ、メンテ起きたし外行こうよ」

「うむ。では行くか」

「やったー!」「えぐー!」



 兄貴は外に行く途中で腕が疲れちゃったので、父とタクシーさんがベビーカーを持って来てくれました。僕、兄貴、イブシじいじ、父、タクシーの男5人が外で魔法を見ることになったのです。



 イブシじいじの魔法が楽しみですねえ!



 ◆



 5人で校庭にやってきました。兄貴はここで魔法の練習をしている場所です。詳しくは39話を見てください。庭なのに広すぎて校庭にしか見えませんから。


 イブシじいじは校庭の真ん中に立ちました。兄貴は10メートル程離れた位置にいて、僕を含めた残り3人は、二人の魔法がよく見える位置に移動します。念のためベビーカーの防犯システムは作動しています。



「ここにいるから魔法を使ってみなさい」

「え? じいじに当たっちゃうよ」

「なあに大丈夫じゃ」

「あぐぅ?(じいじってヤバい人?)」



 僕にはよく分かりませんが、イブシじいじに直接魔法を直接当てるらしいです。



「んー、分かった。まずは炎魔法からいくよ、怪我しないでねじいじ!」

「全力で来なさい」

「ふぅ~。はぁ~。それえええええ」



 兄貴は深呼吸をしました。そして、掛け声と共に右手から直径20センチぐらいの炎が連続で3つ飛び出しました。イブシじいじは、アニーキーの魔法を見ているだけで全く動こうとしません。



「ほほっ、無詠唱とはやりますな」

「はっはっは、アニーキ―はいつの間に出来るようになったんだ」

「んぐうううう!(じいじー、危ない!)」



 ドドーン!!



 イブシじいじに魔法が直撃しました。……あれ? 無傷です。じいじの纏う銀色のオーラが勝手に動いて防ぎましたね。なにあれ、めっちゃカッコいいんだけど?!



「ほお、前より上手になったようじゃ」

「おおお、じいじすげえー!」

「ほほっ。さすがイブシ様ですな」

「父さんのあれはいつ見てもすごいな」



 アーネがいないせいか誰も質問をしてくれませんね。僕はまだしゃべれないの。誰かあれって何か教えて!



「えっぐうう!」バンバンッ!!


「はっはっは。メンテはあれが気になるのか」

「んぐうううううううう!」バンバンバン!!

「メンテ様に興味を持たせるとは。さすがイブシ様ですぞ」

「俺もじいじのスキルもっと知りたいなあ。どうなってるの?」



 いいよ兄貴! さすが僕の兄です。もっと聞いて!



「わしのスキルは知っての通り”(シルバー)”じゃ」

「あっぐううううううううううううううう!」バンバンバンバンッ!

「……メンテは大丈夫かのう?」

「じいじ、あれはいつものメンテだよ」

「そ、そうか……」



 僕が魔法に興奮するはと聞いていたけど、想像以上に暴れたのでびっくりしたみたいですね。話を聞きたいのでもっと暴れましょう! バンバンバンッ!!



「わかった。メンテにも詳しく教えよう」

「んぐぅ~」←目をキラキラさせてじいじを見つめるメンテ

「なんじゃ、急に態度が変わりすぎてないか?!」

「じいじ、いつもこうだよ」

「ほほっ、メンテ様はこういう分かりやすい赤ちゃんですぞ」

「はっはっは!」

「うむむ……? そうなのか」



 僕は、ただただ魔法に興味津々な赤ちゃんなのです。



「ごほん。では、まずスキルとは何か? それはその人が持っている才能。生まれながら必ず1つはスキルを覚えているものじゃ。そのスキルに影響されて性格が決まる、魔法が得意になる、魔法とは違う能力を使えるなどいろいろな力を持つことになる」

「んぐぅ」

「スキルは親から受け継ぐことがほとんどじゃ。同じスキル名で同じ効果のスキルであることが多い。だが、同じ名前のスキルでも効果が違うこともあるぞ。例えば親の”身体強化”を受け継いだ場合、同じ名前のスキルでも親は手の強化が、子どもは足の強化が得意みたいに少し違うものじゃよ」

「んぐぅ」

「両親のスキルを複数持っていることもある。その場合も同じ効果か違う効果かはランダムじゃぞ。もちろん受け継ぐスキルの数もランダムじゃ」

「んぐぅ」

「……さっきからわしがしゃべるたびにメンテが頷いておらんか?」

「あぐぅ~?」

「何言ってるのさじいじ。メンテはまだ言葉が分からないただの赤ちゃんだよ?」

「そ、そうか。わしの気のせいか」



 イブシじいじは感が鋭いですね。ベビーカーの中におしゃぶりがあるのでこれで誤魔化しましょう。カプカプ~、これさっきから探してたんだよね~(嘘)。


 ちらっと僕を見たイブシじいじはおしゃぶりを探していたと思ってくれましたよ。言葉分かるわけないでしょアピール大成功です。



「……うむ、続けるぞ。まれに両親とは別のスキルが目覚める場合がある。その中にユニークスキルと呼ばれるものもあるのじゃ。わしの”銀”がまさにそれになる」

「俺も練習したらじいじのユニークスキルは使える?」

「それは無理じゃ。ユニークはその人にしか使えないオンリーワンのスキル。一般的なスキルと似たような効果であっても中身や本質は別物らしい。どれだけ練習しようと使えないものぞ。理由はわからんが珍しいスキルなのじゃよ」

「へえ、そうなんだ」



 つまりイブシじいじってレアスキル持ちってことですね。すごいね!



「もしユニークを持っている人に子どもが出来た場合は、ユニーク持ちの前の世代の人間、つまり親のスキルが受け継がれると言われておる。つまり子供に遺伝することはないということじゃ。その人だけが持つ特別な個性。それこそユニークスキルなのじゃ。現に息子のダンディはわしの父のスキルを受け継いでおるじゃろ。そして、孫であるアニーキ―は父であるダンディのスキルをとな。銀を使えない理由はこういうことじゃよ」

「じゃあ、じいじ以外は誰も真似出来ないんだね?」

「そうじゃぞ。それに新たにスキルを覚えたり増やすのは難しいと言われておる。中には進化したとか、派生があったとか噂されるが本当かは分からん。スキルには謎がつきものよ。才能は年齢を重ねるごとに変わるものじゃからのう。ちょっと努力したところでそう易々と結果は出ない。でも本気で取り組めば何か変わるかもしれないがの。あとは少数ではあるがユニークと両親のスキルを持っている人もいるらしい。わしはユニークスキルしかないがの」

「へえ。それなら俺は魔法をもっと頑張ろうかな。今覚えているスキルを伸ばしたほうが効率的だよね!」

「アニーキ―はよく勉強しているのう。わしもそれが一番良いと思うぞ」

「えぐうううううううう!」



 これはいい情報ですね。知りたかったことを詳しく教えてくれます。兄貴の答えもさすがですよ。僕は兄貴もイブシじいじ大好きだよおおおおお!



「あとわしは魔法を全く使えん」

「え?! 嘘でしょ」「あぐぅ?!」

「はっはっは、私も最初は驚いたよ」「ほほっ、私もですよ」

「この銀のオーラは自由に動かせる。このオーラを纏えば身体強化にもなるし、たとえ無意識でも勝手に防御する強力なユニークスキルじゃ。アニーキ―の魔法を防いだのはこの力じゃの。そのせいかわしは魔法をいっさい使えないが、このオーラは魔力のかたまりみたいなものだと判明してな。オーラで魔道具に触れれば普通に使えるじゃ。だから魔法がなくてもあまり苦労せんのう」



 ユニークスキルにもデメリットはあるようです。でもカッコいいね! イブシじいじがこの世界の主人公と言われたら納得しちゃうかも。



「これぐらいでいいかの。アニーキ―、もっと魔法を見てあげよう」

「じいじありがとう。じゃあ、どんどんいくね!」

「ふむ、手加減せず来なさい」


超☆電撃(スーパーサンダー)!」

「まぶしい」


究極(アルティメット)寒さ(コールド)!」

「ぬるい」


正義(ジャスティス)暴風(ストーム)!」

「涼しい」


「めっちゃ早いパンチ!」

「遅い」



 イブシじいじは兄貴のダサいけど強い魔法を簡単にさばいています。本当にスキルだけで出来るの? と思っちゃいますね。父とタクシーさんは、さすがいぶし銀だって言ってました。イブシじいじの二つ名らしいよ。


 それとオーラは鉱石の性質は全くなくて、ただ銀色をしているだけとかね。その理由は知らん、むしろわしが聞きたいわいとイブシじいじが言ってました。



「えぐううううううううううううううううううううううう!」バンバンッ!



 今日はいろいろな魔法やスキルを見れて楽しかったです!


 僕のスキルは何かな? 魔法使うときに便利だといいなあ。早く知りたいですねえ。



誤字報告ありがとうございます。

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