53話 「僕の発育状況」
前回までのお話
祖父母に会えました。
挨拶が終わってナンス家のお家に入りました。
祖父母とレンタカーの3人は屋敷と言ってましたが、ここはただのお家なのです。3人とも間違っていますよ?
いつもなら客間に行くのに今回は違う部屋に入ります。ここは和室かな? 床に畳みたいなものが敷き詰められています。正式名が分らないのでこれを畳としますね。だいたい正方形の畳なのですが、日本のものとはサイズが違いますね。そのため何畳と聞かれても分かりません。
ナンス家にしては珍しく広くないお部屋です。正直これぐらいが丁度良いと思います。嬉しいことにこの世界にも座布団がありました。でも座椅子まではなかったです。存在するのか否かは今のところ分かりませんね。そのうち調べます。
とりあえずここは"畳の部屋"と呼びましょう。
机を挟んでナンス家と祖父母が座ります。メイクばあばの膝にはアーネ、イブシじいじの膝にはアニーキ―が座っていますね。アーネはともかくあの兄貴までサービスしてるのが面白いです。母がこっそり座るよう指示をしてたのは内緒なのです。そして、僕は母の胸でのんびりうずくまってます。ここが1番落ち着きますから。
始まるのは世間話です。つまらないので聞き流しますよ。
「ふぁ~」
どうでもいい話をされても困りますね。僕でも興味を持てそうなことを話してほしいものです。
「メンテちゃん眠たくなってきたわね」
「そういえばメンテちゃん何歳だったっけ?」
メイクばあばの質問により、ここから僕に関するトークが始まりました。
「メンテちゃんは9か月になりましたよ」
「9か月なの? あたいは半年ぐらいかなと思ってたわ」
「ふむ。そんなに時間が経っていたのか」
「メンテちゃん成長が少し遅れているのよ」
「そこが可愛いところだよ。はっはっは」
僕って今9か月なんだって! 全然数えてなかったので知りませんでしたよ。
それと祖父母が見間違えるほど小さい体なようです。メイドさんに小さくて可愛いねとよく言われるのはこのせいかな? 今謎が判明しましたよ。
「メンテちゃんはあまり食べないのかな?」
「最近離乳食を食べ始めましたよ。でもミルクだけは全く飲まないの」
「今まで一度も?!」
「そうなの。初めてあげたときに吐いちゃって、それからずっと嫌がるの。今では哺乳瓶を見るだけで機嫌が悪くなるのよ」
「あらー。毎日大変じゃないの」
それは仕方がないと思います。僕赤ちゃんだし。
「1日にだいたい5回食事があるけど最後は全部おっぱいね。離乳食を食べても必ずおっぱいよ。せめてミルクを飲んでくれたら楽なのにって思ってるわ」
「本当に大変ね」
「メンテはいつもおっぱいだよー」←アーネ
「眠たくなったり機嫌が悪くなると必ず母さんだね」←アニーキー
僕のおっぱい好きはキッズにまで浸透しているのですよ。すごいでしょ?
「はっはっは。おっぱい以外は順調に成長しているよ。最近はハイハイもうまいし、歯が生えたりお座り出来たりどんどん出来ることが増えてるぞ。そのうち歩き出すだろうさ。でもおっぱいだけは、屋敷のみんなで協力してもダメでなあ」←47話
「あれ楽しかったねー」
「余計にひどくなったって母さん言ってたよ」
「はっはっは。もう無理だな」
「ママもおっぱい以外は何も心配してないわよ」
ほほう、次は歩くことが赤ちゃんらしいのですね。そろそろ立てるかもと思っていたのは正解でしたね。これからは少しずつ練習しましょう!
「まだまだ赤ちゃんってことね。順調なら問題なさそうね」
「そうじゃな。それに男の子は胸が好きなのはしょうがない」
「あんたアホかい。年齢を考えなさい」
「わしらからしたら本当にうらや『バシンッ!』……ぞ」
メイクばあばがイブシじいじの肩を叩きました。セクハラ発言は言わせません。
「ごほっごほっ……んぐぅ」
「メンテちゃんよしよし。とんとん」
「……ちゃぱちゅぱ」←エアちゅぱちゅぱ
「あとでね。もう少ししたらご飯できるからね」
「んぐぅ~」
イブシじいじの言葉は的確だったのでむせちゃいました。ついでとばかりに吸いたいアピールをしましたが、母に断られてしまいました。本当は暴れたいところですが、祖父母がいるので赤ちゃんが甘えているふりで誤魔化します。
「今回来た目的はメンテちゃんがのことだからね。1歳になったら王都に来るんでしょ? それを聞きに来たんだわさ」
「わしも孫の様子も気になってな」
「やっぱりその話ですよね」
「はっはっは。そのことだと思ってたよ」
「そりゃ大事な孫のスキルが気になるじゃないの」