49話 「子供部屋」
前回までのお話
タクシーはナンス家の守護者。
ハイハイが上達して動ける範囲が増えました。これで部屋の中ならどこでもいけるのです!
アーネが絵本を読んでいたのを見かけたので、ハイハイで近づき座りながら一緒に見ていたら驚かれましたね。いつお座りを出来るようになったの?! と騒がれてしまいました。どうやら赤ちゃんにはお座りすることも難しいようですね。あははは、僕当たり前のように座ってましたよ。
これも運動の成果でしょう。特に練習もなくお座り出来ちゃいました。いつもみなさんの膝の上で座っていましたからね。あの体勢だと頭が胸に当たるので喜んじゃいますよね!
ということで、今日は僕の部屋を自由にハイハイしてみましょう!
「えっぐ、えっぐ(おいしょ、おいしょ)」
ゆっくりとですが確実に進んでいきます。最近ハイハイをするようになったため、ベビーベットを利用する時間が減りました。使うとしても寝るときぐらいですかね。そんなわけでほとんど床で行動するようになったのですよ。すごいでしょ?
この部屋の床は、とても柔らかいので膝が痛くなりません。結構前からこの床の上でコロコロと寝返りの練習をしています。だからもし僕がベビーベットから落ちても多少は安全だと分かるんだ。そんな柔らかさなのです。
まず僕がハイハイで向かったのは、衣類の収納スペースです。壁に扉があり、開けると僕の服がありますね。いつも母が今日はこれにしようと選んでいますよ。今は扉が閉まっています。手が届かないから開けようがないですね。
「んぐ!(次いこ!)」
僕は方向を変え、ゆっくりとハイハイで進みます。そこには本棚があります。本棚は絵本がいっぱいありますよ。子どもが取りやすいように下の方に並べてありますね。本棚の上はフリースペースかな? いろいろと物が置いてあります。その近くにはおもちゃ置場もありますね。
「あーぐぅ(これこれ)」
絵本を一冊持ってみます。この本のタイトルは『ゲイザーの冒険』といいます。アーネはこれを読もうとしないので気になっていました。中を見ようとするのですが、僕の小さな指では難しいのです。困りましたね。
「あ~むぅ。かぷかぷ」
「メンテ様、本を食べてはダメですよ~」
カフェさんに見つかってしまいました。急いでタオルを持って来て、絵本がきれいに拭かれました。僕って赤ちゃんだからよだれ出ちゃうんですよ。
「う~だぁ~(読~んで~)」
「おっぱいですか?」
「えっぐ!(そうそう!)」
「抱っこしますね。よいしょ」
僕の言葉は伝わりませんでしたが、これはこれでいいね!
そのままカフェさんは、アーネのところに僕を連れて行きました。ここは部屋の真ん中です。広々としたスペースになっています。おもちゃで遊んだり、走ったり、本を読んだり、ごろーんと寝たりと何をしてもいい場所なのです。
部屋の壁側には机やイスが置いてあります。お絵かきをするときに使いますね。アニーキ―がここで本を読んでいることもあります。子ども用と大人用の椅子と机があるので年齢を問わない場所ですね。近くにソファーもあるので座って休憩もできます。あ、アーネが気付いてこっちに来たよ。
「メンテあそぼー!」
「んぐ~(いいよ~)」
カフェさんに床に下ろしてもらい、僕はハイハイでアーネを追いかけます。でも僕が近づくとすぐ別の場所に移動するのです。ふむ、これは追いかけっこですね。僕の上達したハイハイっぷりを披露しましょう!
「えへへ、メンテのハイハイ早くなってるねー」
「教えた甲斐があったわ~」
「メンテ様もたくましくなりました」
「んぐぅ!」
どうやらみなさん僕の成長が分ったようです。褒められると笑顔になっちゃうね。
おや? アーネと一緒に遊んでいたのはハイハさんでしたか。お忘れの方がいるかもしれませんが、ハイハ・ジョイウズさんですよ。僕にハイハイを教えてくれた優しいメイドさんなのです。ハイハイに夢中で気付くのが遅れました。
「メンテこっちだよー」
「んだぁ!」
僕とアーネの追いかけっこが始まります。しばらくすると、アーネはハイハさんの後ろに隠れました。
「えっぐううううう!(チャンスだ!)」ダダダダダダダダッ
僕は全速力でハイハさんに突撃します。アーネは笑いながら走り去りました。でもそんなの関係ありませんよ!
「だぁあああああ(ここだあああ)!!」
ダダダダ、ゴロ~ン。
ハイハさんの右足と左足の隙間に無理やり入ります。そして、寝返りをして真上を見上げます。
「メンテくん~、アーネちゃんはあっちだよ~?」
「んぐぅ~(ゲヘヘ~)」
ゲヘヘへへへへへ、あのときのリベンジだ!
今日も見せパンでしょうか? ん~、ちょっと角度が悪いですね。挟まっているためか動きづらいです。よいしょ、あと少しで確認できますね。もうちょっと体をひねりましょう。う~んしょっと。
「はぁ、はぁ」←ニヤニヤ笑うメンテ
「あらら~、疲れたのかな~?」
「これは抱っこのサインでしょう。息切れしています」
「メンテくん、こっちおいで~」
「うんぐぅうううううう(あと少しだったのに)」
ハイハイさんに抱っこされてあまり確認できませんでした。残念です。でもこれもチャンスですね!
「ハイハイ頑張ったね~。よしよし~」
「……ちゅぱちゅぱ」
「メンテくんが服の上からおっぱいを舐め始めましたよ~」
「落ち着くまで抱っこをお願いしますね」
「分かりました~」
ハイハイを使った楽しみ? を覚えたメンテであった。