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47話 「レディーはあれを卒業させたい」

前回までのお話

歯が少しだけ生えました。

 今日は休日。大人にとっては労働を休む日である。だが、そんなの関係なくいつも通りメンテはおっぱいタイムを楽しんでいた。まさに赤ちゃん。キングオブ赤ちゃんである。


 どうすればおっぱいを卒業するかと悩んだレディー。メンテにおっぱいがなくても安心できると覚えさせる方法は、今のところ存在していない。それとは別に、おっぱいタイムがあるせいかメンテの遊ぶ時間が減って残念だと困っている人もいた。可愛い赤ちゃんに癒されたい人達である。


 それならメンテと一緒に遊びたい人と協力すれば引きはがせるのでは? とレディーは考え、ある計画を考案した。


 そして本日、メンテの気を引けると豪語するつわもの達を集めたのである。優勝者にはメンテと今日1日を自由に遊べ、さらに初めてのミルクをあげる権利が与えられることが決定した。ミルクを飲むかは分からないので、それはおまけである。



「みんな今日はよろしくね~」

「「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」」

「んぐぅ?」



 レディー主催の『メンテのおっぱいを卒業させる大会』が始まる!!





1回戦 メンテvsアーネ


「メンテあそぼー」

「……」

「ねーメンテってば。聞いてー」

「……ちゅぱちゅぱ」

「ママー!!」

「アーネごめんね、今メンテちゃんは忙しいのよ……」

「まだ終わらないの?」

「ママも早く終わってほしいのだけどね……」



 アーネは、その後も頑張った。だが残念なことにメンテは見向きもしなかった。この勝負メンテの勝ちである。





2回戦 メンテvsアニーキ―


「メンテは魔法を見ればやめると思うんだ」

「そうね。アニーキ―頑張って」

「母さん任せてよ! ほらメンテ見て」



 魔力ボールを取り出したアニーキ―。魔力を注ぎ赤と黄色の混ざった色となる。



「メンテこの色見たことある?」

「……ちらっ。……ちゅぱちゅぱ」

「あれれ? ……じ、じゃあこれを割るよ!」

「……んぐぅ(見せて)」

「(食いついたぞ) よし、せーの!」



 パリーン。音がしただけで周りに被害はなかった。



「すごいでしょ? 魔力ボールはどれだけ力を込めても安全なんだよ! 魔法は色に変換されて、魔力をいっぱい注げば濃くなるだ。爆発とかしないからすごいよね!!」

「……ちゅぱちゅぱ」

「なんで?!」

「メンテちゃんにはお気に召さなかったのかしら……」



 一瞬食いついたがダメだった。これもメンテの勝ちである。





3回戦 メンテvsカフェ


「私にお任せください」

「期待してるわね」

「では私が抱っこしましょう。メンテ様こちらへ」

「……ちゅぱちゅぱ」

「メンテ様?」

「ちゅぱちゅぱ……んぐぅ(終わったらね)」

「……メンテ様、私では嫌ですか?」

「……」

「ごめんなさいねカフェちゃん。ここから動きたくないみたいよ」



 カフェさんは泣きそうな顔で立ち去った。またしてもメンテの勝ちである。





4回戦 メンテvsキッサ


「娘は諦めちゃったけど私ならいけるわ!」

「今日の本命の登場ね」

「ばあちゃんの得意な魔法を見せてあげましょう。えっと杖はどこかしら」

「……ちらっ」



 杖を体のどこにしまったのか忘れたキッサ。ふともものホルダーを触ると出てきたが、杖を床に落としてしまった。メンテは何をしているのか気になっているようだ。



「拾わなきゃね。よっこいしょ……」



 グギィ!!



「はうわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

「キッサさーーーーーん?!」

「……ちゅぱちゅぱ」



 キッサは腰が悪いのであった。活躍を見せる前に皆に運ばれていったという。


 メンテの不戦勝であった。





5回戦 メンテvsメイド軍団


「キッサさんの仇は私たちがとるわ」「「「「「おー!」」」」」

「まだキッサさん生きているわよ。でもみんな頑張ってね!」

「遊ぶわよ」「こっちおいでー」「も~かわいいなあ」「こんなことできますよ!」

「……んぐぅ」



 メイド達は気を引こうとメンテの体を撫でたりツンツンし始めた。だが、おっぱいタイムは全然終わらない。それどころか気持ちよさそうにしていた。そんなときだった。



「メンテくん、お姉さんといけない遊びでもしよっか?」

「……ちらっ、……だぁ!(いいね!)」

「「「「「……え?」」」」」



 冗談で言った一言にまさかの反応を見せるメンテ。レディーも驚きである。



「ちゅぱあ~。んぐ(あ、ヤバい。反応間違えちゃった)」

「……メンテちゃん?」

「……ちゅぱちゅぱ(今の忘れて)」

「……えっと、お姉さんのお胸も使っちゃう?」

「ちゃぱちゅぱ(え?!)……ちらっ。ちゅぱちゅぱ(うう、我慢だ)」



 メンテは何を言おうと必死に耐えた。だがチラ見はバレバレであった。そのせいかいつもより吸う力が強くなった。それどころか後のおっぱいタイムの回数が増加した原因になったという。


 今回はメンテの辛勝であった。





最終戦 メンテvsダンディ


「はっはっは。最後はパパにお任せだ!」

「……」バシッ

「ん? どうしたメンテ?」

「……」バシッ

「待て、何もしてないぞ?!」

「……」バシッ

「ちょ、ママ助けてくれー!」

「……」バシバシッ!

「パパは何やってるのかしら……」



 ダンディは話にすらならなかった。メンテの圧勝である。


 こうしてメンテのおっぱいを卒業する大会は優勝者なし。失敗に終わったのであった。



 ◆



 残念な空気が流れる中、部屋にタクシーが入ってきた。


「妻がまた倒れたそうですがもう心配ありませんぞ。……おや? これはどういう状況でしょうか?」

「おお、タクシーいいところに来た。実はメンテがな……」



「えっぐう!!!!」



「ほほっ、今日もメンテ様は元気ですなあ」

「だあぶぅ!」←にっこにこなメンテ

「お散歩でもいきましょうか」

「んぐううううううう!」←目が輝くメンテ

「今日は私が抱っこしますぞ」

「うだぁ!」←全身で喜ぶメンテ



 めちゃくちゃ元気で笑顔な赤ちゃんがいた。おっぱいタイムが終わった後のメンテは、最高に機嫌が良く、誰に対しても笑顔になるのだ!



「「「「「「「「……」」」」」」」」



「ん? 皆さんどうかなさいましたか?」

「うぐぅ!!!!」

「待ちきれないようですな。ほほっ、では行きましょうか」

「きゃきゃきゃ!」



「「「「「「「「……」」」」」」」」



 たまたま参加していなかったタクシーの一人勝ちに、一同はなんとも言えない気持ちになったという。こうして貴重な休日は過ぎて行ったのであった。



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