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44話 「アーネの人形遊び」

前回までのお話

異世界の離乳食を食べた。ミルク? 何それ。

「……えぐぅ?」



 目が覚めると僕の周りは人形だらけでした。お昼寝をしていたらいつの間にかに置かれていますね。何が起きているのか分からないので誰かを呼びます。



「……うえええええん!」

「メンテ様、お待ちください」タタタタッ!



 誰も見えないので嘘泣きをしました。気付いたカフェさんが駆け寄り、僕を抱っこしてあやしてくれました。ついでなので胸をなめますよ! ぺろぺろ~。あんどちゅぱちゅぱ。


 いつものことなのでカフェさんの表情は変わりませんでしたね。しばらくしたら落ち着いてきたので状況を確認します。アーネと遊んでいるのはメイドのコケシさんですね。


 彼女の名前はコケシ・ドール。見た目も雰囲気も日本のこけしみたいです。着ているメイド服も和を感じさせるように改造していますね。僕はあまり服に詳しくないのでそれぐらいしか分かりませんよ。それと彼女の魔法はとても面白いものです。



「こらメンテ。早く寝なさいー」←アーネ

「『僕は眠くないの』と言ってるよ」←コケシ

「ママ寝ないと困るのよー」←アーネ

「『もっと寝返りしたいの』だって」←コケシ

「もうパパー、あなたがやりなさいー」←アーネ

「はっはっはー!」←コケシ



 ふむふむ、アーネとコケシさんが人形で遊んでいます。二人とも何かになりきっていますね。


 アーネ→レディー

 コケシ→ダンディ

 寝ている猫のぬいぐるみ→メンテ


 役はこんな感じかな? なぜか僕が怒られていますね。なにより一番注目すべきところは、人形が勝手に動いていることでしょう。そう、これがコケシさんの得意とする魔法なのです!


 魔法で声は出ないらしく、コケシさんはダンディとメンテの一人二役でアーネの相手をしています。もし僕が人形と同じ状況だったら”おっぱい”としか言わないでしょう。そんな内容の人形遊びです。


 それと僕って寝返り好きと思われてるのかな? あれはただの運動なのです。やりたいというより頑張ってるだけですから。



「ちょっとカフェちゃん。メンテちゃんのお世話するっていったでしょー」←アーネ

「『カフェちゃん遊ぼう』とメンテくんは言ってますよ」←コケシ

「えっと、今はメンテ様を抱っこしないと泣いちゃいそうで忙しいです」←カフェ



 役になりきっているアーネとコケシさんの二人は、カフェさんに話しかけてきます。周囲をよく見ると、近くに犬のぬいぐるみがひとつ落ちていますね。もしかしてカフェさんも一緒に遊んでいたのかな? あまりこの遊びに慣れていないのか、僕を抱っこするからと理由を作って混ざろうとしません。もしかして僕が泣いたらすぐ来た理由はこれでしょうか?


 それでもアーネとコケシさんの遊ぼう攻撃に負けたのか、カフェさんは仕方なく遊ぶ二人の傍まで移動しました。カフェさんに抱っこされている僕と一緒に座り込みます。カフェさんの膝に僕がお座りしている形となりました。


 カフェさんが犬のぬいぐるみを取ろうとすると、僕はわざと嘘泣きをします。もっと抱っこしていて下さいと。



「ほら、メンテ様は抱っこしていて欲しいようです。私は近くで見ているのでしばらくお二人で遊んでください」



 カフェさんはほっとした顔をしていましたね。僕の推測は正解かな? あの人形を操作する魔法を見ていたいので、しばらく二人の遊ぶ様子を見ることにしましょう。



「えーわかった。じゃあ見ててね!」

「はっはっはー。メンテが『おむつかえてー』と泣いているぞ」

「メンテちゃんまっててー」



 僕は今までオムツ換えてーなんて言ったことありません。むしろメイド達に中を見せつけて……ぐふん。何も言わなくても換えてくれるのですよ!


 それにしても人形の動きがすごいです。ぬるぬる動くというか中に人が入っているような感じです。前世ではおもちゃが動く映画がありました。なんとかストーリーとかいうタイトルでシリーズ化していましね。それを見ているようで面白いです。僕もそんな面白いストーリー作りたいですねえ。



『お腹すいたー』

「パパミルク持ってきてー」

「はっはっはー」



 コケシさんが笑いながらトテトテ歩き、おもちゃの哺乳瓶を持ってくるよう人形を動かします。



「もー早くしてよー」

「はっはっはー」



 人形がアーネに哺乳瓶を手渡します。



「はいメンテ飲んで。いい子ねー」

『おいしいなあ』

「もういいー?」

『ダメ、もっと頂戴』

「はっはっはー」

「パパうるさいー」

「はっはっはー」



 あれが人形だと知らなかったら、アーネは小人と話しているようにしか見えませんね。ちなみに父の会話はただ笑っているだけです。雑なのが面白いね!


 ん? 僕の服が引っ張られました。ちらりと見て見ると動物のぬいぐるみがいますね。どんどん集まって来るよ。どうやら僕の寝ていたベットに置いてあったぬいぐるみ達ですね。ぴょんぴょんとベッドからこっちに飛んできました。へえ、コケシさんは何体も同時に操れるのね。



「メンテちゃんもカフェちゃんもこっちだよー」

「メンテくんも一緒に遊びましょう~」

「うぐぅ!」←手足バタバタ

「メンテ様は遊びたいのですね。……私も早く慣れましょう」



 こうしてみんなで人形遊びを楽しみました。どちらかというとコケシさんの魔法を楽しんでいたんだけどね!



『』の部分はコケシさんが声を変えてしゃべってます。



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