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39話 「アニーキ―の魔法実演 その1」

前回までのお話

嘘泣きをして遊んだ。

「母さん、新しい魔法使えるようになったから見て!」



 僕が母のおっぱいタイムを楽しんでいると、兄貴が来てそう言いました。ついに兄貴の魔法をお披露目するときが来たようです。


 ナンス家で一番魔法が上手なのは母です。父は魔法よりも魔道具作りが専門のようですから。母のお墨付きを貰えば、父も驚くこと間違いないでしょう。


 僕は知っていますよ、両親を驚かせるために秘密の練習をしていたことを。僕と二人っきりになったときこっそり教えてくれたのでね。誰もこちらを見ていない時は、実際に魔法を使って見せてくれることもあります。まあ母はこっそり覗いていたからお見通しなのですが、それは言わないでおきましょう。


 赤ちゃんになってから分かったのですが、僕が言葉を分からないと思っていろいろ独り言のようにしゃべる人が多いのです。きっと赤ちゃんなら何をしゃべっても問題ないと油断しているのでしょうね。まだあまり動けない僕ですが、愚痴とか噂の情報は勝手に集まるのですよ。兄貴もこのタイプの人でした。


 まあ僕が言葉を完全に理解しているほうがおかしいですよね!



 それはさておき、庭で魔法を見せることになりました。楽しみですね!



 ◆



 庭にやってきました。ここは庭というよりも学校の校庭のようなひらけた場所ですね。公園にあるのようなオブジェクト? があったり、バーベキューを楽しめたりと庭ってサイズじゃない気がするよ。ナンス家の敷地はどうなってんだろう?


 今、この庭もとい校庭には僕と母と兄貴の3人だけがいます。兄貴は一番最初に両親に見てもらいたいのでしょう。まずは母にこっそりと披露するようです。


 僕は兄貴の魔法を何回か見ているので、カウントには入らないのですよ。まあ僕には屋敷の窓から誰かがこっちを見ているのが分かるけど、兄貴は気付いてませんね。兄貴はこっそりやっているつもりだろうけど結構目立ってるんだよね。


 この校庭には、魔法を当てる練習で使われる的があります。岩や木で出来たものがありますね。その他にもいろいろありますが、一番気になるのはあの動物型のやつです。猪のような人形があるけど何でしょうか?



「えぐうう!」バシバシ

「メンテちゃんはここに来るのは初めてね。あれに魔法を当てる練習をするのよ」



 僕が猪の人形に向かって手を振ると母が教えてくれました。



「俺取って来るよー」



 兄貴が走って猪型の人形を持ってきました。やはり兄貴は弟思いですね。指を差すだけだと全然気付かれないので、手を振りながら同時に指差すのが一番効果的なのです。僕は赤ちゃんだから指が小さすぎて可愛いとしか認識されていませんから。



「持ってきたよー」

「フフッ、メンテちゃんに見せてあげて」

「わかった」

「うぐぅ!」



 というわけで使い方を見せてくれるようです。



「これは動く的なんだよ。魔石をここに入れるんだ」



 兄貴が人形の胴体部分をまさぐると何かを入れる場所が現れましたね。そこに魔石を入れていきます。その前に魔石の説明をしてほしいところです。



「これだと5分ぐらい動くよ」



 ぽいっと校庭に人形を投げます。すると勝手に動き出しました。日本にあった動くおもちゃを思い出しましたよ。



「この人形は動物によって動きが違うんだよ。猪の場合は真っ直ぐに動くときが一番速いんだ」



 一直線に進んで止まる、向きを変えて一直線に進んで止まるを繰り返しています。兄貴が人形を捕まえると動きが止まりました。



「地面についているときだけ動くんだよ。ひっくり返したり、少し浮かせれば止まるんだ」

「んぐう?」バシバシ

「痛くないでしょ? 怪我がないように柔らかい素材を使っているんだって」



 人形みたいにふわふわではありませんでした。この素材はゴムのように柔らかかったです。



「フフッ、メンテちゃん興味津々ね。それは中身がスライムなのよ」

「だぁ?!」



 聞いた? 異世界のモンスターだって!!


 今のところ狼しか見たことはありません。まあ見たことは秘密です。それにスライムがいるってことは他にもたくさんいるでしょうね!


 僕が興奮していると、兄貴は猪の人形から魔石を取り出していました。ただの人形に戻ります。



「でも外に置きっぱなしはダメよ。今度からはお片づけもしましょうね」

「母さんごめんなさい。ちょっと片づけてきます!」



 校庭の端っこに小屋みたいなところがありますね。そこに道具を片づけるようですが大きくない? 日本だったら一軒家サイズなんだけど。これだから金持ちは……って僕の家でしたね。


 兄貴は小屋に片づけに行きました。戻ってくると、今度は手に大きなボールを持っていました。僕はあのボール見たことあるよ。



「母さん、安全のためにこの魔力ボールを使います」

「いいわよ。大丈夫だと思うけど、メンテちゃんも念のために守るの使いましょう」

「うぐぅ」

「ええっとこれよね? ここを押すのね。えいっ」



 母は僕が乗っていたベビーカーの防犯システムを起動します。


 これはセーフティモードですね。車のような形になる魔法の結界が出来ます。危ないので爆裂魔法もロックされていますが、解除したら使えるようになっています。父やタクシーさんがある方法で起動すると、この車みたいなボディに破壊魔法の大砲が付くことは秘密なのです。



「これでいいわね。アニーキ―始めていいわよ」

「ボール置いてきくるねー」



 兄貴は走って離れたところにボールを置きました。そして、走って戻ってきます。



 さあ、何の魔法を使うのか楽しみですね。わくわく!



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