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30話 「笑ってはいけないね その1」

前回までのお話

異世界のお祭りに参加した。

 ナンス一家が食堂で朝食を食べ終わり、少し休憩をしているときのことです。



「そういえば最近町が騒がしいのよね。パパは何か知ってるのかしら?」

「ん? 騒がしいとは何のとこかな?」

「えっぐ?」



 母のその一言がきっかけでした。



「近くで魔物が出たそうよ? ギルドで討伐隊が編成されたと聞いたわね」

「ああ、そのことか。いつも町は騒がしからね。どのことか分からなかったよ、はっはっは!」

「俺も聞きました。最近強い魔物が現れたそうです」

「なんの話~?」



 兄貴も知っているようでした。でもアーネは知らないようです。



「えっとね。アーネは魔物は知ってるよね?」

「わかるよー。絵本で読んだことあるもん」

「うん、それそれ。それなら分かると思うけど、その魔物が町の近くに出たんだよ」

「くまおー出たの?」

「残念だけど違うよ~。くまおーじゃないんだ。今回は狼の魔物がこの町を襲おうとしたんだって」

「えー、クマじゃないんだね」

「クマ以外にもたくさんの種類の魔物がいるんだよ」

「そうなんだねー」



 兄貴はアーネに優しく説明をしました。これぞお兄ちゃんって感じですね。



「アニーキ―も詳しく知っていたのね」

「はっはっは、アニーキ―は物知りだな」

「ぐううう!」

「いや、まあそれほどでもないよ」



 両親はアニーキ―を誉めましたね。僕も笑顔で兄貴を見ますよ!


 ここまでは普通の家族の会話でした。問題はここから始まるのです。




「そういえばね、その日にパパとメンテが町に行っていたわよね。パパは何か知らないかしら?」




 ◆




「へえ、そうだったけな?」

「パパは忘れちゃったの?」

「いや、そんことはないぞ。たしかベビーカーの発売日を決めたときだったかな?」

「そうよ、その日よ。パパ達は町にいたでしょ? だから何があったか詳しく教えて欲しいのよ」

「ん~、どうだったかなあ」


 父は表情を変えませんでした。ポーカーフェイスというやつですね。とぼけて誤魔化そうとする気満々です。ブフーッ!



「きゃきゃきゃ!」



 ついつい僕は笑ってしまいました。父は内心ひやひやしていると考えるとついね。



「……あら、メンテちゃんが笑っているわよ。どうしてかしらね?」



 おっと。僕は母に抱っこされたままでしたね。笑っているのがバレバレでした。チラッと母を見るとおや? って顔をしていましたよ。



「パパ……? 本当に何もしらないの?」

「俺も知りたいです」

「わたしもー」



 この流れはまずいです。僕が笑ってしまったことが原因でしょう。



「あの日は店にいた時間の方が長くて、町の様子はあまり覚えてないんだよ。だが、私が分かる範囲でなら何でも教えるさ。はっはっは!」



 父は、この話から逃げられませんでしたね。やべーっぞこりゃ。


 僕は父を見ましたが表情は変わっていませんね。でも分かります、心では汗が止まっていません。



 ダメだ、また笑いが……。



「きゃきゃきゃ!」



「あらあら。メンテちゃんもパパからお話を聞きたいようね」

「えぐぅ!?」



 僕は赤ちゃんなので、感情を表にあらわしてしまうのですよ。父にごめんなさいと謝りたいですが、もう手遅れですね。



「……そうか。なら何でも答えよう」



 父の表情は変わりませんが、目が死んで来たのか暗いです。


 僕が笑ったら父の嘘がバレてしまいます。これは非常にまずい状況ですね。だいたい僕みたいな赤ちゃんに我慢をしろとか無理な話だね。まだ本能で生きている時期なので。


 僕と父とタクシーの秘密を言うわけにはいけません。なにせ環境を破壊しまくったのですから。怒られちゃいますよ。


 それに、もっとオリジナルを改造するぞー! と意気込んでいましたね。僕だって新しい魔法を見たいのです。ここは、父に協力しちゃいましょう。




 こうして僕の絶対に笑ってはいけない戦いがスタートしました。



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