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201話 「とある村の守り神伝説 その2」

「予定より順調ですね」

「早く住民達を避難させた方がいいな」

「そうですね。俺ヘイワ村って初めて聞きました。こんなところに小さな村があったんですねえ」

「俺もだ。まさか指差したところに村があるなんてな」

「たまたまですよ(心の中で先輩のことドジっ子可愛いと笑ったなんて言えないなあ)」

「……ん? どうした??」

「あはは、なんでもないですって。それよりそろそろ着くんじゃないですかね」



 俺と先輩は魔物が出ると予想した地域にある村に向かっている。他の冒険者は馬車でヘイワ村までやって来る予定だが、結構距離があるので早くても明日に着く。住民の避難が間に合わなかったらまずいと俺と先輩は一足先に馬だけで移動しているのだ。


 ヘイワ村に着いたらすぐに村長にこの村は現在危険な状況だと伝えた。が、何やら反応がおかしい。



「さようでございますか。ですが大丈夫でございます。この地域の森には守り神様がおられますからな!」

「「はあ?」」



 この老人は何を言っているのだろう。話を聞くと、この周辺の森は不思議なことに魔物が出ないらしい。とてものほほんとした平和な村を守っているのは守り神がいるから。だからここは平和なヘイワ村なんだと。


 この村長には話にならないので他の村人に伝えると、あのクソじじい云々と様々な暴言を吐いた。若い人達は常識的で助かった。ここ村長の頭は大丈夫なのだろうか??



「ヘイワ饅頭にヘイワ煎餅。ヘイワクッキーにヘイワケーキ。先輩、お土産が充実してますよ」

「これ全部守り神か……」



 ヘイワ村を調べたところ、実はかなりマイナーな観光地だと判明した。なにやら守り神に頼りまくった商売をしているようだ。お土産の変なキャラクター? は守り神をイメージしているらしい。俺も先輩も初めて知った。


 冒険者は基本的に魔物が出るところに行くものだ。こういうのどかな村について知らない者も多いのだ。ここが観光地だと知っているのは、お金に余裕がある高ランクの冒険者ぐらいであろう。俺? 金持ちに見えるか??



「守り神が存在するのか聞き込んだところ、皆いたらいいなって反応でした。言い伝えがあるというだけで実在しないのだと思います」

「架空の存在に全乗っかりなんだろう」

「多分ここの村長しか守り神を信じてないのでは?」

「……そういうことはあまり大きな声で言うもんじゃないぞ」



 観光地ではよくあること。だからあまり気にしないことにした。



「……思ったより人が多いな」

「調べたところ60人ぐらい住んでいるそうです。ここ最近観光客が減った理由は俺達のおかげで知れたとか」

「村に避難場所がないのも問題だな。幸い宿が多いみたいだからそこに集めるのが良さそうだ。へたに移動して魔物に見つかるのもあれだし、明日来る冒険者を待った方が安全かもしれん」



 住民の避難場所はなんとか確保したが不安の方が大きかった。翌日の昼、冒険者がヘイワ村に集まり魔物の捜索および討伐を開始した。これが緊急事態でなければ昼から酒を飲んで次の日に行動してたと思う。



 ◆



 このヘイワ村の近くにあるヘイワ森は、平べったいというより起伏が多い山という印象だ。そこらじゅうに草や木々が生い茂っている。川も多く、たくさんの生き物が住む自然豊かな森だそうだ。そのため村から離れると歩きずらい場所も多かった。


 俺と先輩の装備は身軽な恰好な軽装備。お互い得意な武器は投擲や弓といった遠距離武器である。他の冒険者と違って移動スピードを重視しているため、一番最初に森の奥までたどり着けた。



「何かいたか?」

「いえ、動物の1匹すら見当たりませんね」

「多分いるな……」

「当たりですか。いやだなあ」



 俺と先輩は気配を消して探索を始めた。ヘイワ村のヘイワ森。ここは魔物がいない地域と聞いていたが、生き物の姿すら見えないのはおかしい。


 先輩は大きなクモの魔物を踏み潰したことから空を飛ぶタイプの可能性を示唆していた。俺は地上、先輩は木の上飛び回りながら移動していく。二人で念入りに調べるが魔物の痕跡は見つからない。しばらくして上からの奇襲はなさそうだと先輩は言った。俺も高めの木を見つけるとそれに上り、周辺を見渡したが何もいなかった。



「鳥の魔物ではなさそうだ。痕跡が何一つ見つからないし、何より違うと俺の勘がな。となると地上を歩くタイプの魔物だ。目撃情報はないことから隠れるのが上手かもしれないぞ」

「よく分かりますねえ」

「まあな。いつどこから出てもおかしくない状況だ。油断するなよ」



 先輩は”捜索”というスキルを持っている。所在の分からない人や物を探すのが得意な人が持っているスキルだ。先輩が得意なことは動物や魔物を見つけること。なんとなくだが分かる、勘が普通の人より冴えると言っていた。その勘でペット捜索だけでBランクになったと言っても過言ではない。


 世の中には植物だったり鉱物を見つけるのが得意な”捜索”スキル持ちもいるらしい。同じ名前のスキルでも効果はバラバラで個性豊か。こういうスキルの話、俺は面白いと思うんだ。




 先輩が近くにいると言ってから1時間ほど森を見回ったが、それらしき魔物に遭遇することはなかった。魔物も移動しているのだろうか。



「この場所は安全そうだ。少し休憩しよう」



 先輩の指示で俺は地面に座った。しっかり休むのも仕事のうちだ。ずっと緊張感を持っていたからかいつもより疲労がひどい。



「よっこらしょっと」

「……先輩、なんですかそれ?!」

「おお、これか? これは最新の魔道具だ!」



 先輩は取り出したイスに座る。これはどんな地形でもお手軽なイスが出来るという魔道具だ。俺と違って先輩のお尻は汚れない。羨ましい。



「どこで売ってるんですか?」

「これはとある魔道具の職人の店まで行って直接買ったもんだ。その職人はギルドに支援をしているスポンサーだからな。ギルドで売っている魔道具もそのお店から仕入れた物が多いんだぞ。そのうちギルドでも売り始めるんじゃないか」

「へえ、そうなんですか。もしかして魔力を測定する道具を開発した人が関係します?」

「そうだ」

「その店あるのコノマチですよね? よくそんな遠くまで行きましたね」

「ここの商品は冒険者ならチェックしておくべきだ。少し値は張るが信頼出来る。不変も使ってみれば分かるぞ」

「そんなお金ないですよ」

「予備で余っているのがあるから使ってみるか?」

「え、いいんですか?!」



 魔道具職人で世界一有名といえばあの人。天才だが頭のおかしさの方が目立っている。毎回新商品が出るたびに世間を騒がせる。まあ冒険者を一番騒がせるのはその魔道具を作った理由だが。少し先輩に聞いてみた。



「ギルドで聞いてみたら、このイスを完成させるために冒険者を毒沼や火の海に行かせる依頼があったらしい。噂によるとイスとは関係なく毒沼に蹴り落されたり色々したって話だ。報酬が高額なだけに文句を言えずに苦労したとかな」

「へ、へえ……」



 その依頼は絶対受けたくないと俺は思った。その後、俺たちは腹ごしらえして出発した。



 ◆



「あそこに穴ありません?」

「む……。あるな。勘だがあの穴に何かがあるぞ」



 そろそろ日が暮れる頃。俺たちはついにそれらしき魔物の痕跡を見つけた。先輩の勘だとこの穴の中が怪しいらしい。ここは山の斜面。最近作られたようであまり時間が経っていたないのが分かる。天然ではなく人工的な洞窟なのは一目で分かった。背の高い木に囲まれており、近づかなければ見逃していただろう。



「穴入る前に信号弾撃っておきますね」

「おう。頼んだ」



 俺は上空に向かってある魔道具を放った。すると空に白い煙が広がった。これは煙で位置を知らせる魔道具だ。音もせず無味無臭なため魔物には気付かれにくい。捜索では必須アイテムである。これも例の天才魔道具職人が作ったらしい。なんでも人の家に打ち込んで嫌がらせのためだけに完成させたという。問題行動の副産物が売れまくるって羨ましい話だ。


 俺と先輩は穴に入る。中は30メートルぐらいの一本道。入口は狭いものの、中は縦横広めな洞窟のようであった。



「何もいませんね」

「……火つけても大丈夫そうか?」

「いいですよ」



 俺は暗くてもハッキリ見えることを忘れていた。不変のスキルは地味にすごいのだ。先輩は火をつけると洞窟の奥を探り始めた。



「何かが寝た後があるな。ここに長い毛が落ちている。毛か……」

「寝床でしょうか」

「だろうな。それにまだ少し温かい。さっきまでここにいたのかもしれない」



 俺と先輩に緊張が走った。穴を出て近くを探索すると、動物の死体が転がっていた。先輩によると死後数十分というところだそうだ。



「……近くにいる。む、こっちに向かって来るぞ」

「隠れましょう」



 急いで俺と先輩は身を隠せる場所に移動し、待ち伏せた。しばらくするとガサガサという草が揺れる音がした。だが少しずつ離れていく。俺と先輩に気付いたというわけではなさそうだ。



「……確認してくる」

「先輩?!」

「大丈夫だ。見るだけで何もしない。だがもし俺に何かが合ったら赤い方を使え。この距離だと気付かれる可能性があるからまだ使うな。いいな、攻撃されてからだぞ?」



 先輩が先に行ってしまった。俺は少し距離を開けて追走する。魔物との距離はあと30メートルぐらいになった瞬間、先輩は血をまき散らしながら吹き飛んだ。……え?


 先輩はBランクの冒険者だが、Aランク冒険者にならないかって言われて断り続けている。実質Aランク相当の強さを持っているのだ。それが一撃? 何が起きた??



「――先輩!!」

「ぐぅ、逃げるぞ!!」



 俺は急いで煙幕(えんまく)を炊き、空に向かって赤い煙が出る信号弾を飛ばす。緊急事態発生の狼煙(のろし)だ。



「今何されたんですか?!」

「あいつの遠距離攻撃だ。左肩が使い物にならなくなった。だがピンポイントで心臓を狙って来たおかげか狙いをズラせたのが幸いだ。かなり精度が高いし何を当てられたのかも分からん」

「それヤバくないですか?!」

「くそっ?! あの犬こっちを追いかけてきやがる。逃げるぞ」

「いぬ?」



 俺は後ろを振り返った。すると(けむり)の向こうから4足歩行の何かがこちらに歩いて来ていた。あれは……犬?



「でかっ?!」

「あれはヤバい。俺も初めて見る犬っぽい化け物だ。Aランク相当だ!」

「A?!」



 あの茶色い犬? の足、そこらへんに生えている木より太いかもしれない。身を引くくし、煙の中で地面の匂いを辿っているようにも見える。その姿は犬っぽい。だが何で今まで見つからなかったんだと叫びたくなるぐらいの巨体である。煙幕が消える前に必死に逃げた。



「ここか。助けに来たぜ!」



 そんな危機的な状況の中、他の冒険者が救援しに近づいて来た。信号弾に気付いてくれたようだ。



「あれを撃ったのはお前らか? ……ってなんだありゃ?!!」

「あれが今回のターゲット。グッ、くそっ」

「すまんが先輩を頼む。怪我をしているんだ。俺が囮になるから逃げて皆に知らせてくれ」

「不変?! お前じゃ無理だ」

「分かってる。でも……逃げるのは得意だ」



 俺は投げナイフを犬に向けて投げながら走り出した。すると狙いを先輩から俺に変えたようだ。



「でけえ……」



 煙から出た魔物はとんでもない大きさだった。というか犬かあれ? でも猫でもないしキツネやタヌキでもない。これに近い生き物を見たことがないから新種の魔物なのだろうか。体がデカすぎて歩くスピードが俺の走るスピードと変わらない。踏み潰されたら俺なんてぺちゃんこだろう。


 俺は身体強化の魔法を使う。パワーはあまり上がらないが足が速くなるのが俺の身体強化の特徴だ。これなら囮としての役目を果たせるはず。



「か、かかって来いよ。この犬っころが!!」



 あの犬の魔物はゆっくり一定の距離を保ちながら近づいて来る。俺を警戒しているのだろうか。興味深そうにな視線を感じる。俺が囮として逃げている間に冒険者が集まって来た。多分来た方角からして先輩の報告は聞いてないな。俺が一番乗りみたいな感覚で攻撃を仕掛け始めた。



「へへん、見つけたぜ。多少大きいが俺はBランクのぐはぁあああっ?!」

「おいおい、迂闊に近づいたらまずいって。こういうときは遠距離だ……かてえな?! がはっ?!」

「うふふ、火遊びはお好きかしら? って嘘、全然ん効いてないわ?! きゃあああ?!」

「みんなの仇ぃいいいいいい。ごへあああっ?!」

「お前ら早く逃げろ!」



 あの犬に攻撃しては反撃を受けてやられていく。体が大きいからってあそこまでの防御力になるのか?! 俺より力のある奴の大剣攻撃を楽々と弾き、魔法も効いているのか分からない。CやBランク冒険者なんて相手にならなかった。全員一撃で倒れていく。その後Aランクっぽい人も来たが時間を稼ぐだけで手一杯だった。最後は振り回したしっぽによる攻撃で負傷し撤退した。


 あの犬はAランクが複数人いなくては勝てない化け物だと判断したのだろう。集まったCやBランク冒険者は10人以上の集団となってから攻撃を仕掛けた。数の力で押し切るつもりだ。だがあの犬は冒険者を律儀に一人ずつ倒しては倒しては俺を追いかけて来た。一度倒れたら興味を失うのだろうか。とどめを刺さずに次の相手を探しては俺と目が合うのだ。まるで戦いそのものを楽しんでいるように見えた。


 気を失っているがみんな死んではないと思う。冒険者はタフな生き物だ。俺は味方がやられるたびに何回も信号弾を上げるループを続けた。手持ちの信号弾が全部なくなってしまった。ここまで一方的になるとは思わなかった。



 完全に日が暮れ、冒険者は一旦撤退したようだ。俺も撤退しようと囮を止め本気で逃げたのだが

……。



「しつこい……」



 あの犬は遊び足りないのだろう。夜でも関係なく追いかけてきた。俺は生きるため逃げ続けた。


 かなり移動したからだろうか。シカやイノシシといった動物を見かけるようになった。俺はそいつらの横を通り過ぎると、あの犬は毎回相手をしていくので時間が稼げた。だから他の生き物をあの犬に押し付けるようにして逃げ続けた。ちなみに人間相手にこれをしたらギルドから厳しい処分がある。普段なら絶対やってはならないのだが今はやらないと追いつかれる。本当は魔物同士をぶつけてその間に逃げるのがベストなのだが、この森には魔物が全然いなくてそれが出来ない。いたとしてもあの犬は強すぎる。一方的に虐殺してはすぐさま俺を追いかけ来るだろう。


 あの犬、絶対本気で走ってない。早歩き程度なのに俺と距離が全然離れないのだ。もしやつから逃げきれなかったら…………と。俺が最悪を覚悟したときだ。



「ぐほぉ?!」



 突然背中に大きな衝撃を感じ、俺は転がり倒れた。あの犬とはそれなりに距離は離れていたと思ったが、何かが命中したらしい。これがあの犬の遠距離攻撃か。だが俺は無事だった。俺は急いで皮の鎧を脱ぎ、何があったのかを確認する。



「……針?」



 魔物の皮で出来た鎧には針のような小さな物が刺さっていた。というよりほぼ貫通していた。とんでもない威力である。



「先輩に感謝だな」



 先輩に貰った胸と背中を守るシャツ。一度だけ強い衝撃から身を守る機能のある魔石が組み込まれている特殊な下着というか魔道具だ。今回敵が危険かもしれないということで先輩に貰ったのだ。これが信頼の出来る魔道具か。このとき俺は初めて実感した。先輩のようなリピーターが増えるわけだと。



 ガサガサ。


「――?! くっ」



 あの犬がこっちにやって来る気配を感じた。俺は穴の開いた鎧を捨て、近くにあった岩の裏に隠れた。考え事なんかしてる場合じゃなかった。



「グルォ? クンクン……」

「――?!」



 急に犬がキョロキョロと周りを見回した。どういうことだ? なぜか俺を見失ったようだ。それから匂いを辿ろうとしているのか、クンクンと何かを嗅ぎ始めた。すると俺に向かってゆっくりと歩いて来る。



「(……まさか?!)」



 急いで装備品を調べる。するとあったのだ。あの針のような物が靴底に刺さっていたのである。俺は靴を脱ぎ捨て、岩の後ろから離れた木々の裏に移動した。しばらくし、犬が靴を見つけたのであった。俺はその様子を隠れてチラッと見ていた。



 あの犬、自分が飛ばした針のようなもので俺を追っかけまわしていたのか?!



 あの遠距離攻撃は、攻撃と同時に追跡するための何かも一緒に打ち込んで来るのだ。マーキングか何かだろう。だがその一撃が大きすぎて普通の生き物は即死してしまう。俺も魔道具が無ければ死んでいた。初めてあの魔物の生態を知った気がする。


 今なら逃げられる。気配を押し殺し、ゆっくりとゆっくりと違う木の陰へと移動する。



「んぐっ?!」



 足が痛くて動かない。どうやら先程背中に針が刺さって転んだ時、足を怪我したようだ。さらに最悪なことに今残っている魔力がない。ずっと走り続けてきたから体力も限界だ。せめて身体強化の魔法が使えれば移動ぐらい出来たのに……。


 このままだと見つかってしまう。絶対絶命。そんなときに限って嫌なことが続く。




「?!」ゾクゾクゾク




 な、ななな何だ?! 凄まじい視線を感じる。あの犬とは違う別の何かだ。まさか別の魔物が出たのか?! でもこの森にそんな存在はいないはず。謎の視線は気付かない振りをしてやり過ごそう。挟まれたこの状況でどちらとも敵対するのはヤバい。これ以上厄介ごとは増えないでくれ。犬もこっちに近づくな。もう10メートルもない。今動いたら俺の存在がバレてしまう。お願いだ、早くあっちに行ってくれ!!


 ん? いつの間にか俺視線に敏感になってないか? ピンチ過ぎて新たな力に目覚めたのかもしれないが何も出来ないな。ははっ、俺の人生はここまでか……。


 しばらくするとズザッ、ゴゴゴゴゴッ!!! とすごい音がして犬が俺から離れていった。謎の視線も消えている。



「……助かった?」



 謎の何かがあの犬と対峙したのだろうか。いまいちよく分からないが生き延びた。俺はふうっと一息つく。すると急に緊張の糸が切れたのか、俺は意識を失った。









 ――ということがあり、俺は寝ていたのだ。


 俺は何分寝ていたのだろう。数分、いや数秒だったのかもしれない。森からすさまじい戦闘の音が聞こえて来るからだ。きっとあの犬と何かがまだ戦っている。あの犬とは違う新たな脅威が現れたのかもしれない。急いで様子を見に行かねば。俺の調査依頼はまだ終わっていないようだ。



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