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193話 「子猫とハジメの森 その1」

前回までのお話

今の僕可愛いでしょ? 大きくなって学園に行っても可愛がってね!

 昼食が終わった頃、ナンス家に3人の小さなお客様が訪れた。



「「「アーネちゃんあそぼー!」」」

「――来た!」



 私アーネ。今日は私の家に友達を呼んだんだー。みんな女の子で私と年齢が近いの。だから5歳ぐらいだよー。いつもは教会で遊ぶことが多いけど、たまにはお家で遊ぼうって話になって私の家に誘ったの。みんな待ってるから玄関に急げー!



「お待たせー!」

「こっちこっちー!」「アーネちゃん遅~い」「早くー!」

「えへへ、ごめんね~」



 実は遅れたのには理由があるんだー。私の後ろにね。



「あれ? メンテくんとカフェさんも来るの?」

「うん。なんかねー、メンテも一緒に外で遊びたいんだって。カフェさんも付いてくるから安心だよ」

「じゃあみんなで一緒に遊ぼう!」「いいよ~」「さんせー!」



 最近メンテは外に出ようとする人を見つけると誰彼構わずついて行くの。外で遊びたいのかな? 今日はカフェさんにメンテの保護者をしてもらうから外で遊んでもいいってママが言ってたー。



「何するー?」

「あっちにね、みんなで育てたお花さんがあるんだよ! 私も毎日水あげてるのー。見に行こー!」

「いいよー!」「お花?!」「いっぱいあるの~?」



 それからみんなで花畑で遊んでたら、メンテとカフェさんが遅れてやってきたんだー。



「えっぐ、えっぐ!」「お待たせしました」

「あ、メンテくんとカフェさん来た」

「なんかフラフラして転びそう」

「でもメンテくんって歩くの上手になったと思わない?」

「「「だね~」」」

「えっ?! みんな間違ってるよ。あれは歩いてるんじゃくて走ってるんだよー」

「え?!」「嘘だー」「あれで走ってるの?!」



 メンテは走るときアホみたいに高く飛び跳ねるから全然前に進まないのー。運動がへたとかセンスがないってみんな言ってるよー。カフェさんはメンテが転ばないか心配そうな顔でそわそわしてて面白いねー!



「きゃきゃー!!」

「ふぇっ?! アーネちゃん、メンテくんがスカートの中に入ってくるんだけど……」

「それはしっぽがないか確認してるのー」

「しっぽ?!」

「なんかね、メンテは耳とかしっぽとかないか確認したがるのー」

「私そんなスキル持ってないよ?!」



 みんなメンテのことはあまり知らないみたいだねー。まあ私はメンテと毎日一緒にいるからよく分かるよ。だって私お姉ちゃんだもん!



「ひっ?! こっちにも来た?!」

「アーネちゃん助けて―!」

「ダメですよメンテ様。奥様に怒られますよ」

「きゃきゃー!!」



 ……なんかごめんね。メンテはまだ赤ちゃんだから頭良くないの。


 それからはね、家の周りをぐるっ~て一周したの。野菜とか育てたりしてるからみんなで食べたり走り回ったりしたよー! 庭でお兄ちゃんがお兄ちゃんの友達と魔法の練習とかもしてたね。お兄ちゃんも今日友達呼んでたなんて私知らなかったなあ。次何をしようかなって考えていたら、あの時間が来たの。



「……えぐえぐおっぱい」

「「――?!」」←アーネとカフェ

「え? メンテくん今何て言ったの?」「えぐえぐ??」「小さくて聞こえなかった」

「えぐえぐおっぱい! えぐえぐおっぱい!」

「アーネちゃん、メンテくんがえぐえぐおっぱいだって」

「えぐえぐおっぱい? ぶふっ」

「なにそれー(笑)」



 みんな笑ってるけど私とカフェさんは始まった!! って顔を見合わせちゃった。メンテはお昼寝する時間になったり疲れるとおっぱいってうるさくなるの。本当頭おかしいよねー。どうにかならないかなあ。



「カフェさん!」

「――! かしこまりました」



 私が名前を呼んだだけで全てを理解したカフェさん。すごいスピードで家の中に走って行ったんだ。お願いだから早く戻って来てねー!



「あれ? カフェさんが行っちゃった」「ひとりで??」「メンテくん一緒に連れて行かないの?」

「今ママはね、お仕事中だからメンテを連れて行ったらダメなのー。みんなの邪魔になるんだって。だからカフェさんは一人でママを呼びに行ったの」

「そうなんだ」「へえ」「じゃあその間メンテくん見てないとね」



 どうやらみんな私とカフェさんの考えが分からなかったみたい。私1人だけなら不安だけど今日はみんなが一緒だから大丈夫!



「カフェさん戻ってくるまでメンテの面倒見なくっちゃ。手伝ってー!」

「いいよ。メンテくん、遊ぼうよ」

「一緒に走る?」

「えぐえぐおっぱい! おっぱい!!」

「んー。全然話聞いてくれないよ」

「ミルクじゃダメなの? メンテくんのママって忙しいんでしょ?」

「おっぱいってそういうこと? お腹空いたんだね。カフェさん哺乳瓶取りに行ったのかな」

「だねー。それまで一緒に遊べばいいのかな?」

「……ぱい?」←血管ブチッっとなるメンテ

「きゃああああああああああああああああああああ?!」←アーネ



 そ、その話はダメー?!!!



「どうしたのアーネちゃん?」

「メンテはお昼寝したいだけだからミルクの話はしちゃダメー! メンテはミルク嫌いなんだよー!!」

「え? そうなの??」

「うん、だからその話をすると機嫌悪くなるの。ミルクは禁止だよー!」

「でもおっぱいって言ってるよ?」「お腹空いてるだけだよね?」「私もそう思う」

「そ、それも違うよー! メンテはママと寝たいだけだけなんだよー。いつもこの時間にお昼寝してるの。ママに抱っこされないと寝ないんだー。だからメンテにとってママのおっぱいは枕なんだよ」

「あ、そうなんだ」「そういうこと」「だからメンテくん変なこと言い出したんだー」

「私お姉ちゃんだからメンテのことは詳しいのー!」



 危なかった~。一瞬メンテの目がギラってしたからびっくりしちゃった。みんなメンテのことを知らないから何でも言っちゃうの。怖いもの知らずだよね。



「あ、みんな見て―。あそこに猫がいるよ」

「本当だ!」

「行ってみるー?」

「え?!!!!!」



 ね、ねねねね、猫がもう傍に?!



「あ、危ないからあっち行こー」

「ちょっと見るだけだから大丈夫だよ」「どうせ近づいたら逃げると思うよ」「だよね」

「あのね、みんなちょっと待ってー!」



 誰も話を聞いてくれない。ピンチかもー?!



「あ、見て。猫が近づいて来たよ」

「本当だ。珍しい」

「撫でられるかなあ」

「――?!!」



 みんなで猫のところに行くか行かないかの話してたら猫からこっちにやってきたー。メンテがおっぱいを欲しがっているとき、猫の様子がおかしくなるんだよね。みんなそれを知らないからまずいかも……。



「不思議~。この猫逃げないね。えへ、私でもすぐ触れちゃったよ。こんなの初めてー!」

「じゃあ私も……えい! すご~い、全然逃げないよ?!」

「人に慣れてるね。この猫ってアーネちゃんのお家の猫なの? 懐いてていいなあ」

「そ、そうだよー」



 あ、あれ? 大丈夫みたい。みんなで猫と触れ合ってるけど怒ってなさそうだよー。



「あ、あれ見てー!」

「すごい?! アーネちゃんのお家から猫がいっぱい出てきたね」

「こっちに向かってくるよ」

「きゃああああああああああああああああああああああああ?!!」



 あ、これダメなやつだー。メンテめっちゃ怒ってるよ。だって今メンテが無言で私達を見てるもん。これ逃げたら猫が追いかけ回してくるかもしれない。何かが起こる前にメンテを説得しなきゃ!



「め、メンテー。もうちょっとしたらママが来るからねー。みんなメンテのこと知らなかっただけだからミルクのこと話しちゃっただけだよ。本当だよー」

「……」

「でもお兄ちゃんは早くおっぱい卒業して欲しいって友達に言ってたよー。今日は庭でみんなと魔法の練習してたけど私聞こえちゃったんだー」

「……ぱい」



 するとみんなが撫でていたり家から出てきた猫達は、お兄ちゃんのいる庭に向かって走っていったのー。猫って私の言葉分かってるのかなあ??



「あれ? どっか行っちゃった」

「きまぐれな猫さんだったね」

「みんな一緒に行っちゃったね。何かあったのかな??」

「な、何もないよー! たまに猫達って散歩するんだよ。私も最初知らなくてびっくりしちゃったもん」

「そうなの?」「さあ?」「アーネちゃんが言うならそうなんじゃない?」

「そうなのそうなのー!」



 これで危機は回避したのー。でもちょっと心配だったので、私は身体強化の魔法を使ってみる。これでいつもなら聞こえない遠くの音まで聞こえるようになるんだよー!




「どう。この魔法! 昨日覚えたんだ。すごいでしょ?」

「おお、アニーキーすげええ! めっちゃ猫が来たぞ!」

「本当だ! 俺猫を呼ぶ魔法見るの初めてだよ!」

「は? 何の話??」

「何って今使ったのは猫を呼ぶ魔法だろ?」

「え?」



 ドドドドドドドドドッ!!


「「「「「しゃああああああ!!!」」」」」



「うわああああ、よく分からないけどめっちゃ怒ってるぞ?!」

「ちょ、アニーキーなんとかしてくれ?!」

「え?! なんで?! もしかしてメンテ近くにいるの? ってなんで俺ばっか追いかけまわすのさ?! いたっ、ちょ待って。痛い痛い。うわああ、もう誰でもいいから助けてー!!!」

「もしかしてアニーキーの魔法失敗したんじゃないか? って猫がこっちにも来るぞ?!」

「ひい、逃げろー!!」




「……」

「アーネちゃん、アーネちゃん!」

「え? 何ー?」

「ボーっとしてるからどうしたのかなあって」

「なんでもないよー。あ、カフェさん戻って来た!」



 私はここで魔法を使うの止めたんだ。お兄ちゃん猫好きだし問題ないよねー。


 それでね、カフェさんがお菓子があるからどうですかって誘って来たのー。カフェさん、ママからメンテ連れて来る許可おりました。助かりましたね、家に入りましょうって表情してるよー。



「みんなおやつあるって! 家の中に食べようよー。あとメンテ寝たら違う遊びしよー!」




 今日もナンス家は平和であった。




 ◆



 アーネとその友達に混ざって遊んだ日の夜。こっそりメンテは動き始めた。



「猫魂ー!」



 僕メンテ。今日も可愛い子猫に大変身!


 そんな僕はどこかに出かけたい気分なのです。全然遊び足りません。そういえばガイドブックにハジメの森とかありましたね。異世界の森ってどんなんだろねえ。気になるなあ……。





 よし、ハジメの森に行こう!



誤字報告ありがとうございます。気付かないときが多いのでありがたいです。


あとちょっとあらすじ変えました。内容はほぼ前と同じですがね。

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