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179話 「猫の縄張り その8」

「準備出来たよー!」

「早かったわね」

「うん。今の僕の実力を知りたいから本気で魔法を使っちゃうよ」



 ということで魔法を使ってギルドの秘密の部屋を破壊したいと思います!



「猫魔法・ライオン!」

「――ちょ!? それさっきの……」

「さらにフンがぁあああ!」

「なにそれ?! ちょ、え? ええええええ!?」



 バキバキバキ……。ムクムクムクムクムッ。ドドーン!!



 大きな猫ことライオンの姿になる僕。だたのライオンの姿では心もとないと思ったので、ちょっぴり筋肉を増やしてゾウさんぐらいの大きさになってみました。マッチョで少し大きいライオンさんですね。


 ではさっそく魔法を使いましょう。まずは両方の前足を上に上げ、光る爪を伸ばします。20メートルぐらいの伸ばしたらギルドに向かって勢いよく振り下ろします。




「きいいいいえええええええええええええええええええ!」


 シュババババッ!!!!




 ズザザザザッと何度も何度もギルドを切り裂いていきます。これぞ巨大な爪を使った爪とぎです。この建物は、ライオンサイズの僕にはぴったりの爪とぎですよ。このギルドは気に入ったおもちゃなので破壊します。猫らしい行動でしょ?


 ちなみにこの爪は魔法で出来ているので重みはないですよ。僕の動きに連動してついてくるような感じですね。あとギルドの1階全体に猫バリアを貼っているので無傷です。むやみな破壊をしないのが僕の良いところですな。



「……僕パパと約束したんだ。このギルドが完成したらちょっとした魔法じゃ壊れないほど頑丈になっているはず。だからまた魔法を当てて遊ぼうってさ。でもこれを見てよシロ先生。少し魔法を使っただけでこの有様。これじゃあパパとの約束が守られないよ」

「そんな約束する親も親ね?!」



 シロ先生は僕の父親がすごいと驚いていますね。えへへ、もっと自慢しちゃおうかなあ。それはさておき、ギルドの様子を見て見ましょう。2階より上の部分ははほぼ全てなくなりましたが、部屋の形をしたものだけが残っていますね。あれがこのギルドの秘密の部屋です。


 なるほど、部屋全体に魔法耐性のある素材が使われていたみたいだね。僕の爪とぎで壊れないのは面白いですねえ。こういうときはあれです。




「ネゴゥオパーーーーーンチィイイイイ!!!!!!!!!!」



 ドゥゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!



「にゃあああああああああああああああああああああああああああ?!!!」




 ピョ~ンと高く跳んで軽く猫パンチ。何もかもを筋肉の力で粉砕してお仕事完了。これが一切魔法を使わないナチュラルなライオンの力です!


 え? 何を言ってるのか分からないって? これは魔法じゃなくてライオンの身体能力だけの攻撃。だから魔法なんて使っていませんね。変身するときに猫魔法使ったじゃんという事実も猫魔法で書き換えています。よって相手にこれは完全なる物理攻撃と認識されるのです。



「これがアンチ魔法に対抗してさっき編み出した物理攻撃。物理こそ最強、力こそジャスティス!」

「急に脳筋に?!」



 まだ終わりではありません。猫は嗅覚が人間よりもいいですからねえ。猫身体強化で嗅覚もパワーアップさせ、猫探知も併用して秘密の部屋を作った人物を探します。お、あれかな? お酒と女性の匂いがしますねえ。そういうお店に行っていたのでしょう。やっぱぶっ殺そうかな?



「いたよ。あっちの方向にこの部屋を作った人がいるよ」

「なんで分かるのって言ったらどうせ魔法って答えるんでしょ? はいはい。私はお見通しよ」

「正解。結構近くにいるみたいだよ。しかもちょうど1人。じゃあこれを使って足止めだ」

「あら、それ部屋にあった武器ね。持ってきたの……」

「ふんがー!」ブンッ!

「にゃ?!」



 部屋に飾ってあった物をしっぽを使ってぶん投げます。ギルドから出る前に全部没収しておきました。これで相手の動きを止めます。物は壊れたり粉々になってるけどまあいいか。今は道を1人で歩いてるので好都合だねえ。



「よし、動きが止まったよ。何でこれがここに?! って焦ってるよ。こっちに向かって来たよ」

「すっごい距離飛ばしたわね……」

「まあ今の僕は太く筋肉質なしっぽを持ってるからね。お次はこれ。シロ先生に見せるのは初めてだよね?」

「え? ――ちょ?! 口が光ってるわよ?!」

「これを人に使うのは初めてだよ」



 口元が様々な色で光り輝く僕。どんどん力を溜めていきます。さあ、この町を荒らす悪者に裁きの時間です。




「猫ブレス!!」




 ゴゴゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!





 猫エネルギーをブレスとして吐き出す猫ブレス。周囲の邪魔な建物ごと破壊していきます。猫だって息をしているから、あくびもため息もするよね。ならブレスぐらい余裕で吐きます。


 猫探知で建物の中に誰もいないことは確認済みなので安心してください。夜営業してないお店が多いのでね。これで最短距離で被害最小限の猫ブレスが炸裂したはずです。




「よし、当たったー!」

「当たるも何も目の前がまっさらになったわよ?!!」

「これがこの町の猫の洗礼だ。ガオォオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーー!」

「それこの町の猫じゃなくメンテだけだからね?!」




 ◆



 コノマチの猫達は目撃した。


 子猫が建物から出てきたと思ったら急に巨大化し、ありえない大きさの猫になった。そして、光る爪を伸ばし建物を破壊していく。ジャンプしたと思えばパンチで何もかもを粉砕し、しっぽで物をぶん投げる。さらに口から謎の光線を発射し町を蹂躙していった。最後にこの町の支配者だと言わんばかりの雄たけびを上げる子猫? の姿を。



「……あ、あれが子猫ですにゃ」

「でもボスならあんなやつ一発で仕留められるにゃ」

「あんなもの幻影だ」

「そうにゃそうにゃ!」

「やっちまえー!」

「「「「「「「「「「ボス! ボス! ボス!」」」」」」」」」」



 ボスを応援し始める猫達。現実が見えていないのだろうか? そんな猫達に対し、ボスだけはあれのやばさを認識出来ていた。そのためどんどん顔色が悪くなっていく。そして……。



「……か、帰るぞ~」

「「「「「「「「「「ボス?!」」」」」」」」」」


「ふう。今日はよく眠れそうだあ」

「「「「「「「「「「ボス?!!」」」」」」」」」」



 こうしてメンテの知らないところで縄張り争いが終わったという。他の猫達と比べてボスは比較的優秀な猫であった。



 ◆



 帰り道。持ち帰ったガイドブックをしっぽで持ちながら歩き見します。その中の地図を見ていると、1つ気になることがありました。



「そういえばシロ先生、この国の名前知ってる?」

「コノマチのこと?」

「いや。()()()の話じゃなくてもっと全体というかね。町じゃなくて国だよ」

「国?」

「あーうん、そうだよね。猫だから分からないよね。ごめんごめん」



 この地図に”コノマチ”っていう言葉が書かれているんだよね。これは()()()って意味だよね?? 森の地図には”ハジメの森”とか書いてあるしさ。いくら初心者歓迎にするからって名前まで安直すぎない?


 どうやらこのガイドブックには正式な地名が載っていないみたいですねえ。地図があるからこの町の名前も一緒に分かると思ったのですが。う~ん、残念。また別の機会に調べますか。でも今日は町で魔法をいっぱい使えて楽しかったです。また遊びに行こっと!


 

 結局メンテはこの町の名前が”コノマチ”だと気付くことはなかったという。



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