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145話 「私のご主人様のご主人様 その5」

 僕は近所に住んでいるらしい猫じいのお家にやってきました。この家は住宅街のちょっと外れにあるので、僕の猫探知に入らなかったようです。魔法の効果範囲外ってことですよ。やはり魔力の消費量で届く距離は変化しますね。外に出たからこそ分かることもあるのです。



「ここに”猫じい”って猫がいるの?」

「うん。おじいちゃん猫だから、みんなで猫じいって呼んでるんだにゃ」

「そうなんだあ」



 名前の通りじいちゃんの猫らしいですよ。



「猫探知! ……あそこか。入るからついてきてね」

「「「「「にゃあ」」」」」



 猫魔法で入口を作り出して家の中に侵入します。



「おじゃましまーす。猫睡眠!」



 人の気配を感じるので猫魔法を使います。深い眠りに入ったので、多少騒いでも起きることはないでしょう。



「ふぅ。これで誰も来ないね。騒いでも大丈夫だよ」

「「「「「……」」」」」←使用人の猫達

「ん? みんなどうしたの? キョトンとしてさ」

「まだメンテの魔法に慣れてないのよ。教会の猫だって時間掛かったんだからね」←シロ先生

「最初はそうかもね。でもすぐ慣れるよ。猫っぽい普通の魔法だからね!」

「「「「「「「……(全然猫っぽくにゃいにゃあ)」」」」」」」←この場にいる全員



 ”猫だけが使える魔法”の”猫”とは何なのかと疑問に思う猫達であった。だが、魔法を使えないからよく分からんにゃと口を出す猫はいなかったという。



 ◆



「こんにちは。僕の名前はメンテだよ。あなたが猫じい?」

「……おや? 初めて見る顔にゃのう」

「「「「「猫じい!」」」」」

「騒がしいと思ったら近所の猫達も一緒かの。誰か子供が生まれたから紹介しに来たんかにゃ?」

「「「「「違うよ! メンテ達を紹介して来たにゃ!」」」」」



 そして始まる猫会議。猫じいはだいたいの事情を理解したという。



「ほほう、あの屋敷にはこんな可愛い猫が住んでおったのか」

「僕は人間だよ!」

「子猫の冗談は可愛いのお。にゃほほほ」

「う~ん、嘘じゃないんだけどね」



 なお、僕が人間だっていうことは信じて貰えませんでした。



「でさ、猫じいも一緒に外で遊ばない?」

「わしがにゃ?」

「うん、一緒に遊ぼうよ!」

「にゃほほほ、その気持ちは受け取っておくにゃ。小さい子はいつの時代も元気にゃのお。……よっこいしょと、見ての通りわしは年寄での。あまり体が良くないのじゃよ。特にこの後ろ足の調子がにゃ」



 猫じいに断られてしまいました。一目見たときからそんな予感はしましたがね。やはり猫じいは高齢の猫なのです。歩くのはつらいのでしょう。



「だから言ったにゃ? 一緒の散歩するのは難しいって。でも猫じいはみんなの話を聞いてくれる優しいじいちゃんなんだにゃ。みんな大好きにゃ」

「「「「にゃあー!」」」」

「にゃほほほ。わしはみんなと会話が出来れば十分楽しいのう」

「へえ、そうなんだあ。ここって猫は2匹で住んでるみたいだし、毎日楽しそうだね」

「「「「「……にゃ?!」」」」」「にゃほっ!?」

「ん?」



 ……あれ? 反応が変ですね。



「え、他にもここに猫がいるの?」

「みんなで挨拶しようよ」

「そうにゃね」



 このように教会の猫達は驚いていません。



「「「「「にゃわにゃわ」」」」」

「この子は何をいっておるのにゃ?」



 それに対して、使用人達の猫達や猫じいは驚きまくっています。というか騒ぎになっています。



「え? どうしたの?」

「いやいや、もう1匹いるって言ったけど、ここに集まっている猫で全員だよ? このあたりの猫はもういないにゃ」

「それに猫じいは1匹暮らしにゃ」

「「「「「にゃわにゃわ」」」」」



 え? これはどういうことでしょうか……? すぐ側にもう1匹いるのに。



「えっと……、どういうこと?」

「にゃほほ。子猫は冗談が上手にゃのう」

「冗談? いやだってそこにいるでしょ? ほら」

「そこには何もないわよ?」←シロ先生

「え?」



 えええ? いやいや、普通に見えるんだけど……。いじめられてるのかなこの猫?



「みんな見えないの? そこにもう1匹いるでしょ」

「何もいないにゃ」

「にゃほほ。だがそこは……。いや。誰もいにゃいのう」

「さっきからメンテどうしたの? 疲れたのなら今日はいったん帰りましょう。その方がいいわよ」←シロ先生



 ん~、みんな僕を信じてくれませんね。こうなったら直接聞いてみるしかありません。



「ねえねえ、僕の声聞こえてる?」

『……』

「……えいっ」←猫パンチ

『へぶにゃああああああああああああああああああああああああああああああああ?!』



 あ、やっぱりいるね。勢いよくパンチをしたらぶっ飛んで壁をすり抜けてしまいましたし……。




 ――ってすり抜けた?!




『うう……、痛いわねえ。もしかして私が見えてたの?! まあそんなわけないにゃあ』

「あ、やっとしゃべった」

『えっ、聞こえてる?! もしかしてあなた私が見えるにゃ?!』

「あなたじゃなくてメンテでいいよ。僕の名前はメンテって言うんだ。猫の魔王なんだけどよろしくね」

『この子、絶対私が見えてるし聞こえてるわね。というかさっき殴られたし……。多分この子は本当に分かっちゃうのね』

「ねえねえ、さっきから何言ってるの?」



『じゃあ挨拶するにゃ。私は猫ばあ。そこにいる猫じいのつがいだった猫よ』

「へえ、そうなんだあ。さっきも言ったけど僕メンテ。こちらこそよろしくね!」



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