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144話 「私のご主人様のご主人様 その4」

 俺の名前は『おっぱい』。とても『おっぱい』な猫である。



「……って誰にゃ?! 俺の心に侵入しておっぱいなんて言うやつは!」

「僕だよ。君の自己紹介が長そうだったから、ちょっと省略させてもらうよ」

「うおっ?! お前どこから入って来たにゃ?!」

「あそこー」



 僕はしっぽを向けます。壁には猫魔法で作った玄関があるのですよ。


 というわけみなさんこんにちは。僕の名前はメンテ。人間の赤ちゃんだけど、猫に変身する力がある男の子です。夜中に猫に変身した僕は、家を勝手に出て近所の猫にご挨拶していますよ。



「なんだあれ?! ……ってどんどん猫が入って来たんだけど?! にゃにこれ???」

「「「「「こんばんは」」」」」

「いやいや、おかしいだろ……。俺は夢でも見ているのか?!」

「現実だよ」

「ついに俺は頭がおかしくなったのか……。ふぅ、寝るか」

「ちょっと待って。猫魔法・リラックス!」



 猫魔法・リラックスとは、猫を落ち着かせる魔法である! なお今出来たばかりの即席の魔法だったりする。これがメンテの猫だけが使える魔法の力なのだ。



「うおっ?! ……って何も起きないにゃ? どうやらこの状況は夢じゃないんだな。急に違和感を感じなくなったような気がするぞ。まあいいか。それよりこんな夜中に何にゃ?」

「こんばんは。僕は猫の魔王の”メンテ”って言うんだ。この家の近くに住んでるんだよ。よろしくね!」

「ま、魔王?!」

「メンテはまだ赤ちゃんなの。妄言だから魔王については気にしなくてもいいわよ。私はシロ。よろしく」

「お、おう。俺の名前は”ツナマヨ”。この家のご主人様はおにぎり様っていうんだぞ!」

「よろしくね。へえ、ここっておにぎりさんのお家なんだ。おにぎりさんは僕の家で働いていて……」

「「「「「「「にゃわにゃわ」」」」」」」



 そして始まる猫の会議。こうして猫達はお互いの理解を深めるのであった。



「……そういうことか。メンテは猫と会話が出来て、変身出来るってすごいな。それにメンテが人間にばれない時間なら、俺たち猫も外で自由に遊べるってことか。面白そうだから俺もついて行ってもいいか? 最近暇だし」

「えへへ、よろしくね!」

「「「「「「「よろしくにゃ」」」」」」」



 こうして新たな猫を仲間に引き入れるメンテである。



「ねえねえ、近所に知り合いっている? 猫のね」

「あっちに行けば俺の知り合いはいるなあ」

「じゃあそこに連れてってよ!」

「「「「「「「よろしくにゃ」」」」」」」



 ◆



 私の名前は『こんばんは。僕の名前はメンテだよ。自己紹介は長そうだから省略しちゃうね。猫魔法・省略!』。



「うにゃあっ? 心に入ってくるのは誰にゃ?!」

「よっ! 俺俺、ツナマヨだよ。こっちは友達のメンテ達だ」

「「「「「「「よろしくにゃ」」」」」」」



 そして始まる猫会議。こうしてお互いのことを知るのである。



「他に知り合いっている?」

「あっちにいるわ」

「じゃあ今から行こうよ」

「「「「「「「にゃー!」」」」」」」



 という感じで新たな猫の友達がどんどん友達を紹介し、メンテの猫仲間を増やすのであった。



 俺達5人揃って……『5匹もいるの?! なんか長そうだから猫魔法・省略!』。

 私は……『猫魔法・省略!』。

 俺……『猫魔法・省略!』。




 『猫魔法・省略!』『猫魔法・省略!』『猫魔法・省略!』……………………。




 ……そして。



「いやあ、いっぱい増えたね」←メンテ

「今20匹ぐらいいるのかしら? ここって案外猫がいっぱい住んでいたのね」←シロ先生

「「「そうにゃね」」」←教会の猫達

「僕も驚いたよ。どおりで使用人が猫に慣れてるなあと思ったよ。猫じゃなくてもペットを飼っている人はいっぱいいたねえ」



 猫魔法で見つけた猫達を一か所に集めました。一匹ずつ僕たちの説明をしていくと時間が掛かりそうだったのでね。教会の猫達と合流したら50匹ぐらいになりそうですよ。お友達増えまくりですね。



「それにしても……」←アイ

「みんな同じ反応をするんだにゃ」←ラブ

「お、おう。なんだか笑えてくるぜ」←ツナマヨ

「私もメンテと会ったときあんな感じだったのかなと思うと恥ずかしいわね」

「あー、なんか分かる」

「俺もその気持ちは分かるにゃあ。早めに出会って良かった気がする」

「「「にぁー」」」



 アイとラブとツナマヨの3匹は、メンテと出会ったときに個別での質問タイムが長々とあった。そのため、ここに集まった猫達よりもメンテ達の理解があったりするのだ。これから起こるであろう猫達の反応を容易に想像出来てしまったという。



「みんなここで暮らしてるんだね。僕知らなかったよ」

「俺らもこんな時間に外をうろうろ出歩いている猫達を見たのは初めてさ」

「「「「「だにゃ」」」」」



 使用人達の飼い猫は頷きます。



「へえ。ここの猫って出歩かないの?」

「いや、たまに散歩しに行くけどさ……。ここってあれがあるじゃん?」

「あれ?」

「そう。あれだよ」



 飼い猫たちはいっせいに僕の家の方角を見ます。なんで?



「あの屋敷の周辺には近づくなって死んだじいちゃんが言ってたぜ!」

「「「「「そうにゃ!」」」」」

「え? いやいや、あれ僕のお家なんだけど……」

「「「「「にゃあああ?!!!!」」」」」



 またまた始まる猫会議。みんなでいろいろな会話をして理解を深めましょう!



「死んだじいちゃんが言ってたけど、昔あの辺りは危険だったらしいぜ。あの屋敷の近くに家を作ってもすぐ吹き飛んでいたらしい。だからあそこに近づくな、巻き込まれて死ぬぞって聞いたぜ」

「へえ。そうなんだあ。別にそんなことないと思うけど……」


 ※ダンディのせいです。



「俺もそうだと思うにゃ。でも本能で近づきたくない時があるっていうか……」

「「「「「ああ、わかるにゃ」」」」」

「……(それってタクシー様のせいじゃない?)」←シロ先生

「……(僕もそう思う)」←メンテ



 目で会話するメンテとシロ先生。ダンディもタクシーも迷惑極まりない存在であった。そして会議が続き、お互いの事情を理解する猫達であった。



「そういえばこの辺にもう猫はいないの?」

「あー……、1匹いるね。でも散歩は一緒に来ないと思うにゃ」

「「「「「そうだにゃ……」」」」」

「え、どういうこと?」

「まあ会えば分かるにゃ。猫じいのところまで連れて行ってあげるよ」



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